「休憩がある保育園ってどうやって回してるの?」
「休憩なしの現状を今から変えることはできるの?」
人員不足や仕事量の多さが原因で、休憩をうまく回せていない保育園は多いです。しかし労働者は休憩をとる権利が法律で定められているため、常習化されている環境はよくありません。
反対に休憩がしっかり確保されている保育園もたくさんあります。つまり、休憩が取れていない保育園には改善できる余地があるといえるでしょう。現状を少しでも変えるには、今の課題としっかり向き合う姿勢が大切です。
そこで本記事では、正しい休憩の回し方や取り方を徹底解説します。個人で取り組める対策も紹介しているので、ぜひ試せるものから実践してみてください。
保育園での正しい休憩の取り方【5つのポイント】
では早速、保育園での正しい休憩の取り方を5つのポイントに分けてみていきましょう。
- 法律で定められた休憩時間を守る
- 給食時間を休憩に当てない
- 休憩中は仕事をしない
- 心が休まる場所で休憩する
- 自由に外出できる
①法律で定められた休憩時間を守る
労働基準法により、8時間以上働く保育士は、少なくとも1時間の休憩。パートやアルバイトなど時短で6時間以上働く方は、最低45分の休憩をとることが義務付けられています。
(休憩)
労働基準法 e-Gov法令検索
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
労働者には休む権利が法律で定められているため「休憩なし」の状況を作ってはいけません。自分の労働時間にあった休憩時間をしっかり確保していきましょう。
以下の記事では、保育園の「休憩なし」のリアルな現状と対策について解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
②給食時間を休憩に当てない
給食時間は休憩に該当しません。なぜなら、保育士はその時間も労働をしているから。
- 誤嚥がないか見守る
- こぼしたら片付けに入る
- 食器具の使い方を指導する
- 食の進みが遅かったら声をかける
保育士は常に子どもの様子を見ながら、誤嚥の危険がないかをチェックしたり、生活習慣の自立をサポートしたりしています。
子どもたちと一緒に食事を楽しむひとときも大切にしていますが、基本的には仕事モードの体制でなくてはなりません。よって、給食時間は休憩に該当しないので、別途で休憩時間を確保する必要があります。
③休憩中は仕事をしない
「休憩なし」の風習が残っていたり、休憩時間を使わないと業務が片付かなかったりして、休憩中に仕事をする保育士は少なくありません。
- 連絡帳・書類の記入
- 制作物の準備・仕上げ
- 部屋の清掃・おもちゃの消毒
私も休憩中に連絡帳や書類を書いていた経験があります。「保育士は休憩がない」という状況を身をもって体験しました。
当たり前ですが休憩とは本来、労働から離れ体を休める時間です。休憩をとらないと疲れが蓄積して、仕事中のミスや事故のリスクにつながりかねません。
休むのも仕事の1つだと思って、休憩中は業務をしなくても済む体制を作りましょう。
④心が休まる場所で休憩する
休憩時間をどこで過ごすかも大事なポイントです。心を休められる場所でなければ、疲労回復ができないからです。
以下に、休憩場所としては不向きなところをまとめました。
休憩場所として不向きなところ | 気が休まらない要因 |
---|---|
職員室 | ・仕事の話にもつれ込みやすい ・職員の出入りが多くて気が散る ・来客や電話対応に入る可能性がある |
狭い休憩室 | ・会話に巻き込まれやすい ・場所が狭いとのびのびできない ・話し声が気になってゆっくりできない |
子どもがいる保育室の片隅 | ・仕事のことで話しかけられやすい ・子どもの対応を任される可能性がある ・休憩モードに気持ちを切り替えられない |
休憩場所が保育室だった職場で働いていた経験があります。休憩時間が午睡中だったため、子どもが起きたら対応に入ることもありました。
休憩場所は、労働から完全に離れた環境であるのが理想です。自分の好きなことをして、くつろげる空間を作っていきましょう。
⑤自由に外出できる
「休憩中、原則外出禁止」にしている保育園や暗黙のルールで外出ができない保育園は多いですが、法律上、制限してはいけません。
労働基準法第三十四条「休憩時間を自由に利用させなければならない」の規定により、労働者は自分の好きな場所・好きなことをして過ごす権利が与えられています。そのため、休憩時間内であれば気分転換に外に出たり、近場で用事を済ませたりするのも可能です。
制限がある場合は解除して、自由に外出できる体制を整えていきましょう。
保育園で休憩時間を確保する5つの方法
次に、保育園で休憩時間を確保する方法を解説します。
- 休憩がないことを問題化する
- 勤務体制・人員配置を見直してもらう
- 休憩がとりやすい雰囲気作りをする
- 休憩中に仕事をしないために業務の効率化を図る
- 休憩のある保育園に転職する
1つずつ詳しくみていきましょう。
方法①休憩がないことを問題化する
休憩がない現状に、問題意識をもっていない組織や上司は少なくありません。その場合は自分からアクションを起こし、状況を変えていくのが有効な手段です。
上司に話をする際は、休憩時間の本来のあり方を提示して、問題と向き合うきっかけを作るのがよいでしょう。
「休憩時間がないので作ってほしい」とお願いするだけでは、相手は思うように動いてくれません。自分なりの対策やアイディアを考えて、提案する形で切り出すと本気度も伝わって状況が動きやすくなるでしょう。
自分から行動を起こすのは勇気がいりますが、誰かがきっかけを作らないと状況が変わらないのも事実です。自分にできることから、ぜひ始めてみてください。
方法②勤務体制・人員配置を見直してもらう
組織全体で休憩を確保するためには、勤務体制・人員配置などの見直しが必要です。個人での対応は不可能なので、上司の力を借りて少しずつ現状を変えていきましょう。
- 順番で休憩に入る体制を作るために、早番・日勤・遅番のシフト管理を徹底する
- 午後から出勤する保育士を採用して、休憩を回す体制を作る
- シフト表で職員の動きを可視化して効率よく休憩時間を回せるようにする
- 職員の人数や業務状況により休憩に入れないクラスがあれば、パート保育士や他のクラスの保育士がヘルプに入る
休憩を回せるように勤務や職員の動きを調整すると、以下のように順番に休憩をとれるようになります。
- 12時~:早番職員
- 13時~ :日勤職員・パート保育士
- 14時~:日勤職員・パート保育士
- 15時~ :遅番職員
休憩時間を固定して、全員が時間をみながら行動できる体制にするのが理想です。
決められた時間に抜けるのが難しいと判断したら、ほかのクラスに協力を要請したり、別途で休憩時間を調整してもらったりするなどして対応するとよいでしょう。
以前働いていた保育園は、休憩の時間帯にあわせてパート保育士が出勤していました。そのため、休憩時間は人手に余裕ができて休憩を円滑に回せました!
方法③休憩をとりやすい雰囲気作りをする
休憩時間を確保するためには、雰囲気作りも欠かせません。
休憩に入りにくい空気があると、仕事を続ける保育士が出てきて「休憩なしの風習」が生まれやすいからです。
先輩が後輩に「休憩に行っておいで」と積極的に声をかけたり、反対に後輩が先輩に「休憩に行ってきてください」と気遣ったりしあえる関係性が理想です。
一人ひとりの休む権利をお互いが尊重すれば、休憩をとりやすい雰囲気に変わるでしょう。
方法④休憩中に仕事をしないために業務の効率化を図る
休憩中にいつも仕事をしている環境であれば、改善が必要です。
「休憩時間を活用しないと仕事が片付かない…」と考えている方でも、業務状況を振り返れば対策は必ず見つかります。
休憩中にしていた業務 | できる対策 |
---|---|
連絡帳や書類の作成 | 保育を抜けて書類作成の時間を確保する |
清掃・おもちゃの消毒 | 保育士の人数が潤っている時間帯を見つけて日中に作業をおこなう |
制作物の準備・仕上げ | パートやほかの職員の力も借りて休憩時間外に仕上げる |
まずは「休憩は体を休めるための時間」という認識を強くもちましょう。意識が変われば、改善に受けた取り組みにアンテナが貼るようになります。
ただし、明らかな人手不足の職場なら対策に限度があります。その場合は、人員確保をしてもらうか、人員に余裕がある保育園で働くかの選択が必要になるでしょう。
方法⑤休憩のある保育園に転職する
現職でできる対策をすべてやってみても変化がない場合は、休憩のある保育園に転職する手もあります。
休憩を確保するには、勤務体制や人員配置、業務見直しなど大枠の改善が必要です。対応に手間がかかるため、組織や上司に相談をしても真剣に取り扱ってもらえない可能性もあるでしょう。動き出したとしても、思うように新しい取り組みが浸透しないケースも考えられます。
はじめから休憩がしっかり確保されている保育園に転職をすれば、状況を変えるための負担は一切かかりません。
- 休憩保育士を加算している
- 休憩室がしっかり用意されている
- 園全体で休憩をとる認識が定着している
きちんと体を休ませてくれる保育園に転職すれば、仕事の生産性も高まるほか、
園への不満も軽減するため、気持ちを楽にして働けるでしょう。
休憩をしっかり回している保育園の特徴3つ
休憩を確保できる保育園の特徴を解説します。
- 保育士が働きやすい環境を作っている
- 人員に余裕がある
- ICTシステムを導入している
順番にみていきましょう。
特徴①保育士が働きやすい環境を作っている
休憩時間が確保されている保育園は、ほかの労働環境も保育士が働きやすいように整えられている傾向にあります。
- 残業が少ない
- 持ち帰り仕事がない
- 有給休暇の取得率がいい
一方で、保育士を大切にしていない保育園は、サービス残業が多かったり、有給休暇がとりづらかったりと労働環境がよくありません。
長く働くためにも、休憩をとる権利も含め、労働者のさまざまな権利を大切にした保育園を探しましょう。
特徴②人員に余裕がある
ギリギリの人員だと、保育室から保育士が抜けられなくなるため休憩を確保できません。保育士の配置基準に+αの人員を雇っていれば、休憩を円滑に回しやすくなるでしょう。
人手が潤っていると休憩を確保しやすくなるだけでなく、一人あたりの業務が減ったり、保育士が欠勤したときのしわ寄せがきにくくなったりします。
気持ちにゆとりをもって働きたい方は、人員に余裕がある保育園に注目してみましょう。
特徴③ICTシステムを導入している
ICTシステムを導入すると、これまで手書きしていた作業がすべて電子入力になり業務負担が軽減します。
- 午睡時間の記録
- 連絡帳・書類作成
- 登園・降園の管理
- 給食・おやつの食事量チェック
業務が簡略化されて作業量が減れば、時間に余裕が生まれるため休憩もとりやすくなるでしょう。
またICTシステムを取り入れている保育園は「よりよい職場にしよう!」という思いがベースにあるので、労働環境が整っている傾向にあります。
ICTシステムが完備されている保育園で働いていた経験がありますが、作業負担がかなり減りました!業務効率化は、休憩時間の確保にも通じていると感じています。
休憩時間を確保したい方は弊社「しんぷる保育」にご相談ください!
休憩をとらなければ疲れが蓄積して、集中力が散漫したり、思うように身体が動かなかったりしやすくなります。子どもの命を守る保育士こそ、休憩時間にしっかりと体を休めて高いパフォーマンスを発揮できる状態にしておくべきでしょう。
とはいえ、休憩なしが当たり前となっている環境を変えるのは簡単ではありません。できる対策をとってみて変化が感じられなければ、転職をするのも一つの方法です。
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まとめ:保育園で休憩を回すには組織全体と個々の意識が必要不可欠
休憩を回すには、上司や職員一人ひとりの意識を変えていかなくてはなりません。
現状を変えるには、何かしらのアクションが必要なので、ぜひ本記事で紹介した方法でできるものから試してみてください。
- 休憩がないことを問題化する
- 勤務体制・人員配置を見直してもらう
- 休憩がとりやすい雰囲気作りをする
- 休憩中に仕事をしないために業務の効率化を図る
- 休憩のある保育園に転職する
勇気ある行動が、休憩を作るきっかけを生み出すでしょう。
今の園でできる対策をとってみても状況が変わらないようであれば、転職するのも1つの選択肢です。
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