保育士の転職に必要な書類に「在職証明書」があります。転職経験のない方は、初めて聞く書類かもしれませんね。あまり耳にしない書類の在職証明書ですが、転職時には必ず準備してほしい書類の1つです。今回は
- 保育士の在職証明書とはなにか
- 転職になぜ在職証明書が必要なのか
- 在職証明の入手方法と受け取るときのポイント
- 在職証明書がもらえなかったときの対処法
について解説します。これから転職予定の保育士さんや、在職証明書の受け取りに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
保育士の在職証明書とは
転職活動をするときには、履歴書など多くの書類提出をもめられることがあります。提出を求められる書類の1つが在職証明書です。在職証明書は保育士が転職するときには必ず必要とされる大切な書類です。在職証明書とはどんな書類なのかまずは確認してみましょう。
どんな証明書なのか
在職証明書は保育士が他の保育園に転職するときに、提出を求められる書類の1つです。自分が「どこの保育園に」「いつ」「何年間勤務していたのか」証明する書類になります。転職時には、履歴書や職務経歴書を提出しますが、それとは別に必要になる書類です。ただ、稀に転職先の保育園の形態によって提出を求められない場合もあります。
保育士の転職に在職証明書がなぜ必要なのか
保育士の転職に在職証明書が必要な理由には、勤め先の保育園が申請する補助金申請が大きく関係しています。勤め先の保育園は、保育士の処遇改善費として、国から補助金を支給されています。この補助金は、保育士の経験年数によって金額が増減します。在職証明書は、補助金申請時に参考とする書類になっています。
在職証明書に記載されている期間が補助金申請できる経験年数となり、補助金の支給額が決定しています。そのため、勤務先の保育園は、それぞれの保育士の在職証明書を必要としています。転職時に在職証明書の提出を求めているのはそのためです。
出典:子ども・子育て支援新制度 令和4年度 説明テキスト 処遇改善等加算Ⅰ 申請事務手続き編P17
どこでもらえるのか
在職証明は過去に自分の在職していた保育園で作成してもらえます。複数の保育園に勤めた経験がある場合は、複数の保育園それぞれに依頼する必要があります。各保育園につき1部ずつ作成してもらうようになるため、覚えておきましょう。
また、保育園によっては在職証明書のフォーマットが準備されていないケースがあるかもしれません。その場合に必要となる項目は下記の項目は次のとおりです。
- 自分の氏名
- 生年月日
- 住所
- 雇用期間
- 雇用形態・役職
- 職務内容
- 勤務施設
- 発行日
- 発行した保育園名・住所
- 発行元の証明印
基本的には、それぞれの保育園で準備されている形式書類に沿って作成してくれることがほとんどのようです。
在職証明書の3つの入手方法
在職証明書を受け取る主な方法は3つです。自分の状況や保育園の決まりに合わせて、受け取れるとトラブルを避けられるのではないでしょうか。1つずつ確認してみましょう。
①退職日に受け取る
1つ目の受け取り方は、退職日に受け取る方法です。受け取ってから退職すれば、新たに受け取りに行く手間もなく、1番スムーズに在職証明書を受け取れるでしょう。職場を辞めることに気まずさを感じている人や、退職後に職場に出向きたくない人にもおすすめの方法です。
②退職後に受け取りに行く
受け取り方の2つ目は退職後に受け取りに行く方法です。退職日に準備されていない場合には、この方法が1番早く受け取れるかもしれません。ただ、退職後に新たに受け取りに行くスケジュールを調整したり、元職場の保育園に連絡を取る必要があります。円満に退職できなかった場合には、少しハードルの高い方法かもしれません。
③郵送してもらう
3つ目の受け取り方は、郵送してもらう方法です。日程調整の必要もなく、顔を合わせて受け取る必要がない方法です。遠方で直接は取りに行けない保育園の在職証明書は、郵送してもらう方法が主流でしょう。
近くの保育園だとしても、既に就労中で直接取りに行く時間が取れないときには郵送をお願いするケースもあります。
在職証明書を退職日に受け取るときのポイント3つ
退職日に在職証明を受け取るときにはどのような点に気をつけたらよいのでしょうか。受け取るときのトラブルを避けるためにもポイントを覚えておきましょう。
①在職証明書の受け取り方を聞く
まずは、在職証明書の受け取り方を確認しましょう。
- 園長経由で事務に問い合わせてくれる
- 自分で事務に問い合わせる
- 事務ではなく園長が作成する
など、作成元や受け取り方は園によってそれぞれです。受け取り方によっては、作成して手元に届くまで時間がかかる場合もあります。退職後に在職証明書が必要になる場合には早めに問い合わせるようにしましょう。
②最終出勤日を伝える
退職日に受け取りたい場合には、最終出勤日も一緒に伝えるようにしましょう。有給を消化する場合は退職日と最終出勤日が違うケースもあります。最後にまとめて有給を消化する場合は、とくに注意が必要でしょう。
退職日ではなく、最終出勤日を確定し、早めに園長先生や事務員に伝える必要があります。
③書類の不備をその場で確認する
可能であれば、その場で書類の内容を確認しましょう。自宅に戻ってから、書類を確認し、記入漏れや不備があった場合には、再度、書類の訂正を求めなくてはなりません。受け取った場で、一度書類を確認すれば、その場で訂正してもらえるかもしれません。スムーズに在職証明書をもらうためにも、その場での確認は怠らないようにしましょう。
在職証明書を退職後に受け取りに行くときのポイント3つ
入手方法には、退職日には受け取らず、後日に在職証明書を受け取りに行くケースもあります。後日受け取る場合もスムーズに受け取れるように、注意したいポイントを確認してみましょう。
①在職証明書が欲しいことを事前に伝える
在職証明書が欲しいことは、事前にしっかりと伝えておきましょう。退職する前の在職中のタイミングで構いません。有給消化などで休みに入ってしまった場合には、電話で伝えてもよいでしょう。準備するのに時間がかかる書類だからこそ、早めに伝えることが大切です。
②受け取り日時を調整する
在職証明書の作成を頼んだら、後日に電話やメールなどで、受け取り日時を調整しましょう。業務が多く、多忙な保育園では、もしかしたら指定された日時に書類が完成していないケースが発生するかもしれません。そのため、確認の意味も込めて受け取り日の前に連絡をしてみましょう。受け取り日時だけではなく、目安の時間帯も聞いておくと安心です。
③書類の不備をその場で確認をする
在職証明書の不備はその場で確認しましょう。前述と同様、その場で不備に気付けば、再度修正を依頼したり、取りに来る手間が省けます。不備と同時に書いてある内容などに疑問点があれば、聞いてみても良いかもしれません。なるべく早く在職証明書を受け取るために、しっかりと確認してみてください。
在職証明書を郵送してもらうときのポイント3つ
最後に郵送で在職証明書をおくってもらう場合のポイントも確認しておきましょう。郵送は、唯一、顔を合わせずに書類を受け取る方法になります。
①郵送方法を事前に確認する
郵送方法について、事前に確認するようにしましょう。退職前に直接聞いても、後日電話で聞いてもよいでしょう。また、書類の返信方法にはいくつかの種類があります。自分自身の希望や、保育園に指定がないのかも一緒に確認しましょう。普通郵便以外には下記のような返信方法もあります。
- レターパック(A4サイズのまま郵送可、追跡サービスや土日祝の配達もあり)
- 書留(引き受けから受け取りまでを記録し、補償つき)
追跡できる種類や最短日数で返信できるタイプなど状況に応じて使い分けても良いかもしれませんね。
出典:レターパック | 日本郵便株式会社/書留 | 日本郵便株式会社
②依頼書などを事前に準備する
在職証明書を電話で依頼するのではなく、郵送で請求する場合には、依頼文の作成が必要となります。一緒に返信用封筒や切手など、状況に合わせた返信用のセットも忘れずに同封するようにします。依頼書の例は次のとおりです。
- 発行を依頼したい施設名/担当者名
- 依頼を書を作成した日時
- 「在職証明書発行のご依頼」などの件名
- 挨拶文/本文/結びの言葉(必要な部数・いつまでに欲しいのか・書類の郵送先となる住所)
- 雇用期間/仕事内容/役職
- 自分の氏名/住所/連絡先
③時間がかかることも想定しておく
郵送は時間がかかります。手元に届くまでに時間がかかることも想定しておきましょう。追跡サービスがなく、届くまでにあまりにも時間がかかっている場合は、保育園に確認の連絡を入れてもよいかもしれません。何度も連絡を入れるのは気が引けてしまいますが、転職に関わる大事な書類のため、思い切って連絡してみましょう。
保育士が在職証明書をスムーズに受け取る3つのコツ
在職証明書をスムーズに受け取るためには、早め早めの行動が鍵となります。辞めてしまった職場からもらう書類のため、トラブルなく穏便に済ませたいですね。
①いつまでに在職証明が必要か明確にする
在職証明書がいつ必要なのかを明確にしておきましょう。まずは、新しく決まった転職先にいつまでに在職証明書が必要なのか確認します。確認したうえで、元の職場に伝えるようにしましょう。
転職先が早めに在職証明書が必要なときには、場合によっては郵送では間に合わないケースもあります。在職証明書が必要な日を確認したうえで、受け取り方法を検討してみましょう。
②担当者に在職証明書が欲しいことを伝える
在職証明書が欲しいことを担当者にしっかりと伝えましょう。担当者が不在だからといって伝言するのはできるだけ避けましょう。他の人を通しての書類依頼はトラブルのもとになりかねません。できるだけスムーズに、円満に書類を受け取るためにも、意識したいポイントですね。
③できる限り円満に退職する
後々のさまざまな事務手続きも考え、できるだけ円満に退職するようにしましょう。在職証明書は退職をした職場に作成してもらう書類になります。何度か転職する場合は、保育園ごとに都度、お願いするようになる書類です。後々のことを考えても、円満に退職するにこしたことはないでしょう。
また、できるだけ温厚に書類が受け取れるよう、受け取り方や受け取り日時に配慮し、元職場にもできる限り迷惑をかけないよう心掛けるのも大切です。
在職証明書がもらえないケースはあるのか
基本的には必ずもらえる在職証明書ですが、ごく稀にもらえないケースも発生します。予期せぬ事態に備えて、もらえなかったケースを紹介します。
①円満に退職できなかったとき
もらえなかったケースの1つ目は円満に退職できなかったときです。円満に退職できなかったとは
- 取り決めた退職日より前に辞めてしまった
- 突然退職してしまった
- 退職時に予期せぬトラブルが起こった
場合などが考えられます。取り決めた退職日は守りたいものですが、やむを得ず辞めざるをえない状況もあるでしょう。また、避けたい状況ではありますが、耐えられずに突然仕事を辞めてしまうこともあるかもしれません。
在職証明書がもらえないことはありません。ただ、退職時の状況によっては、在職証明書が欲しいと言い出しにくい状況もあるでしょう。
②勤務先と事務の連携が取れていなかったとき
もらえないパターンの2つ目は勤務先と事務の連携がとれていなかったときです。保育園によっては、在職証明書は園長先生が発行せずに、法人本部や事務窓口が発行するケースもあるでしょう。
園長先生を経由して、在職証明書を依頼する場合など、稀に事務と連絡が取れていない状況が発生することもあります。連携が取れていなかったことが原因で在職証明書が作成されないケースも考えられます。
③勤めていた園が閉園してしまったとき
以前に勤めていた保育園が閉園してしまったときには、在職証明書をもらうことが難しいかもしれません。また、勤めていた時期が昔で、運営母体が変わってしまった場合なども、在職証明書をもらえない場合もあるでしょう。
保育園によっては、本部ではなく、保育園で書類作成を行うケースもあります。その場合、勤めていた保育園がなくなってしまっていると、在職証明書の発行は難しいかもしれません。
在職証明書がもらえなかったときの対処方法
在職証明書がもらえないトラブルに見舞われてしまったときにはどうしたらよいでしょうか。不測の事態に備えて、もらえなかったときの対処方法も覚えておきましょう。
①勤務先だけではなく本部に問い合わせる
勤務先だけではなく、法人本部に問い合わせてみましょう。大きな会社では、必要書類の作成は法人本部が担っている場合もあります。在職証明書がもらえないどのケースでも、この方法は有効かもしれません。
円満に退職できなかったときにも、法人本部が一個人の詳細をすべて把握している可能性は低く、自分自身も依頼がしやすいかもしれませんね。困った時には、法人本部の連絡先を調べてみましょう。
②姉妹園に連絡する
法人本部以外には、姉妹園に連絡する方法があります。たとえば、「本園と分園がある保育園の分園に勤めていたが、分園のみがなくなってしまったとき」などは、姉妹園に連絡した方がスムーズかもしれません。状況によって、姉妹園と法人本部への連絡を使い分けてみてもよいでしょう。
まとめ
保育士の転職には在職証明書が重要な役割を果たします。そして、保育士の転職活動には、在職証明書は欠かせない書類の1つです。退職した職場からもらう在職証明書には、もらいにくさを感じるかもしれません。
でも、相手への気遣いを忘れずに、早めにお願いすれば、スムーズに入手できるのではないでしょうか。転職活動を考えている方は、いま一度、在職証明書について理解を深めておきましょう。
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