派遣の「抵触日」とは?派遣で知っておきたい期間制限をわかりやすく解説

Q&A

派遣の抵触日ってなに?

派遣社員には、原則として同じ事業所・同じ組織単位で働ける期間に上限が定められています。

そのため、派遣先となる就業場所では、「いつまで派遣社員を受け入れられるのか」、「現在の派遣社員はいつまで勤務できるのか」をあらかじめ確認しておくことが大切です。

この記事では、労働者派遣法における「抵触日」の基本から、派遣社員を雇用するにあたり特に注意したいポイントまで、わかりやすく解説します。

目次

派遣の「抵触日」の定義

派遣における「抵触日」とは、簡単にいうと、法律上の派遣期間の制限に抵触することになる最初の日を指します。
労働者派遣法では、派遣先が派遣労働者を受け入れられる期間について、原則として「3年」という期間制限が設けられています。

例えば、ある保育園が2026年4月1日から派遣労働者を受け入れ始めた場合、延長手続きなどを行わなければ、原則として2029年4月1日が事業所単位の抵触日となります。

ただし、派遣の期間制限には、

  • 事業所単位の期間制限
  • 派遣労働者個人単位の期間制限

の2種類があります。

この2つは似ていますが、期間を計算する対象が異なるため注意が必要です。

事業所単位の期間制限とは?

「事業所単位の期間制限」とは、派遣先の同一の事業所が、派遣労働者を受け入れられる期間に関する制限です。

原則として、同一の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間は3年までとされています。

例えば、保育園Aが2026年4月1日から派遣労働者の受け入れを開始した場合、

2026年4月1日~2029年3月31日

が原則的な派遣受入期間となり、2029年4月1日が抵触日となります。

ここで重要なのは、事業所単位の期間制限は「派遣されている人」ではなく、派遣先の事業所における派遣の受け入れ期間を基準に考えるという点です。

そのため、3年の期間中に派遣保育士が交代したとしても、事業所単位の期間制限がリセットされるわけではありません。

個人単位の期間制限とは?

もう一つが「個人単位の期間制限」です。

これは、同じ派遣労働者が、派遣先の同一の組織単位で働ける期間に関する制限です。

原則として、同じ派遣労働者を同一の組織単位に派遣できる期間は3年が上限となります。

例えば、派遣保育士Aさんが、同じ保育園の同一の組織単位で2026年4月1日から勤務を開始した場合、原則として2029年4月1日以降、同じ組織単位で引き続き派遣就業することはできません。

一方で、別の組織単位での就業であれば、個人単位の期間制限について別の考え方となります。

ただし、保育園では一般企業の「課」や「部」のように組織単位が明確に分かれていないケースもあるため、実際の組織構成や指揮命令系統などを踏まえて判断する必要があります。

「事業所単位」と「個人単位」の違い

2つの期間制限を簡単に整理すると、以下のようになります。

事業所単位個人単位
何を制限する?派遣先事業所への派遣受入期間同じ派遣労働者の同一組織単位での就業期間
原則の上限3年3年
誰を基準にする?派遣先の事業所派遣労働者個人
派遣スタッフを交代した場合期間はリセットされない新しい派遣労働者については、その人の就業開始から計算
延長一定の手続きにより可能原則として同一組織単位で3年を超えて派遣することはできない

特に注意したいのが、「派遣保育士を別の人に交代すれば、また3年間派遣してもらえる」というわけではないという点です。

事業所単位の期間制限があるため、派遣スタッフを交代しただけでは、事業所としての3年間のカウントはリセットされません。

抵触日を迎えたら、派遣保育士はどうなる?

では、保育園が派遣保育士を受け入れている途中で抵触日を迎えた場合、どうなるのでしょうか?

事業所単位の期間制限については、派遣先が一定の手続きを行うことで、派遣可能期間を延長することができます。

延長する場合、派遣先は、事業所の過半数労働組合等に対して意見を聴く必要があります。

この意見聴取は、原則として事業所単位の抵触日の1か月前までに行う必要があります。

そのため、抵触日が近づいてから慌てて対応するのではなく、早めに派遣元会社と確認しておくことが重要です。

保育士派遣で特に注意したい「育休代替」

保育士派遣では、産休・育休などを取得する職員の代替として、派遣保育士を受け入れるケースがあります。

このような産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務の代替として行われる派遣については、期間制限の対象外となる場合があります。

例えば、「育児休業に入る保育士の代わりに、派遣保育士に勤務してもらう」といったケースです。

ただし、単に「人手不足だから派遣保育士を受け入れている」というケースと、育児休業等の代替として派遣を受け入れるケースでは扱いが異なるため、派遣契約の内容や実際の派遣理由を踏まえて判断することが必要です。

無期雇用の派遣保育士にも抵触日はある?

派遣元会社と無期雇用契約を結んでいる派遣保育士については、期間制限の扱いが異なります。

厚生労働省は、派遣元事業主に無期雇用されている派遣労働者を、期間制限の対象外となる者の一つとして示しています。

そのため、派遣保育士が「有期雇用派遣なのか、無期雇用派遣なのか」によって、期間制限の確認方法も変わります。

派遣を長期的に活用したい場合には、派遣会社に雇用形態について確認しておくと安心です。

60歳以上の派遣労働者も期間制限の対象外

期間制限にはいくつかの例外があり、60歳以上の派遣労働者も期間制限の対象外とされています。

このほか、以下も一定の要件のもとで期間制限の対象外となります。

  • 有期プロジェクト業務
  • 日数限定業務
  • 産前産後休業・育児休業・介護休業等を取得する労働者の業務

派遣先の保育施設が確認しておきたいポイント

派遣保育士を受け入れている保育園・認定こども園などでは、以下の点を確認しておくとよいでしょう。

① 派遣の受け入れ開始日はいつか

まず、現在の派遣受け入れがいつから始まったのかを確認します。
過去に別の派遣会社や別の派遣労働者を受け入れていた場合には、事業所単位の期間制限の起算日についても確認が必要です。

② 事業所単位の抵触日はいつか

「今働いている保育士さんがいつまで働けるか」だけでなく、その保育園自体がいつまで派遣を受け入れられるのかを確認します。

③ 個人単位の抵触日はいつか

現在勤務している派遣保育士について、同一の組織単位での就業開始日から3年となる時期を確認します。

④ 延長手続きが必要か

事業所単位の期間制限を延長する場合には、所定の手続きが必要です。
抵触日直前になって対応するのではなく、早めに派遣会社へ相談することをおすすめします。

⑤ 期間制限の例外に該当しないか

無期雇用派遣、60歳以上の派遣労働者、育児休業等の代替業務など、期間制限の対象外となるケースもあります。

「抵触日」は派遣会社に確認するのがおすすめ

派遣の期間制限は、単純に「派遣開始から3年」と考えればよいとは限りません。
事業所単位・個人単位という2つの期間制限があり、さらに一定の例外や延長手続きがあります。

特に保育施設では、

  • 保育士の産休・育休に伴う代替
  • 年度途中の人員補充
  • 長期的な人材確保
  • 同一法人による複数園の運営

など、一般企業とは異なる事情で派遣を利用することも少なくありません。

「この派遣保育士はいつまで勤務できますか?」
「この保育園はいつまで派遣を受け入れられますか?」
「育休代替の場合は抵触日はどうなりますか?」

といった疑問があれば、早めに派遣会社へ確認しておきましょう。

まとめ|派遣保育士の受け入れは「抵触日」の確認が大切

派遣の「抵触日」とは、派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日を指します。

派遣の期間制限には、主に「事業所単位の期間制限」と「個人単位の期間制限」の2種類があります。

原則としてそれぞれ3年という期間制限がありますが、一定の手続きを行うことで事業所単位の派遣可能期間を延長できるほか、無期雇用派遣や育児休業等の代替業務など、期間制限の対象外となるケースもあります。

保育士派遣を適切に活用するためには、派遣先の保育施設と派遣会社が連携し、「いつから派遣を受け入れているのか」「抵触日はいつなのか」「期間制限の例外に該当するのか」を事前に確認しておくことが重要です。

当社では、保育施設の人材不足や急な欠員など、それぞれの状況に合わせた保育士派遣のご相談を承っています。

派遣保育士の受け入れ期間や抵触日についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。


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