
小規模保育園の特徴は?



小規模保育園に興味があるんだけど、働くメリット・デメリットはあるの?
このような疑問を抱えていませんか?
小規模保育園は、定員数が19名以下の比較的こじんまりとした家庭的な保育園です。
働く環境としては、子どもとじっくり向き合えるほか、職員や保護者と信頼関係を築きやすい点が魅力です。
ただし、小規模保育園で働く際には、いくつかデメリットもあります。
転職に後悔しないためにも、良い面・悪い面とともに知っておきましょう。
本記事では、小規模保育園の特徴や一般保育園との違いを詳しく解説します。
小規模保育園で働くメリット・デメリットも紹介しているので、転職を検討中の方は参考にしてみてください。


小規模保育園とは|一般保育園との違いや将来性


小規模保育園とは、0〜2歳児までの子どもが利用できる保育施設です。
平成27年(2015年)にスタートした「子ども・子育て支援法」における小規模保育事業の一環で、小規模保育園は認可事業として位置付けられています。
以下の3つのトピックスで小規模保育園の特徴を解説します。
・小規模保育園のタイプ
・小規模保育園と一般保育園の違い
・小規模保育園の将来性
順番に見ていきましょう。
小規模保育園のタイプ|A型・B型・C型
小規模保育園には「A型」「B型」「C型」の3つのタイプがあります。タイプによって、職員数や有資格者の配置基準が異なります。
3つのタイプにわけられたのは、多様化する保育ニーズに対応するためです。
また、既存の保育形態を新しい制度にスムーズに移行させる考えもあります。
以下は、タイプ別に定員数や職員数などの認可基準を示した表です。
利用定員 | |
A型・B型 | 6〜19人 |
C型 | 6〜10人 |
職員数 | |
A型・B型 | 0歳児:保育士の配置基準(子ども3人に対して保育士1人)+1名1歳・2歳児:保育士の配置基準(子ども6人に対して保育士1人)+1名 |
C型 | 0~2歳児:子ども3人に対して保育士1人(家庭的保育補助者を置く場合は5:2) |
職員の資格 | |
A型 | 保育士※保健師または看護師の特例有(1人まで) |
B型 | 1/2以上保育士※保健師又は看護師の特例有(1人まで)※保育士以外には研修実施 |
C型 | 家庭的保育者※市町村長がおこなう研修を修了した保育士、保育士と同等以上の知識および経験を有すると市町村長が認める者 |
保育室の面積 | |
A型・B型 | 0歳・1歳児:1人当たり3.3㎡2歳児:1人当たり1.98㎡ |
C型 | 1歳・2歳児:いずれも1人3.3㎡ |
参考:こども家庭庁|事業者向けFAQ【小規模保育に関すること】
A型は保育所の分園に近い形、C型は家庭的な保育に近い形、B型はその中間的な形となるように分類されています。
小規模保育園と一般保育園の違い



小規模保育園と一般保育園にはどんな違いがあるの?
このような疑問をもつ方もいることでしょう。
小規模保育園と一般保育園(保育所)の違いを示すポイントは複数ありますが、名称からもわかるとおり、大きな違いは規模感です。
小規模保育園と一般保育園の規模感の違いを以下の表にまとめました。※ここでは、保育所の分園的な位置付けとなっている小規模保育園A型を例にあげています。
保育所 | 小規模保育園A型 | |
子どもの利用定員数 | 20人以上 | 6〜19人 |
職員数 (子ども:保育士の比率) | 0歳児3:11〜2歳児6:1 | 保育所の配置基準+1名 |
職員の資格 | 保育士※保健師又は看護師の特例有(1人まで) | 保育士※保育所と同様、保健師または看護師の特例を設ける |
保育室の面積 | 0歳・1歳児:乳児室1人当たり1.65㎡ほふく室1人当たり3.3㎡2歳児以上:保育室等1人当たり1.98㎡ | 0〜1歳児:1人当たり3.3㎡2歳児:1人当たり1.98㎡ |
参考:こども家庭庁|事業者向けFAQ【小規模保育に関すること】
小規模保育園は保育所よりも定員数が少なく設定されています。
職員数においては、保育所よりも小規模保育園のほうが多めの配置基準となっています。
小規模保育園の将来性
小規模保育園の施設数は、年々上昇傾向にあります。そのため、保育需要や就職・転職先数の視点で見ると、小規模保育園の将来性は十分にあるといえます。
以下は、こども家庭庁が公表している保育施設数の推移を示した表です。


濃いピンク色の部分が、小規模保育園を含む特定地域型保育事業の施設数を示しています。
小規模保育事業がスタートした平成27年と最新データの令和5年を比較すると、施設数は約2.7倍に増加しているのがわかります。
子育て支援の推進にともない、小規模保育園の需要は今後も拡大していくと予想できるでしょう。
小規模保育園で働く5つのメリット





小規模保育園で働くメリットが知りたい
小規模保育園で働く主なメリットは以下の5つです。
順番に解説します。
1.子ども一人ひとりと丁寧に向き合える
小規模保育園は、定員数が19人以下に設定されています。この少人数制が、子ども一人ひとりと丁寧に向き合えるメリットを生み出しています。
保育士の配置基準は、保育所も小規模保育園も大きな違いはありません。しかし、定員数が大きく異なるため、実際の保育環境には違いが生まれます。
定員数の多い保育所では、そのぶん保育士が関わる子どもの数が増えます。
忙しい状況になると、子どもの話にじっくり耳を傾けられなかったり、子どもの要望を後回しにしたりせざるをえない場面が出てくるでしょう。
一方、小規模保育園では、保育士が関わる子どもたちの数が少ないため、目の前の子どもとじっくり向き合えます。



わたしは定員数150人近くの比較的大規模な保育園で働いた経験があります。
子どもとゆっくり向き合えないもどかしさを感じて、小規模保育園ではないのですが定員数60名近くの保育園に転職しました。
前職よりも丁寧な保育を実現できてストレスが軽減したことを覚えています。
2.アットホームな雰囲気のなかで働ける
小規模保育園を利用する子どもは、主に0歳から2歳までの乳児です。
基本的な生活習慣の確立をサポートする乳児特有の関わりを通じて、アットホームな雰囲気が自然と生まれます。
また、小規模保育園は定員数が限られているため、職員や保護者の数も少なくなります。
小さいコミュニティでは一人ひとりのつながりが深くなるため、温かい関係性も構築されやすいです。
3.職員の団結力が生まれやすい
職員の数が少ない小規模保育園では、お互いの顔を見合わせたり、会話したりする機会が多く、団結力が生まれやすいです。
団結力が強い職場には、以下のようなメリットがあります。
・チームワークが良好で職場の雰囲気が良い ・コミュニケーションが円滑になり仕事が早く片付く ・助け合いの精神が強いため業務の負担が分散される |
少人数だからこそ生まれる職員間の強い絆が、効率的で働きやすい職場環境を作り出すのです。
4.行事が少なく業務の負担が増えにくい
0〜2歳児が対象の小規模保育園では、幼児がいる保育園と比べて大規模な行事や大掛かりなイベントが少ない傾向にあります。
例えば、乳児の発達段階を考慮して運動会や発表会を実施しない保育園も存在します。
実施したとしても縮小しておこなわれるケースが多く、行事の準備や進行にかかる負担は保育所ほど大きくならない確率が高いです。
行事の準備による残業や持ち帰り仕事を減らしたい方は、小規模保育園で働く選択肢を取り入れてみると良いでしょう。



小規模保育園ではないのですが、日常の保育を大切にするために行事回数を最小限にしていた保育園で働いた経験があります。
そのときに、行事の準備や練習に追われない環境は良いなと実感しました。
業務過多による残業発生の実態についてはこちら▼
5.体力の消耗が少ない
乳児は、運動量が少ないほか、活動時間も短いです。そのため、保育士は子どもたちと一緒に遊びつつも比較的体力を温存できます。
一方、幼児保育がおこなわれる保育所では、体力を消耗する機会が増えます。
幼児になると、成長や身体機能の発達にともない、活動時間が長くなるうえ、ダイナミックな遊びも出てくるからです。
体力に自信がない方は、乳児保育を中心とする職場への転職も検討してみると良いでしょう。
小規模保育園で働く3つのデメリット


次に、小規模保育園で働く3つのデメリットを解説します。
順番に見ていきましょう。
1.職員の保育スキルにばらつきが見られやすい
小規模保育園では、職員の保育スキルにばらつきが見られる傾向にあります。
保育所と比べて職員の有資格者の基準が低く設定されている小規模保育園(B型・C型)があるためです。
保育士のスキルにばらつきがあると、以下のような問題が生じる可能性があります。
・保育の質が安定しない ・特定の人に負担が偏りやすい ・安全面での配慮が不十分になる |
保育スキルの格差は、自分に負担がかかりやすくなるだけでなく、子どもたちの成長や安全に悪影響を及ぼすリスクがあることを認識しておく必要があります。
2.人間関係のトラブルが発生したときに逃げ道が少ない
小規模保育園では、人間関係のトラブルが発生した際に逃げ道が少ないデメリットがあります。
小さなコミュニティ・限られた空間のなかで働くため、顔を合わせる機会が必然的に増え、避けようがない状況に陥りやすくなるのです。
そのため、小規模保育園では良好な人間関係の維持が欠かせません。
保育士同士の人間関係に疲れたときの対処法はこちら▼
3.職員の欠席や退職で業務に影響が出やすい
小規模保育園は職員の数が少なく、限られた人数で業務を分担しています。そのため、欠席者や退職者が出た場合、残る職員に業務負担が集中しやすいです。
例えば以下のような状況が発生する可能性があります。
・急な対応に追われる ・シフトの調整が困難になる ・休んだ職員の代わりに出勤する ・新しい職員が入るまでの間、少ない人数で対応する |
こうしたリスクを踏まえ、小規模保育園では柔軟な体制づくりが求められます。



職員の数にゆとりがない保育園で働いた経験がありますが、一人の保育士にかかる負担が大きかったです。
負担の少ない職場で働きたいなら、定められた配置基準+αの人員を雇っている保育園に転職するのが良いでしょう。
小規模保育園で働く保育士の給料





小規模保育園で働く保育士の給料が気になる…
以下の表は、こども家庭庁が実施した調査でわかった常勤保育士一人当たりの給与月額です。
常勤保育士等の1人当たり給与月額(賞与の1/12を含む) | |
保育所 | 34.8万円(11.2年) |
小規模保育事業(A型) | 29.4万円(9.4年) |
小規模保育事業(B型) | 30.0万円(10.7年) |
小規模保育事業(C型)※家庭的保育者 | 30.4万円(13.1年) |
集計結果
※令和6年3月給与と令和5年度賞与を集計
※()書きは平均経験年数
この調査結果からは、小規模保育園よりも保育所で働く保育士のほうが給料が高いことがわかります。
歴史が浅い小規模保育園は、昇給の基準となる勤続年数が短い傾向にあるため、結果的に給与水準に差が生じている可能性が考えられます。
小規模保育事業のみの給与を比較してみると、もっとも高いのはC型です。これは平均経験年数がほかの型より長いことが要因としてあげられます。
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