園だよりは、園での子どもの姿や園生活に関する情報を保護者に伝える大切な手段です。保護者に渡すおたよりの作成は保育士の仕事ですが、文章を書くのが苦手な人にとっては気が進まない作業かもしれません。なかでも園だよりは全保護者の目に触れるので、特に気が重い仕事ではないでしょうか。
本記事では、初めて園だよりの担当になった保育士が1ステップずつ作成を進めていけるように、園だよりの書き方の手順とポイントを詳しく解説していきます。
園だよりの書き方手順①材料を集める
最初の手順は、園だよりに掲載する情報や文章の収集です。他の保育士が担当する部分は、情報や文章を提出してもらう期日に余裕を持って依頼します。園だよりの配布日は決まっているので、スケジュールを組んで間に合うように進めていきましょう。
過去の園だよりを確認する
まずは、過去の園だよりを確認します。先月の分だけでなく、去年の同じ月の園だよりも確認して、その月には何の情報が必要か把握します。作成する月の行事日程・園からのお知らせやお願いなどの重要な情報は、園長や主任に事実確認して正確な情報を受け取ります。
過去の園だよりをそのままコピーして使うことはできませんが、参考にはできます。全体の紙面レイアウトや、どんなイラストが使われているかも確認しておきましょう。
各クラスの担任に書いてもらう部分があれば依頼する
過去の園だよりを確認して、他のクラス担任が書く部分があれば早めにお願いしておきます。クラスの様子やクラス内で子どもが気に入っている遊びなどは、担任でないとわからない部分だからです。
スケジュールと照らし合わせて、何文字くらいをいつまでに提出してほしいかを明確に伝えましょう。口頭ではなく、メモに書いて各クラスの主担任に渡すと誤認防止になります。
イラストや文例集を揃える
園だよりは、文章の他に、季節のイラストや子どもに関するイラストを使用してかわいい雰囲気に仕上げます。過去の園だよりのテイストと揃えるために、園で使っているイラストデータがあれば借りておいてください。
文例は、保育雑誌やWebサイトを参考にできます。イラストや季節のあいさつ文は、この段階でおおよその目星をつけておくと良いでしょう。
保育中子どもの様子のメモを取っておく
園だよりで伝えたい子どもの姿は、普段の保育の中にあります。あとから思い出すのは難しいので、使えそうな場面はその都度メモに書き留めておきましょう。生活の中でのエピソードや遊びのブームなど、数行のメモでもよいので記録を残しておくと、園だよりを作成するときのヒントになります。
連絡帳を書くタイミングや手が空いた時間に、メモを取っておきます。
園だよりの書き方手順②デザインや文章を作成する
材料が揃ったら、中身の作成に取りかかります。最初から完璧な内容にしようと気負わずに、手順に沿って1つずつ工程をこなしていきましょう。時間がなくなると焦りを感じてしまうので、スケジュール通りにコツコツ進めるのが大切です。
全体のレイアウトをおおまかに決める
レイアウト設計では、何をどこに、どれくらい掲載するかを決めます。厳密なレイアウトでなくても、A4用紙に手書きでざっと書けば十分です。おおまかなメモですが、園だよりの重要な設計図になります。この工程でどの部分にどんな文章を入れる必要があるかわかるので、作業量の見通しが立ちます。
レイアウトする際は、育児や仕事に忙しい保護者が見やすいように、文章を詰め込み過ぎずに見やすさを重視しましょう。
書く内容を箇条書きで書き出す
どんな内容の文章がどれくらい必要か把握したら、次は箇条書きで文章の下書きを作成しましょう。いきなり完璧な文章を書くのは難しいですが、箇条書きを書くだけならハードルが下がって取りかかりやすくなります。
すべての文章をいちから考える必要はありません。季節のあいさつなどは、文例集や過去の園だよりを参考にできる部分です。他の文章を参考にする部分には、探しやすいように参考元をメモしておきましょう。
文章を整える
文章を書いていく段階です。箇条書きを見ながら下書きをします。難しく考えず、まずはざっと最後まで書き切る気持ちが大切です。一番取りかかりにくいステップですが、締め切りが迫ると焦るので、とにかく書き始めてみてください。
おおまかな下書きを完成させてから、少しずつ文章を整えていきます。1文が長すぎないか、文の意味はわかりやすいかに気をつけて推敲しましょう。
イラストと文章を挿入し仕上げる
文章が完成したら、レイアウトしていきます。文章を打ち込み、イラストを挿入して全体を整えていきます。慣れないうちは時間がかかるので、時間と気持ちに余裕を持って進めましょう。パソコンが苦手な場合は、1人で悩まず得意な人に相談して教えてもらうのが得策です。
初めて園だよりを担当する場合は、わからない部分を自己判断せずに、園の先輩や上司に質問しながら進めてください。
園だよりの書き方手順③最終チェックを念入りに行う
紙面が出来上がったら、隅々までチェックします。園だよりは全保護者に配るので、間違いがあると訂正を知らせるのも大変です。配布の前に綿密に確認し、正確な情報を発信しましょう。確認作業も手順通りにおこない、チェックの抜けがないようにしてください。
サンプルとして数枚プリントアウトする
チェックをかけるために、サンプルとして数枚プリントアウトします。カラーの園だよりを作成する場合は、カラー印刷で色味の確認もしましょう。プリントアウトすると、パソコン上ではわからなかった文章の間違いやレイアウトのずれがわかるので、必ずプリントアウトして確認します。
かわいいと思って入れたイラストが、プリントアウトしてみると違うイメージになる場合があります。この段階なら差し替えが利くので、気になる際は別のイラストを探してみてください。レイアウトの微調整やフォントの変更をする場合も同様に、この段階で済ませておきましょう。
情報が正確か最終確認をする
サンプルとして印刷した園だよりに間違いがないか確認し、赤ペンでチェックを入れます。各クラスから提出された文章や行事資料と照らし合わせも忘れずにおこなってください。一度にすべてを見ようとせず、見るポイントを絞って数回かけて確認していきます。
1回目は日付や時間などの数字や固有名詞などの情報が正しいかを確かめてください。そばに子どもがいると書類に集中するのが難しいので、可能な限り保育と離れた別の時間をとりましょう。
文章の間違いをチェックする
おかしい部分はないか、1文ずつ見ていきます。漢字の間違いがあると一気に園への信用が下がるので、とくに注意してください。少しでも自信がない漢字は、すべて辞書で調べ直します。パソコンの予測変換を使っていると、同音異義語を選択している場合があるので注意が必要です。
見落としがちなのが、助詞(てにをは)の抜けです。ゆっくり見直しながら、間違いを探すつもりでチェックしましょう。
読みやすい文か見直す
文の流れが悪い部分がないか、確認するために音読します。文章を書いた自分は意味がわかるけれど、他の人が読むと理解しにくい場合があるためです。筋が通っていない文脈がないか、じっくりと考えながら読んでみましょう。真っさらな目で見直すために、同僚の保育士にも読んでもらって、わかりにくい部分を指摘してもらうとより効果的です。
園長や主任に提出して確認してもらう
最終チェックとして、園長と主任にプリントアウトした園だよりを読んでもらいます。文章のテイストやレイアウトの修正を指示されたら、メモを取りながら内容をよく聞いて修正します。園だよりは個人の発信ではないので、園や園長の意向に沿った内容に整えましょう。細かい表現やイラストの位置は人によって良いと思うものが違うので、ある程度修正の指示があっても自然です。
園だよりの書き方ポイント①園のカラーに合わせる
園全体の方向性や取り組みを伝えるのが園だよりです。各月の担当者によって、内容にバラつきがあっては問題です。個人の考えを発表する場ではなく、園から保護者全体への発信だとふまえておきましょう。
園だよりには園の保育方針や特色が出る
園によって、保育理念や保育方針は異なります。運動や自然との触れ合い、食育や教育的な要素など、運営計画に取り入れている内容もさまざまです。園だよりは子どもの姿やお知らせを伝達する以外にも、その園ならではの保育への想いを伝える手段でもあります。
あるこども園が2023年に行った保護者アンケートでは、98.2%の保護者が園だよりを含む園からのおたよりや発信を読んでいました。園の特色を伝える園だよりは、ほとんどの保護者が重要視している大切な情報誌です。
園の方針に沿った内容にまとめる
園だよりは園全体の発信ですので、園の方針に沿った内容を掲載します。園だよりを作成する機会に、自園の全体的な計画や各クラスの年間カリキュラムをあらためて読み直してみましょう。自園がどんな方向性の保育を行い、どんな子どもを育てようとしているのかが見えてくるはずです。
園の保育方針への深い理解は園だよりの文章を考える土台になり、語彙の選択や表現の仕方に影響します。
文章のトーンや行事名などを統一する
園だよりは全体の文章のトーンを統一します。記号や顔文字の使用が大丈夫な園もあれば、くだけた表現を使わない園もあります。今までの園だよりと比較して、雰囲気が違っていないか確認しましょう。
行事名や語彙も言い方を統一します。「遠足」と「園外保育」、「散歩車」と「避難車」、「発表会」と「生活発表会」など、バラバラにせずこれまでの園だよりと同じ言葉に揃えましょう。
園だよりの書き方ポイント②定型文と自分の言葉で書く文を分けて考える
園だよりの文章を書くとき、2つのパートに分けて考えるとスムーズに進められます。1つはほぼ書く内容が決まっているパート、もう1つは自分で表現を考えるパートです。効率的に作成できるように、2つのパートへの時間配分を工夫して作成しましょう。
あいさつやお知らせは定型文をもとにアレンジする
おたより冒頭の季節のあいさつ文や園からのお知らせは、ある程度書く内容が決まっています。形式が決まっている部分は、過去の園だよりや文例集を参考にして書きましょう。まったく同じ文にするのではなく、文章の流れを見て自分でアレンジすると効果的です。
難しいと思うかもしれませんが、何回か園だよりを作成しているうちに慣れてきます。保育士は連絡帳や月案などで文章を書く機会が多いので、園だよりも文章を書く良い機会と捉えて取り組んでみてください。
子どもの姿は自分の言葉で伝える
クラスの様子や子どもたちの姿は生き生きと伝えるので、定型文のアレンジではなく自分で文章を考えます。どんな遊びをしたか、子どもはどんな反応だったか、その場面を見ていない保護者が想像できるように考えて言葉を選びます。
保育園での子どもの姿を書けるのは、そばにいる保育士だけです。子どもの成長を温かく見守る視点から、愛情を込めた言葉で表現しましょう。
園だよりの書き方ポイント③情報の間違いや誤字・脱字に注意する
園だよりに載せた情報が正確かどうかを、よく確認してください。園だよりは全保護者に配布するので、情報が間違っていたらマイナスの影響が大きく出てしまいます。情報に誤りがないよう確認を徹底してください。
日付や曜日の間違いに注意
月間スケジュールやカレンダーを掲載している場合、日付や曜日を複数回見返して確かめます。日付や曜日が間違っていると何が正確な情報かわからなくなり、保護者が混乱してしまうためです。
祝日の表記が抜けていないか、カラーで印刷している場合は祝日や日曜日の色が間違っていないかも確認します。見落としがちな細かい部分までよく確認しましょう。
行事日程の間違いに注意
園だよりで保護者が必ず確認するのは、行事の日程です。園だよりを家庭の冷蔵庫などに貼って、行事の予定と仕事や家庭の予定を調整している保護者もいます。参観日などの行事のために、保護者は有給を取得したり予定を空けたりするので、迷惑をかけないように行事の日付には万全の確認をします。
誤字・脱字に注意
どれだけ良い文章を書いたとしても、かわいいイラストで仕上げたとしても、誤字や脱字があるだけで雑な園だよりに見えてしまいます。音読で目と耳で確認したり、パソコンソフトのチェック機能を活用したりして確認しましょう。「たぶん大丈夫だろう」と安易に考えず、誤字脱字がないよう丁寧に調べて確認します。
まとめ
この記事では、園だよりの書き方の手順とポイントを順を追って説明しました。初めて園だよりを作成する場合は、やるべき作業が多すぎると感じるかもしれません。ポイントを押さえて1ステップずつ着実に進めていけば完成するので、落ち着いて作業をしてください。
保育士のスキルを解説した書籍では、園だよりについて「作成する保育士が楽しみながら作成すれば、読む側も楽しく読める」と説明されています。園だよりの作成も保育士としての新しい経験として、楽しみながらおこなっていきましょう。
園だよりを作成すると、保育そのものへの関心が掘り下げられ視野が広がります。他の園の方針や取り組みにも興味が出てきたら、信頼できる保育士転職サービスで自分に合った園を探してみませんか。
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