
保育士の給料って今後上がるの?



今の収入が低くて将来が不安…。給料を増やす方法はある?
このような悩みを抱えていませんか?
保育士の給料は低いまま停滞していた時期もありましたが、近年、国の施策によって処遇改善が進んでいます。
直近では、こども家庭庁が2024年度(令和6年度)の人件費を10.7%引き上げる方針を発表しました。
また、2022年2月からは処遇改善加算Ⅲとして月額9,000円の賃上げが実施され、現在もこの制度は継続されています。
保育士の人手不足や離職率の高さを踏まえると、今後も保育士の給料は上昇傾向が続くと考えられるでしょう。
本記事で、保育士の給料が上がっている背景や処遇改善の現状を解説します。給料を自分の力で上げていく方法も紹介しているので、参考にしてみてください。




【最新】保育士の人件費10.7%引き上げ|給料が上がる背景





保育士の給料が10%アップするってウワサは本当?
結論、保育士全員の給料が10%上がるわけではありません。政府は保育士の処遇改善のために人件費を10.7%引き上げる方針を示したため、情報が混同されているようです。
ここからは、人件費10.7%引き上げの政策について解説します。
2024年(令和6年)11月22日に、こども家庭庁の三原じゅん子こども政策担当大臣は、保育士の人件費を10.7%引き上げる施策を発表しました。
以下は、こども家庭庁の資料に掲載されている、保育士の人件費における増減率を示したグラフです。


令和6年の人件費増加率は、これまでの水準を大きく超えており、過去最大の増加率を記録しています。
実際に、こども家庭庁の2024年度補正予算案には、人件費引き上げのための処遇改善補正予算として1,150億円が組み込まれました。
この人件費は、国家公務員の給与の改定内容に準じており、若年層に重点を置いた月額やボーナスの引き上げにつながると期待されています。
保育士の給料を上げる取り組みはほかにも【処遇改善の種類】


国が実施している保育士の処遇改善の取り組みはほかにもあります。
以下は、保育士の処遇改善の土台となる主な制度です。
- 処遇改善加算Ⅰ
- 処遇改善加算Ⅱ
- 処遇改善加算Ⅲ
それぞれの加算内容を見ていきましょう。
処遇改善加算Ⅰ:最大18%給与が上乗せ
処遇改善加算Ⅰは、施設の平均勤続年数や賃金改善の状況に応じて、給料が加算される仕組みです。
処遇改善等加算Ⅰは、以下の3つの要素で構成されています。
加算区分 | 内容 |
---|---|
基礎分 | ・平均勤続年数に応じて2~12%上乗せ ・平均勤続年数を伸ばすには、保育士が長く働く環境を整える取り組みが必要 |
賃金改善要件分 | ・賃金改善が認められた保育園が対象で、平均勤続年数が11年未満は6%、11年以上は7%加算 ・対象園になるには賃金改善計画・実績報告が必要 |
キャリアパス要件分 | ・キャリアアップ支援が適切でない場合「賃金改善要件分」から2%減額 ・役職に応じた勤務条件や賃金体系の設定、キャリアアップ研修の機会確保などが必要 |
以下は、厚生労働省の資料に掲載されている「処遇改善等加算Ⅰの仕組み」を図解化したものです。


平均勤続年数の長さや、各要件を適切にクリアした施設の評価に応じて、加算率が上昇する仕組みとなっているのがわかります。
高い加算を獲得できる職場では、保育士の給料も比例して上がるでしょう。
処遇改善加算Ⅱ:キャリアアップ研修で最大4万円の役職手当
処遇改善等加算Ⅱは、保育の質向上と処遇改善を目的とした制度です。
役職に応じた手当が支給され、保育士の給与を増やす仕組みが整っています。
具体的には以下の要件を満たした保育士は、月額5,000〜4万円の手当が支給されます。
要件 | |
---|---|
月額4万円の対象者 | ・副主任保育士や専門リーダーとして発令 ・経験年数が概ね7年以上・4分野以上の研修を修了 |
月額5,000円の対象者 | ・職務分野別リーダーとして発令 ・経験年数が概ね3年以上・担当分野の研修を修了 |
配当は施設側が自由に設定できるため、役職が発令されても必ずしも加算額を満額受け取れるとは限りません。
とはいえ、加算額は確実に賃金改善に充てるのが制度の条件となっているため、処遇改善の効果は確実に現れるはずです。



過去にキャリアアップ研修を受けて、給料が上がった経験があります。
研修の修了効力は全国で有効なので、転職先でも役職手当がついて嬉しかったです。
以下の記事では、キャリアアップ研修について解説しています。対象者や手当の詳細をわかりやすく説明しているので、参考にしてみてください。


東京・神奈川・千葉・埼玉の保育士向け転職エージェント『しんぷる保育』では、キャリアアップ研修の受講支援に力を入れている保育園を厳選して紹介することも可能です。無料相談も実施しているので、お気軽にお問い合わせください。
処遇改善加算Ⅲ:岸田元総理が推進した施策で月額9,000円上乗せ
処遇改善加算Ⅲは、令和4年2月に実施された制度で、保育士の収入を3%程度(月額 9,000円)引き上げるものです。新型コロナウイルス感染症が流行した時期に臨時措置として導入されました。
この制度は、臨時の対応だったものの、賃上げ効果の継続が前提とされていました。そのため、実施期間の令和4年2〜9月が過ぎた、令和4年10月以降現在も加算が続いています。
実際に、令和5年度における保育予算案にも3%程度(月額9,000円)の処遇改善に必要な予算が盛り込まれています。
参考:内閣府子ども・子育て本部統括官|保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の実施について
こども家庭庁|令和5年度 保育関係予算案の概要
保育士の給料は年々上がっている|今後の見通しは?



保育士の給料ってどうしてずっと低いままなの?
このような疑問をおもちの方もいるでしょう。
しかし、国や施設の継続的な処遇改善の取り組みにより、保育士の年収は年々上昇傾向にあります。
以下は、厚生労働省の調査結果を参考にして作成した、保育士の平均年収の推移を示したグラフです。


最新データとなる令和元年の平均年収は、364万円です。
保育士の処遇改善が本格的に始まった2013年(平成25年)の平均年収は、310万円でした。
平均年収が6年間で50万円以上増加していることがわかります。
保育士の人手不足や離職率の高さは今もなお社会の課題であるため、今後も国による待遇の見直しと処遇改善は続くことが期待できるでしょう。
保育士が給料を自分の力で上げる4つの方法





国の施策以外にも給料を上げる方法はあるの?
あなたの行動次第でも給料アップを叶えるのは可能です。給料アップに効果的な方法は以下の4つです。
- 園長や主任の管理職を目指す
- キャリアアップ研修を受ける
- 今よりも給料が高い職場に転職する
- 今よりも給料の相場が高い地域で働く
あなたにあった方法を選択し、取り組んでみてください。
園長や主任の管理職を目指す
保育士が給料を上げる方法として、園長や主任などの管理職を目指す道があります。
管理職は責任が重い仕事ではありますが、役職手当が支給されるため、給与アップが期待できます。
以下は、施設長・主任保育士・保育士の平均年収を示した表です。
職種 | 平均年収 |
---|---|
施設長 | 698万3,964円 |
主任保育士 | 568万2,384円 |
保育士 | 417万7,428万 |
集計結果「職種別職員1人当たり給与月額/保育所」
※私立保育園における常勤職員のデータ
※賞与込み
保育士と施設長の間には約200万円以上、主任保育士とは約100万円以上の差があることがわかります。
管理職になるには、経験と信頼の積み重ねが欠かせません。今の仕事をコツコツと丁寧にこなせば、管理職への道が開けるでしょう。


キャリアアップ研修を受ける
キャリアアップ研修を受けて、新たに設立された役職に就くのも、保育士が給料アップに向けた選択肢です。
キャリアアップ研修は、保育士の質向上と処遇改善を目的とした国の施策です。一定の要件を満たして役職が発令されれば、最大月額4万円の手当が支給されます。
支給額を受け取れる対象者は、以下のとおりです。
要件 | |
---|---|
月額4万円の対象者 | ・副主任保育士や専門リーダーとして発令 ・経験年数が概ね7年以上・4分野以上の研修を修了 |
月額5,000円の対象者 | ・職務分野別リーダーとして発令 ・経験年数が概ね3年以上・担当分野の研修を修了 |
国から支給される加算額の配当決定権は保育園にあるため、役職に就いたからといって支給額を満額を受け取れるとは限りません。
しかし国は「加算額は確実に賃金改善に充てること」を条件としているため、収入面での改善が確実に見られるはずです。


今よりも給料が高い職場に転職する
今よりも給料が高い職場に転職するのも、給料を上げるための方法です。
職場の給料は、さまざまな要因で差が生じます。要因の一例を、以下の表にまとめました。
要因 | 詳細 |
---|---|
処遇改善加算 | ・保育士の平均勤続年数や、処遇改善の取り組み状況に応じて国から補助金が出る ・補助金は保育士の給与に反映されるため、給料が上がる |
園独自の手当 | ・手当が充実している保育園は、給料が底上げされる ・家賃手当(相場は月額5,000円〜3万円程度)や通勤手当(相場は月額20,000円〜50,000円程度)などがある |
賞与の支給額 | ・賞与の回数や支給額は保育園側が自由に決められる ・賞与の支給額は年収に影響する |
転職先を選ぶ際は、基本給だけでなく、手当や賞与の確認も大切です。処遇改善が進んでいる職場を選べば、さらに安定した収入が得られます。



求人の第一条件を「給料の高さ」にして転職した経験があります。
結果的に年収が上がって、収入面での不安が軽減されました。




今よりも給料の相場が高い地域で働く
保育士の給料は、働く地域によって違いがあります。
たとえば、都心部では物価が高いため、給料も高めに設定される傾向があります。また、自治体による処遇改善の取り組みや最低賃金の違いも影響しているのです。
以下は、政府が実施した統計調査の結果をもとに、保育士の平均年収が高い都道府県トップ5を示した表です。
順位 | 都道府県 | 平均年収(円) |
---|---|---|
1 | 東京 | 453万4,700円 |
2 | 京都 | 452万8,400円 |
3 | 広島 | 452万7,900円 |
4 | 和歌山 | 449万8,900円 |
5 | 大阪 | 427万9,800円 |
※園長や主任など役職がつく労働者のデータも含む
給料の高い地域への転職を検討すれば、高収入の職場に出会えるチャンスが広がります。



私は地方の出身で、給料の高さを考えて都内に就職しました。
一人暮らしだったのですが、借り上げ社宅制度を活用したため、生活費の負担を最小限におさえながら働けました。
地域ごとの給料の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。




保育士の給料が上がる職場に転職したいなら「しんぷる保育」にご相談ください



給料が高い保育園や自治体を紹介してほしい
このように転職に関してお悩みなら『しんぷる保育』にご相談ください。
しんぷる保育は1都3県の東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に、保育士の就職・転職サポートをおこなっている人材紹介会社です。
しんぷる保育は関東のほぼすべての保育園と取引しているため、豊富な求人のなかからあなたの希望に合う条件の職場を厳選してご紹介いたします。
「月収25万円以上の保育園を紹介してほしい」
「将来性がありキャリアアップしやすい職場を紹介してほしい」
「一人暮らししたいので、家賃手当が充実している保育園を探したい」
といったご相談にも対応いたします。
無料で利用できるので、まずは登録してどんな求人があるかチェックしてみてください。
保育士の給料を上げたいならキャリアアップや転職も検討しよう


国が実施する処遇改善策による影響で保育士の給料は、年々引き上げられています。
2024年度には保育士の人件費が10.7%引き上げられる政策が導入され、処遇改善の動きが続いています。
ただし、保育士の給料を上げるには、国の施策に期待するだけでは不十分です。キャリアアップや転職といったあなた自身の行動も大切です。
本記事で紹介した給料アップの方法を参考に、できることからはじめてみてください。



給料が良い職場を自分で探せる自信がない。



自分で探したら良い条件を見落としそうで不安…
という方は、くりかえしですが保育士向けの就職・転職支援サービスである『しんぷる保育』にご相談ください。
しんぷる保育は関東のほぼすべての保育園と取引しています。あなたのご希望にあった求人を厳選し、理想の職場探しをサポートいたします。
無料で相談できるので、まずはお気軽にお問い合わせください。