「不適切保育って具体的にどんな保育を指すの?」
「不適切保育をしている職員がいたらどうするべき?」
このような疑問に答えていきます。
現代、不適切保育の問題がニュースでよく取り上げられています。「子どもにつらい思いをさせたくない…」と、不適切保育の理解を深めたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、国が公表しているガイドラインをもとに不適切保育の定義や具体例を紹介していきます。不適切保育が起こる要因や未然に防ぐ方法も解説しているので、適切な保育を提供し続けたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
不適切保育の定義
厚生労働省が公表した手引書のなかで不適切保育は以下のように定義されています。
保育所での保育士等による子どもへの関わりについて、保育所保育指針に示す子どもの人権・人格の尊重の観点に照らし、改善を要すると判断される行為
厚生労働省:不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き
手引書に示されている不適切保育の行動パターンと、全国保育士会発行のセルフチェックリストに記載されている行動の具体例を下の表にまとめました。
不適切保育の行動パターン | 行動の具体例 |
---|---|
子ども一人一人の人格を尊重しない関わり | ◼️排泄の失敗を責めたり、周囲に知らせたりする ◼️泣き止まない子どもに対して「赤ちゃんみたいで恥ずかしい」と声をかける ◼️苦手な活動に取り組む子どもに対して急かしたり、他者と比較したりする ◼️子ども同士のトラブルが起きたときに、言い分を聞かず一方的に判断する ◼️食事の際、よくこぼすことを理由に1品ずつしかメニューを提供しない |
物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ | ◼️言うことを聞かない子どもに「〇〇しないなら△△できないからね」と言葉をかける ◼️思いどおりに動かそうと、怒鳴ったり、子どもが怖がる鬼やオバケのキーワードを出して脅したりする ◼️なかなか寝つけない子どもに対して「あなたのせいで仕事ができないから早く寝て!」と伝えたり、保育室の外で寝るように促したりする |
罰を与える・乱暴な関わり | ◼️子どもの人数をチェックする際に、子どもの頭を手ではたきながら数える ◼️整列するのに時間がかかっている子どもの腕を引っ張る ◼️なかなか寝つけない子どもに対して強引に押さえつけたり、強く布団を叩いたりする ◼️言うことを聞かない子どもを廊下に立たせたり、散歩にいく際に置いていこうとしたりする |
子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり | ◼️お迎え時間が遅い子どもに対して「〇〇ちゃんのお母さんは、今日も遅いね」という ◼️体の汚れが発見された子どもに対して「昨日お風呂に入れてもらわなかったの?」と否定的な言葉がけをする ◼️経済的に余裕のない子どもがいるのにも関わらず休日の過ごし方を全員の前で発表させる |
差別的な関わり | ◼️特定の子どもにだけ「おはよう」と伝える ◼️「男の子なんだから泣かない!」「女の子なんだから戦いごっこはしない!」と性別を話題にして注意する ◼️寝かしつけの際に、いつも同じ子どもの側ばかりにつく |
全国保育士会発行のセルフチェックリストでは、チェック結果をグラフ化できるワークや振り返りシートも掲載されているので自分の保育内容を見直したい方はぜひ活用してみてください。
不適切保育の発生件数は年間で900件以上!
こども家庭庁が令和4年に実施した「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」によると、不適切な保育の事実が確認された保育所の件数は931件にもおよびます。
以下は、不適切保育の具体的な行動パターンの内訳です。※重複回答あり
全体 | 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり | 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ | 罰を与える・乱暴な関わり | 子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり | 差別的な関わり | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|
931件 | 394件 | 343件 | 284件 | 123件 | 44件 | 113件 |
引用元:こども家庭庁「保育所等における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」
「子ども一人一人の人格を尊重しない関わり」「 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ」「罰を与える・乱暴な関わり」の発生率がほかの行動パターンと比べて高い傾向にあります。
不適切保育を減らしていくために、自分の言動を定期的に振り返り、子どもの人格や自尊心を傷つけていないかを確認していく作業が保育士一人ひとりに求められるでしょう。
不適切保育は虐待とみなされる可能性もある
ことも家庭庁が公表した「保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」では、不適切保育のなかに虐待が含まれ得ると明記されています。
児童福祉法第9条において虐待は「心身に有害な影響を与える行為」と定義されており、行為を犯すと暴行罪や脅迫罪で問われる可能性があります。
ここでは、虐待の種類と保育現場における具体例を解説していきます。
- 身体的虐待
- 心的虐待
- ネグレクト
- 性的虐待
不適切保育と虐待は紙一重な部分もあるので、しっかり理解を深めておきましょう。
①身体的虐待
子ども家庭庁が発行したガイドラインにおいて、身体的虐待はこのように定義されています。
保育所等に通うこどもの身体に外傷が生じ、又は生じるおそ れのある暴行を加えること。
こども家庭庁:保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
具体的には以下のような行為を指します。
- 首を絞める
- 溺れさせる
- 熱湯をかける
- 体を拘束する
- 激しく揺さぶる
- 逆さ吊りにする
- 外傷を負わせる
- 殴る、蹴る、叩く
- 投げ飛ばす・投げ落とす
外傷を負わせるのはもちろん、子どもが痛みを伴うような行為は禁止されています。
②心的虐待
こども家庭庁による心的虐待の定義づけは以下のとおりです。
保育所等に通うこどもに対する著しい暴言又は著しく拒絶的 な対応その他の保育所等に通うこどもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
こども家庭庁:保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
具体的には以下のような行為を指します。
- 言葉や態度で脅す
- 無視したり、拒否的な態度を示したりする
- ほかの子どもとは著しく差別的な扱いをする
- ほかの子どもと接触させず孤立的な扱いをおこなう
- 感情のままに、大声で指示を出したり、しかったりする
- 心を傷つける言葉を繰り返し伝える(例:「ばか」「とろい」)
- 自尊心を傷つけるような言動をおこなう(例:失敗をあざ笑う、「どうしてこんなこともできないの?」と責める)
子どもが萎縮する言葉や高圧的な態度により、子どもの心に傷を負わせる行為は禁止されています。
③ネグレクト
ネグレクトの定義はこちらです。
保育所等に通うこどもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、当該保育所等に通う他のこどもによる①②又は④までに掲げる行為の放置その他の保育所等の職員としての業務を著しく怠ること。
こども家庭庁:保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
具体的には以下のような行為を指します。
- 適切な食事を与えない
- 泣き続ける子どもを長時間放置する
- 別室などに閉じ込める、部屋の外に締め出す
- スキンシップやコミュニケーションをとらない
- 不潔な状態にする(おむつを替えない、汚れている服を替えさせない)
- 子どもの情緒的欲求に応えていない(例:愛情を求めているのに無視する)
- 子どもの健康・安全への配慮を怠る(例:体調を崩している子どもに適切な健康管理をおこなわない)
子どもの健全な発達や成長を阻害するような行為は禁止されています。ほかの職員が不適切な指導をしている状態を放置するのもネグレクトに該当する可能性があるため注意しましょう。
④性的虐待
こども家庭庁による性的虐待の定義づけはこちらです。
保育所等に通うこどもにわいせつな行為をすること又は保育所等に通うこどもをしてわいせつな行為をさせること。
こども家庭庁:保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン
具体的には以下のような行為を指します。
- 下着のままで放置する
- 必要のない場面で裸や下着の状態にする
- 子どもの性器を触る
- 子どもに自分の性器を触らせたり、見せたりする
- 本人の前でわいせつな言葉を発する
- 性的な会話をしたり、話を強要したりする
- 子どもへの性交・性的暴行をおこなう
子どもを性的な目でみて、わいせつな行為をするのは禁止されています。
着替えやオムツ替えの際に長時間も下着や裸のままでいさせるのは性的虐待になるので、短時間で対応する流れを考えなくてはなりません。
不適切保育の事例5つ【ニュースにもなった】
ここからは、実際に起きた不適切保育の事例を5つ紹介します。
年度の新しい順にみていきましょう。
事例①2022年/宮城県仙台市 認可外保育園
まずは、2022年に宮城県仙台市の認可外保育園で起きた事例です。保育所内の防犯カメラ映像を確認したところ、保育士を含む職員4人による不適切保育が発覚しました。
事実確認された行為はこちら。
- 頬をつねる
- 大声でしかる
- 午睡中の園児に対し服薬させる
- 下着姿で日常的に昼食をとらせる
- 胸を小突いてしりもちをつかせる
- 腕や襟首をつかんで引っ張りあげる
- 泣いている園児や愛着を求める園児を放置する
- 園児を逆さまにしたまま「たかい・たかい」する
- 保育者の目の届かないところに子どもを放置する
- 保育室内の柵をよじ登ろうとした園児を柵に押し付ける
市は保育園に対して行政指導を実施。不適切な保育に関わった保育士1人は懲戒解雇、保育士と看護師の計3人は減給処分となりました。
事例②2022年/富山県富山市 認定こども園
次は、2022年に富山県富山市の認定こども園で起きた事例です。同園の関係者からの情報提供により、元保育士2人の不適切保育が発覚しました。
事実確認された行為はこちらです。
- 体を棒でつつく
- 物置に閉じ込める
- 両足をもって引きずる
虐待したとして元保育士2人は書類送検されています。また、県はこの園に対して再発防止策を講じるよう行政指導をおこないました。
事例③2022年/静岡県裾野市 私立保育園
続いては、2022年に静岡県裾野市の私立保育園で起きた事例です。園の関係者から市に情報提供があり、女性保育士3名による不適切保育が発覚しました。
事実確認された行為はこちらです。
- 頬をつねる
- 倉庫に閉じ込める
- 丸めたゴザで頭をたたく
- バインダーで頭をたたく
- 足をつかんで宙づりにする
- 真っ暗な排泄室に放置する
- カッターナイフをみせて脅す
- 給食を食べない園児の頭をたたく
- 泣いている姿を携帯電話で撮影する
- 額を叩いて無理やり泣かせようとする
- 腕を引っ張り「遅いんだよ!」と怒鳴る
- 声を荒げながらズボンを無理矢理おろす
- 「ブス」「デブ」などの容姿に関する暴言を浴びせる
- 寝かしつけた園児に「御臨終です」と何度も発言する
- 手足口病の症状のある園児の尻をほかの園児に触らせる
暴行容疑で女性らは逮捕され、うち1人が罰金20万円の略式命令を受けました。
事例④2021年/神奈川県横浜市 認定こども園
次に、2021年に神奈川県横浜市の認定こども園で起きた事例です。ある保育士が園児を虐待している疑いがあるという通報が、複数の保護者から寄せられました。
事実確認された行為はこちらです。
- ほかの子どもたちがいる前でしかる
- 別室でしかったり、部屋に閉じ込めたりする
- 食事を完食させるため強制的に口に押し込む
- 注目させたり、威嚇したりする目的で壁を強く叩く
- 子どもが怖がる言葉を用いて言うことを聞かせようとする
- 午睡時に寝られない子を押さえつけて無理やり寝かせようとする
この元保育士は、暴行容疑で書類送検されています。
その後の調査で、ほかの職員による新たな不適切保育が発覚しました。
- 足を掴んで逆さ吊り状態にする
- 手や洋服のえり元をひっぱって引ずる
- 子どもの顎や顔に手を当て自分の方に顔を向かせる
市は認定こども園に対し、再発防止などを求める改善勧告をおこないました。勧告に従わなかった場合、改善命令や事業停止命令などの措置をとる可能性があるとしています。
事例⑤2018~2020年/東京都北区 区立保育園
最後は、2018〜2020年の間に東京都北区の区立保育園で起こった事例です。 都が匿名の情報提供を受けて指導検査したところ、複数の保育士による不適切保育が発覚しました。
事実確認された行為はこちらです。
- 黙らせるために子どもの口を手でふさぐ
- 寝付けない子どもを布団ごと廊下に出し放置する
- 言うことを聞かない5歳児を無理やり1歳児クラスに連れていく
園は再発防止策をまとめて保護者説明会で報告をおこないました。関わった職員はすでに退職したり、別園に異動したりしているとのことです。
不適切保育が起こる要因5つ
不適切保育が起こる要因を解説します。
- 保育園の指導方針が厳しい
- 業務に追われ心に余裕がない
- 人手不足で子どもに丁寧な対応ができない
- 適切な関わり方を理解していない
- 保育士のスキルが不足している
要因①保育園の指導方針が厳しい
保育園の指導方針が厳しい保育園は、不適切保育が発生しやすい傾向にあります。厳しい対応がときに子どもの心を傷つけているケースも珍しくありません。
- 子どもが甘えづらくなる
- 子どもを褒める機会が減る
- 子どもに求めるレベルが高くなる
- 頑張っている過程を見逃しがちになる
「子どものため」という名目であっても、行き過ぎた指導は子どもに心理的負担を与えてしまいます。子どもが安心して過ごせる環境を作るには、一方的な指導になっていないかをつねに自問自答する姿勢が大切でしょう。
要因②業務に追われ心に余裕がない
保育士は子どもの保育以外にも事務作業や行事の準備など、たくさんの業務を抱えています。
その結果、心の余裕がなくなり、子どもに強く当たってしまったり、子どもの求めている情緒欲求に応えられなかったりする可能性があるでしょう。
優先しなければならないのは目の前の子どもです。業務に追われて保育の質が落ちていると感じたら、一人あたりのタスクを減らしたり、業務を簡略化させたりする施策を打たなくてはなりません。
要因③人手不足で子どもに丁寧な対応ができない
人手不足の状態だと、一日の活動をこなすので手いっぱいになります。一人ひとりの子どもとしっかりと向き合えず、丁寧な対応も取れなくなるでしょう。
- 子どもの甘えたい欲求を受け止められない
- 子どもの要望に対して「後でね」の返答が多くなる
- つい声を荒げたり、強い言葉で指示を出したりしてしまう
「本当はこんな対応したくない…」と子どもへの罪悪感を抱えたまま保育をする方も少なくありません。
また、人員が足りないと一人で対応せざるを得ない状況が増えます。孤立的な環境はストレスがたまってふさわしくない対応をとりやすくなるほか、不適切保育が起きた際に発見が遅れるリスクもあるでしょう。
子どもが安心できる保育を提供していくためには適切は人材配置をおこない、ゆとりのある保育環境を整える必要があります。
要因④適切な関わり方を理解していない
子どもへの適切な関わり方に関する理解が不足していると不適切保育が起きやすくなります。
「適切な対応」と「不適切な対応」の境界線があいまいな状態なので、知らぬ間に不適切な保育をしてしまう可能性があるからです。
子どものためによかれと思ってとった行動が、子どもの人格や権利を否定しているケースも珍しくありません。
自分の経験や信念に頼るのではなく、「子どもにとって適切な保育とは?」とつねに問い直す姿勢が大切です。
要因⑤保育士のスキルが不足している
保育士のスキル不足により、不適切保育がおこなわれる可能性もあります。
とくに注意すべきなのは、新人保育士の方。就職したばかりの保育士は子どもに試し行動を取られがちで、対応に悩む方も少なくありません。
子どもをまとめられない状況に焦りやプレッシャーを感じると、以下ののような不適切な対応が起きやすくなります。
- 言うことを聞かない子どもに大きな声で注意する
- 子どもの行動をコントロールしようと無理に動きを強要する
- 子どもとの信頼関係を築く方法がわからず威圧的な態度をとる
不適切保育を防ぐには、保育士一人ひとりのスキルアップが欠かせません。新人保育士の場合は、経験豊富な先輩保育士の助言を求めたり、研修に積極的に参加したりして、子どもとの関わり方を学ぶ姿勢が求められます。
不適切保育を未然に防ぐ方法5つ
不適切保育を未然に防ぐ方法を解説します。
- 子どもの発達を正しく理解する
- 心にゆとりがもてる環境を整える
- 不適切保育に賛同・同調しない
- 不適切保育の理解を深める
- 保育の振り返り時間を設ける
方法①子どもの発達を正しく理解する
不適切保育をする保育士は、子どもの発達をよく理解できておらず子どもに完璧や高いレベルの達成を求めているケースが多いです。
その過程で、子どもの自尊心を傷つける言動をとったり、子どもを脅迫したりと不適切な保育に発展するケースも珍しくありません。
たとえば2歳児クラスの子どもは、言葉を受け取る力も、応える力も未熟です。大人のいうことを理解できない・実行できないのは当たり前だと思ったほうがよいでしょう。それを理解できていないと、自分の思い通りに行動しない子どもに対して怒りを覚えるようになります。
子どもの年齢の発達段階をしっかり理解すれば、子どもにそれ以上のことを求める必要がなくなり心に余裕が生まれます。
保育所保育指針を読み直したり、研修に積極的に参加したりするなどして子どもの発達への理解を深めていきましょう。
方法②心にゆとりがもてる環境を整える
人手不足や業務量の多さの問題を改善し心にゆとりがもてる環境を作れば、不適切保育の発生リスクを軽減できます。
人手不足の問題は、上司にしっかりと相談することが大切です。業務量の多さに対する課題は、以下の対策で改善できる場合もあるのでぜひ参考にしてみてください。
- 作り物の業務を保育士間で分担する
- 制作物はクオリティにこだわりすぎない
- パート保育士にも書類作成を手伝ってもらう
不適切保育は心のゆとりがないのが原因で起こるケースが多いです。焦りやストレスが子どもに向いてしまわないように、保育士の負担となっている問題を改善していきましょう。
方法③不適切保育に賛同・同調しない
もし他の職員が不適切保育をしていたら、賛同したり、同調してはいけません。子どもに悪影響の行為だと感じたら「絶対に自分は加担しない」と強い意思をもつ姿勢が大切です。
相手に強要されても「私はそれはできません」と言い切ってください。そこで自分も手を加えてしてしまうと、あなたが加害者になってしまいます。大切な子どもたちの心を傷つけるほか、保育人生を棒に振るリスクもあるので絶対に賛同・同調しないようにしましょう。
方法④不適切保育の理解を深める
自分が間違った保育を実行しないためには、不適切保育に関する理解を深めることが大切です。不適切保育をしてしまう保育士の多くは、「適切な保育」と「不適切な保育」の境界線があいまいになっているからです。
不適切保育の理解を深めるには、以下の方法が効果的です。
- 不適切保育や虐待に関する書籍を読む
- 不適切保育や虐待に関する研修に参加する
- 自分の保育を振り返り不適切保育ではないかを自問自答する
普段何気なくとっていた行動が不適切保育に該当する可能性もあります。思いもよらぬ加害者とならぬよう、しっかり理解を深めていきましょう。
方法⑤保育の振り返り時間を設ける
保育の振り返り時間の確保も、不適切保育の未然防止につながります。客観的に保育を見直すなかで「あのときの対応は子どもにとって適切ではなかった」と気づくケースも多々あるからです。
以下に、振り返るポイントをまとめました。
- あの場面ではどのような対応が適切だったか
- 保育士の対応が子どもにどのような影響を与えたか
- 同じような場面が次にあったら具体的にどう対応していくか
保育の見直しは個人でおこなうのも大切ですが、園全体・クラス単位で実施するのも効果的です。経験や立場の異なる保育士の意見を聞くと自分にはない視点の発見が得られるでしょう。
振り返りは、子どもの本当の気持ちと向き合う時間でもあります。しっかりと時間を確保すれば、子どもを尊重した保育がおこなえるようになるでしょう。
不適切保育を見かけた場合の対応策3つ
不適切保育を見かけた場合の対策を解説します。
- 上司に相談する
- 内部告発する
- 転職をする
対応策①上司に相談する
上司が不適切保育に気づいていない場合は、相談することを検討しましょう。
不適切保育をする職員のなかには、上司や保護者の前で態度をころっと変える人も少なくありません。そのような状況下では、いつまでたっても問題は解決しないでしょう。
隠れていた事実を勇気を出して打ち明ければ、よい方向に状況が一変するかもしれません。
ただし、上司自身が不適切保育に少しでも加担しているようであれば相談は控えたほうがよいです。誤魔化されたり、悪者に扱われたりする可能性があるため外部への相談を検討しましょう。
対応策②内部告発する
あまりにも保育内容がひどかったり、組織全体で不適切な保育が繰り広げられたりしている場合は、内部告発も視野に入れましょう。勇気ある行動が、子どもの安全と未来を守ります。
- 市区町村役場の保育課
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」
- 企業や弁護士が設置している不適切保育の専用相談窓口
問い合わせる際は、5 W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)の型を使って情報をまとめると相手に詳細が伝わりやすくなります。
具体的な証拠があれば、このときに知らせておきましょう。事実確認が早まり、対応がスムーズになります。
対応策③転職をする
不適切保育が蔓延する職場環境を改善するのが難しい場合、転職する手もあります。
たとえば、人手不足が原因で不適切保育が行われている場合、個人の力でその状況を変えるのは簡単ではありません。また、組織全体の問題意識が低ければ、改善に向けた取り組みが進まないでしょう。
やりがいをもって保育士を続けるためには、ときに職場を変えるのも大事な選択です。組織に大きな課題がある場合は、環境が整っていて温かい保育を提供できる職場への転職を検討してみましょう。
まとめ:不適切保育の理解を深めて子どもの人権や人格を守ろう!
子どもの人権や人格を守りながら適切に保育をおこなっていくためには、日々の保育の振り返りや知識・スキルの習得が必要不可欠です。
不適切保育の定義はあるものの、その都度チェックしてくれる人はいません。そのため、不適切保育への理解を深めておかないと、知らぬ間に不適切な対応をとるリスクがあるでしょう。
もし「不適切保育が横行している職場から離れたい…」とお考えの方は、ぜひ弊社「しんぷる保育」にご相談ください。
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