
保育教諭とはどんな資格?



保育士や幼稚園教諭と、どんな違いがある?
このような疑問をおもちの方もいるのではないでしょうか?
「保育教諭」とは、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を取得し、認定こども園で働く人です。
社会の保育要求における多様化に応じて、2006年に認定こども園制度が開始され、保育教諭という新しい職種が誕生しました。
保育士または幼稚園教諭の資格のみをもつ方と比較して、働く場所の選択肢も広がるため、保育分野でのキャリア形成において多くの可能性を秘めています。
本記事では、保育教諭の具体的な仕事内容や、保育士・幼稚園教諭との違いなどについて詳しく解説します。保育教諭になるメリット・デメリットも紹介しているので参考にしてみてください。




保育教諭とは?認定こども園で働く「保育士」「幼稚園教諭」の免許保有者
「保育教諭」とは、認定こども園で働く、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を保有した人です。保育教諭について以下の3つを解説します。
- 保育教諭が誕生した背景
- 保育教諭になるための要件・資格
- 勤め先となる認定こども園の種類
順番に見ていきましょう。
保育教諭が誕生した背景
保育教諭は、2015年の「認定こども園法」の施行により誕生しました。背景には、従来の幼稚園・保育所では対応しきれない、保護者の働き方や家庭環境の多様化とそれに伴うニーズがあります。
認定こども園では、保育教諭が保育と教育を一体的に提供しています。
認定こども園の一部では、保育教諭の配置が義務付けられました。2025年度末までは経過措置期間とされていますが、2026年度から一部の認定こども園で働くには、保育教諭であることが条件とされます。
保育教諭になるための要件・資格
保育教諭になるには、以下の2つの資格が必要です。
- 幼稚園教諭免許状
- 保育士資格
一部の認定こども園では、学校教育と保育を一体的に提供するため、両方の免許・資格の取得が原則です。
※ただし経過措置により、2026年3月末まではどちらか一方の資格でも保育教諭として勤務可能
現在「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の片方の資格がある場合には、もう一方の資格を取得しやすい「幼保特例制度」の利用も可能です。
幼保特例制度については「すでにどちらかの資格がある場合【保育士・幼稚園教諭】」で解説しています。
>>すでにどちらかの資格がある場合【保育士・幼稚園教諭】はこちら<<
勤め先となる認定こども園の種類
認定こども園は4つの種類に分けられています。
園の種類 | 特徴 |
---|---|
幼保連携型 | 幼稚園と保育所の両方の機能をあわせ持つ施設 |
幼稚園型 | 認可幼稚園が、保育所的な機能を備えた施設 |
保育所型 | 認可保育所が、幼稚園的な機能を備えた施設 |
地方裁量型 | 幼稚園・保育所いずれの認可もない地域の教育・保育施設 |
このうち、幼保連携型の認定こども園では、2026年度から保育教諭の配置が必須です。その他の認定こども園でも、3歳以上の場合には幼稚園教諭免許と保育士資格の保有が望ましいとされています。
参考:認定こども園概要|こども家庭庁




保育教諭と幼稚園教諭・保育士との3つの違い
保育教諭と幼稚園教諭・保育士では、以下のような3つの違いがあります。
- 勤務する施設
- 必要な資格
- 仕事内容・役割
保育教諭と異なる点を比較していきましょう。
1.勤務する施設
保育教諭と幼稚園教諭・保育士の勤務する施設の違いを、以下の表にまとめました。
職業 | 勤務する施設 |
---|---|
保育教諭 | 認定こども園全般、幼稚園、保育園 |
幼稚園教諭 | 幼稚園、幼保連携型以外の認定こども園 |
保育士 | 保育所、幼保連携型以外の認定こども園 |
保育教諭は認定こども園をはじめ、幼稚園や保育園が勤務先の対象です。
幼稚園教諭の代表的な勤務先は、幼稚園です。
幼保連携型以外の認定こども園であれば、保育士資格をもっていなくても、幼稚園教諭の資格だけで勤務できます。ただし、満3歳未満の子どもを担当する場合は、保育士資格が必要です。
保育士の代表的な勤務先は、保育園です。保育士も、幼保連携型以外の認定こども園であれば、幼稚園教諭の資格がなくても働くことができます。
2.必要な資格
保育教諭の資格については解説していますが、改めて必要な資格の違いを確認しましょう。
職業 | 必要な資格 |
---|---|
保育教諭 | 保育士資格 ・ 幼稚園教諭免許 |
幼稚園教諭 | 幼稚園教諭免許 |
保育士 | 保育士資格 |
保育教諭として「幼保連携型認定こども園」で働くには、保育士資格 ・ 幼稚園教諭免許の両方の資格が必須条件です。
3.仕事内容・役割
保育教諭と幼稚園教諭・保育士の仕事内容・役割の違いを、以下の表にまとめました。
職業 | 仕事内容・役割 |
---|---|
保育教諭 | ・保育士と幼稚園教諭の両方の役割 ・0歳~就学前までの子どもが対象 ・教育と生活サポートの両方 |
幼稚園教諭 | ・3歳以上の子どもを対象 ・文部科学省の「幼稚園教育要領」に基づいた教育活動をする ・小学校へのスムーズな移行を意識した指導 |
保育士 | ・0歳~就学前の子どもを対象 ・厚生労働大臣の「保育所保育指針」に基づいて子どもの保育をする ・保護者に代わって、日常生活のサポートや生活習慣の指導 |
幼稚園教諭は教育活動が中心で、保育士は生活全般のサポートが主な役割です。
その両方の活動を担うのが保育教諭であり、幅広い年齢の子どもを対象に、それぞれの段階に応じた保育・教育をおこないます。
保育教諭の仕事内容|保育士と幼稚園教諭の仕事の両方をおこなう
保育教諭は、保育士の仕事と幼稚園教諭の仕事の両方をあわせて行います。保育教諭の主な仕事は以下のようなものです。
- 指導計画の作成…教育及び保育の内容に関する全体的な計画を作成する
- 子どもの生活サポート…食事や睡眠・トイレなどの基本的な生活をサポートする
- 社会性の指導…集団生活におけるルールやマナーなどを指導する
- 安全管理…怪我や友達とのトラブルなど、子どもたちの安全管理をする
- 教育活動…言葉や社会力・身体能力などを高めるための教育活動を行う
- 飾り等の制作…壁面飾りや保育・教育で使う物を制作する
- 行事の計画・運営…運動会や発表会などの行事の計画・運営を行う
- 保護者対応…保護者へ連絡をしたり保護者からの相談を受けたりする
- 小学校との連携…地域の小学校との連絡会や交流会などに参加する
保育士と幼稚園教諭に共通している仕事もあれば、保育士・幼稚園教諭特有の仕事もあります。保育教諭になったことで初めて経験する仕事も多いでしょう。
保育教諭の勤務体制|施設の開園時間やシフトによって異なる
保育教諭の勤務体制は働く施設によって異なりますが、原則1日8時間のシフト制で勤務します。7時から19時まで開園している施設では、早番・中番・遅番の3交代制でシフトを組むことが多いようです。
認定こども園の種類によって、以下のように勤務体制にも特徴があります。
認定こども園の種類 | 勤務体制の違い |
---|---|
幼保連携型 | ・1日8時間勤務、週休2日制が多い ・早番・中番・遅番などのシフト制 |
幼稚園型 | ・8時~17時といった固定時間勤務が基本 ・一部シフト制を導入の園もある |
保育園型 | ・1日8時間勤務、週休2日制が多い ・早番・中番・遅番などのシフト制 |
地方裁量型 | ・園によって異なるものの基本的にシフト制 |
早朝・夕方・夜間の延長保育などで保育時間が長い場合は、園ごとに細かいシフトが組まれます。
早番の場合は7時から16時までの勤務で、園を開けるところからスタートします。教室内の清掃や準備・早朝預かりの子どもの保育にあたります。早朝保育では、通常のクラスではなく異年齢保育を行う園が多いです。
8時になると中番の職員が出勤します。中番の時間帯に勤務する人が一番多く、8時から17時までが勤務時間です。この時間からは、子どもたちは通常のクラスで過ごします。子どもたちが順に登園してくるので、教室で迎えて保育を行います。
遅番の職員は10時から19時までの勤務で、園を閉めるところまで行います。夕方になり子どもたちの人数が減ると、異年齢で延長保育を行う園が多いです。最後の子どものお迎えまで担当し、全ての子どもが帰った後は片付けをして勤務終了です。
認定こども園によっては土曜・日曜の休日保育を行っています。土曜・日曜は月に1~3回程度を順番に勤務します。
保育教諭の給料|平均年収は約413万円
以下は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(e-Stat)」のデータをもとに算出した、保育教諭の給料を示した表です。
支給項目 | 給与額 |
---|---|
決まって支給する現金給与額 ※所得税や社会保険料の控除前の額 | 276,600円/月 |
年間賞与その他特別給与額 | 808,100円 |
年収 | 4,139,300円 |
出典:厚生労働省|賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査
保育教諭の年収は約413万円で、保育士の406万円と比較すると7万円ほど高いものの、幼稚園教諭とは同等の年収額です。




保育教諭になる3つのメリット
保育教諭には、就業先の選択肢が増えたり幅広いスキルが身に付いたりといったメリットがあります。
- 就業先の選択肢が増える
- 幅広いスキルが身に付く
- 保護者から信頼される
順番に見ていきましょう。
就業先の選択肢が増える
2026年度から幼保連携型の認定こども園では、保育教諭しか働けません。保育教諭の就業先は、保育所・幼稚園・全ての認定こども園から選択できます。
それ以外の就業先への転職にも保育教諭の経験は有利に働くでしょう。認定こども園だけでなく、民間のベビーシッターやキッズスクールなどでも、保育教諭の経験は役に立つはずです。



働ける場が広がることで、自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう!
幅広いスキルが身に付く
保育教諭は、保育士と幼稚園教諭の役割を兼ねているので、幅広い経験とスキルを身に付けられます。例えば、保育士の立場では、乳幼児の保育に携わることで、乳幼児のケアと発達段階についての知識が向上します。
一方で、幼稚園教諭の立場では、幼児期の子どもたちに対して適切な指導計画を立て、遊びを通じて学びを提供するのが仕事です。幼稚園教育に携わることで、指導計画の設計や子どもたちの教育に関する知識が身に付きます。
保育士と幼稚園教諭の2つの役割と経験を通じて、保育教諭は子どもたちの成長と発達を多面的にサポートするスキルを身に付け、専門性を向上させられるでしょう。
保護者から信頼される
保育士資格と幼稚園教諭免許の2つを所有していることで、保護者からの信頼を得られます。認定こども園を利用する子どもたちは、0歳から6歳までの幅広い年齢層で、家庭環境も多様です。
そのため、保護者のニーズも多岐にわたり、生活のサポートから子どもたちの教育に関する支援まで多くのことが求められるでしょう。
保育教諭は保育と教育の両方の知識と実務経験をもっているので、保護者の幅広いニーズにも応えられます。保育教諭の豊富な知識と経験は、保護者との信頼関係に結びつくでしょう。
保育教諭になる3つのデメリット
保育教諭には、就業時間が遅くなったり、求められる仕事が高度になったりというデメリットもあります。
- 就業時間が遅くなる場合がある
- 求められる仕事が高度になる
- 資格取得に時間とお金がかかる
1つずつ解説します。
就業時間が遅くなる場合がある
幼稚園教諭として働いていた人は、認定こども園になったことで就業時間が早くなったり遅くなったりする場合があります。
幼稚園の勤務時間は8:00~17:00が一般的です。一方で、認定こども園の勤務時間は、早朝保育や延長保育があるため、7:00~19:00のシフト制を採用していることが多いです。
幼稚園は行事以外で土日に出勤することはあまりありませんが、休日保育を行っている認定こども園では土日の勤務もあります。
幼稚園教諭として働いていた人にとっては、幼稚園勤務のときよりも、就業時間が早くなったり遅くなったりすることがあります。
求められる仕事が高度になる
保育教諭は、保育士としての仕事と幼稚園教諭としての仕事の両方をこなすスキルが求められます。
これまで経験したことのない仕事も増え、多くのことを新しく学ばなくてはいけません。
資格取得に時間とお金がかかる
保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得するには、時間とお金がかかります。
どちらかの資格か免許をもっていた場合でも、新たにもう1つを取得するとなると、5万円から10万円以上必要です。
単位取得に必要な時間も最低半年はかかるため、お金も時間もかかるのはデメリットと言えるでしょう。
保育教諭になるには?特例制度の最新情報も紹介
保育教諭になるには、保育士資格と幼稚園教諭免許を取得する必要があります。学生の場合・社会人の場合・すでにどちらかを所有している場合に分け、保育教諭になるにはどうしたらよいかをご紹介します。
これから両方の資格を取得する場合【学生・未経験】
保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得できる大学や短大・専門学校などで学びます。
必要な単位の修得や実習を経て、保育士資格と幼稚園教諭免許が取得できます。
幼稚園教諭には1種・2種・専修の3種類があるので、将来的に主幹保育教諭や園長などを目指したい人は1種か専修を取得しましょう。
別の職種に就きながらでも保育教諭になれます。保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得できる通信制の大学は数多くあります。
ただし、保育士と幼稚園教諭の養成課程には幼稚園や保育所などでの実習が必要です。実習期間は4週間程度なので、働きながら実習を行うのは難しいでしょう。
実習は最終年次に行われるので、計画的に進めていきましょう。
すでにどちらかの資格がある場合【保育士・幼稚園教諭】
2014年に、保育士資格と幼稚園教諭免許のどちらかを持っている人に向けた「特例制度」が設けられました。
特例制度により、一部の学科単位が免除され保育士資格や幼稚園教諭免許が取得しやすくなります。
特例制度は2030年3月31日まで適用されます。



学習における時間的負担を軽減したい方は、特例制度が適用されているうちに資格の取得を進めましょう。
幼稚園教諭免許をもっている場合
幼稚園教諭免許をもっている場合は、保育士資格を取得すれば保育教諭になれます。
特例制度を利用できるのは、幼稚園や認定こども園・保育所等での実務経験が3年かつ4,320時間以上ある人です。
保育士養成施設等において8単位を修得すれば保育士資格を取得できます。
また、2022年に施行された「新特例」では特例制度の必要条件に加えて、幼保連携型こども園での2年かつ2,880時間の実務経験があれば、6単位の取得でよいとされています。
参考:保育士資格取得の特例の概要|こども家庭庁
保育士資格をもっている場合
保育士資格をもっている場合は、幼稚園教諭免許を取得すれば保育教諭になれます。
特例制度を利用できるのは、3年かつ4,320時間以上の保育士等としての実務経験が必要です。
大学等において8単位を修得すれば幼稚園教諭免許を取得できます。
幼稚園教諭免許の取得にも保育士資格取得と同様に「新特例」が適用されます。
参考:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例|文部科学省




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保育教諭についてのよくある質問
最後に保育教諭に関するよくある質問と回答をまとめます。
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主幹保育教諭とは、保育教諭としての業務に加え園長・副園長の補佐役として、保育教諭のリーダーや園全体をまとめる役職です。
主幹保育教諭になるには、以下のような要件が必要です。
- 保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を保有
- 保育施設での保育経験が10年以上
- 園長の推薦
- 特別養成講座の修了
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