転職ノウハウ

ブラック保育園の特徴を解説!見分け方やチェックリストも紹介

「ブラック保育園って具体的にどんな特徴があるの?」
「ブラック保育園を見分けるコツが知りたい」

このような疑問や悩みに答えていきます。

この記事を読めば、ブラック保育園の特徴や見分け方がわかり、労働環境が悪質な保育園への就職や転職が避けられるようになるでしょう。

チェックリストもご用意したので、職場選びの際にぜひお役立てください。

片野秋子のプロフィール

ブラック保育園の特徴9つ

では早速、ブラック保育園の特徴をみていきましょう。

  1. 残業や持ち帰り仕事が多い
  2. 休憩がない
  3. 給料が低い
  4. 有給がもらえない・休みが取りにくい
  5. 常に人手不足の状態にある
  6. 人間関係が悪い
  7. 不適切保育が横行している
  8. 園長や主任が独裁的な思考をもっている
  9. 仕事を辞めさせてもらえない

特徴①残業や持ち帰り仕事が多い

残業代の支払いがなく、残業や持ち帰り仕事が日常化している保育園はブラック率100%です。

休憩時間を除く「1日8時間」「1週40時間」の所定労働時間を超える労働に対しては残業代の支払いが法律で義務付けられているからです。

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法 e-Gov法令検索

法定の範囲を超える労働をさせながら、それに見合った残業代を支払わない保育園は典型的なブラック保育園といえるでしょう。

片野秋子

残業が多い保育園で働いていた経験があります。ときに残業で日付を超えるときも…。体力的にも精神的にもとても辛かったです。

以下の記事では、保育士の残業事情について解説しているので、詳細が気になる方はぜひあわせてご覧ください。

https://simple-hoiku.com/media/nurseryteacher-overtime/

特徴②休憩がない

休憩時間を確保しない保育園もブラックです。

労働基準法により、フルタイムで8時間働く保育士は、少なくとも1時間の休憩。パートやアルバイトなど時短で6時間以上働く保育士は、最低45分の休憩をとることが義務付けられているからです。

(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

労働基準法 e-Gov法令検索

休憩時間に保育士がおこなっている主な業務は以下のとおり。

  • 書類作成
  • 制作物の準備・仕上げ
  • 部屋の清掃・室内掃除
  • 電話・来客の待機・対応

労働者の休む権利を無視している状況なので、悪質な労働環境といえるでしょう。

片野秋子

子どもと一緒に給食を食べたり、子どもの午睡を見守ったりするのが休憩時間に割り当てられている保育園も多いです。しかし、その時間も保育士は子どもの安全や成長を見守っているため休憩として扱ってはいけません。

以下の記事では保育園の休憩なしの現状をまとめているので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

https://simple-hoiku.com/media/nurseryteacher-no-breaks/

特徴③給料が低い

自分の経験年数や勤務地ごとの平均給与を大幅に給料が下回る保育園も、ブラックの可能性が高いです。

給料が著しく低い職場は、適正な給与を受け取る労働者の権利を尊重していません。

以下に「経験年数別」「都道府県別」の平均給与をまとめたので、自分が受け取れる給料をイメージする際の参考にしてみてください。

まずは、「経験年数別」の平均給与です↓

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

次に、「都道府県別」の平均給与です↓

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

給与が低すぎると労働者の生活水準を低下させるほか、働くモチベーションも損われるため、適切な労働条件を提供しているとはいえません。

特徴④有給がもらえない・休みが取りにくい

有給休暇や風邪・家庭の事情による休暇の取得を制限する保育園もブラックな職場です。

まず、有給休暇は労働者に与えられた大切な権利です。

有給をとろうとするとタブーな空気感が流れていたり、「その日に有給を取られてたら困る」と自由に取得できなかったりする職場は労働者の権利を奪っているといえるでしょう。

また、体調不良や家庭の事情といった理由で休みがほしいときに、伝えづらい雰囲気があったり、休んだ職員に対して文句をいったりする職場も働く環境としてよくありません。

労働者の休む権利を軽く扱う職場は、労働環境に問題があると認識してよいでしょう。

片野秋子

家庭の事情なのにも関わらず休みをもらえない職員をみたことがあります。その方の事情を考慮しようとしない組織の態度に不信感を覚えました。

特徴⑤常に人手不足の状態にある

常に人手不足の状態にある保育園もブラックの可能性が高いです。

人員が足りないと、職員一人当たりの業務量が増加し、心身の健康を損ねかねません。その状況を変えようとしない保育園は、職員を大切にしていないといえるでしょう。

国の定めた保育士の配置基準にのっとって、保育園は保育士を配属する決まりがあります。

出典:厚生労働省

この基準を満たしていない保育園は、国の定めた規則が守れていないため、ブラック保育園と断定できるでしょう。

しかし「基準を満たせばOK」ではありません。配置基準の設定はあくまで最低ラインなので、実際の業務状況にあわせて最適な人員を配置するのが正しい選択といえます。

配置基準を満たしていても、休憩や休暇を回せなかったりする状況であれば+αの人員を雇って対応する必要があるでしょう。

特徴⑥人間関係が悪い

人間関係が悪く精神的負担が大きい職場もブラック保育園の可能性があります。

人間関係が悪い職場とはたとえば以下のような環境のこと。

  • いじめがある
  • 悪口や噂話が絶えない
  • 派閥争いがおこなわれている

このような環境に耐えられず、退職した保育士は少なくありません。

実際に厚生労働省の調査では、保育士の退職理由のトップに「職場の人間関係」があがっています。

「職場の人と顔を合わせるのが億劫だ」「人間関係が悪くて息がつまる」といった状況であれば、ブラック保育園の要素が強いでしょう。

片野秋子

新人の頃、先輩保育士に執拗に注意された経験があります。「また怒られるのではないか?」といつもビクビクして、それが退職を検討したきっかけにもなりました。

以下の記事では、保育士の人間関係が悪化しやすい原因や改善策をまとめているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。

https://simple-hoiku.com/media/nurseryteacher-relationships/

特徴⑦不適切保育が横行している

近年、問題視されている不適切保育が横行している保育園もブラックな職場です。

厚生労働省は不適切保育を以下のように定義しており、保育士は子どもの人権や人格を否定したり、粗末に扱ったりする行為をしてはいけません。

保育所での保育士等による子どもへの関わりについて、保育所保育指針に示す子どもの人権・人格の尊重の観点に照らし、改善を要すると判断される行為

厚生労働省:不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き

不適切保育に該当する行動パターンはこちらです↓

  • 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり
  • 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ
  • 罰を与える・乱暴な関わり
  • 子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり
  • 差別的な関わり

出典:厚生労働省「不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き

子どもに対して、身体的・心身的な負担を与えるような関わりや発言が日常的にみられる職場は保育園としての役目を果たしていません。保育の質が悪いという視点でみて、ブラック保育園といえるでしょう。

特等⑧園長や主任が独裁的な思考をもっている

独裁的な思考をもつ園長や主任が在籍している職場は、ブラック保育園の可能性があります。

自分のやりたい保育ができなかったり、意見や発言が否定され続けたりすれば働くモチベーションを維持できません。精神的負担も大きくなるため、労働環境が悪いといえるでしょう。

特徴⑨仕事を辞めさせてもらえない

退職の意向を伝えたときに、拒否したり、過度に引き留めたりする職場もブラック保育園の傾向があります。

労働者には2週間前に雇用解約を申し出れば退職できる義務があるため、雇用側は原則、相手の退職希望を受け入れなければなりません。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

労働基準法 e-GOV 法令検索

辞められるのは困るのは事実としてあるでしょう。しかし労働者の権利を尊重し、適切な対応をとるのが、雇用主の重要な役割といえます。

【求人票編】ブラック保育園を見分けるチェックリスト3つ

ここからは、ブラック保育園を見分けるチェックリストを紹介します。

  1. 求人の掲載時期が長い
  2. 給与が明確に記載されていない
  3. 情報に信ぴょう性がない

求人票に書かれている内容からブラック保育園を見分けるコツを解説しているので、求人を確認する際にぜひお役立てください。

①求人の掲載時期が長い

求人が絶えず掲載されている保育園は、人手が集まらない何かしらの課題を抱えている可能性があります。

また、再募集の繰り返しにより長期掲載されている場合は、早期退職者が続出するような原因が職場にあると考えられるでしょう。

掲載日が記載されていない求人も多いので、気になる求人があれば「いつから掲載されていますか?」と求人サイトに問い合わせてみてください。

転職エージェントのようなマンツーマンサポートをしている会社であれば「この求人が長期掲載されている理由はありますか?」と担当者に聞くのもよいかもしれません。

②給与が明確に記載されていない

内訳がわからない給与の情報だけを信じて求人に応募してはいけません。

記載されている額が資格手当や役職手当といった諸手当を含んでいる場合、実際の手取り額が低くなる可能性があるからです。

たとえば「給与23万円」の内訳をみてみましょう。

  • 基本給:17万円
  • 役職手当:2万円
  • 家賃手当:3万円
  • 資格手当(保育士資格保有者):1万円

合計:23万円

自分が役職手当(2万円)や家賃手当(3万円)の対象者でなければ、給与から5万円がマイナスされて18万円になります。保険料や税金などを引くと手取りは、14.5万円ほどになるでしょう。

片野秋子

記載内容と実際に受け取る給与に相違がないよう、応募する前に給与内訳を必ず確認するのが大切です。

③情報に信ぴょう性がない

信ぴょう性のない情報を鵜呑みにして就職・転職すれば「求人に書かれていた内容と違う!」という事態になりかねません。

入社してから気づけば手遅れになるので、魅力的な文言を見かけたら「この情報は本当か?」と疑いの目でみる姿勢が大切です。

求人に「有給消化率90%以上」「昨年実績:賞与4.5ヶ月分」など具体的な数字があると信ぴょう性に深みが増します。とはいえ、100%正しい情報とは言い切れないので、どこかのタイミングで事実確認をするのが好ましいでしょう。

【園見学・面接編】ブラック保育園を見分けるチェックリスト5つ

次にブラック保育園を見分けるチェックリスト【園見学・面接編】をご紹介します。

  1. 勤怠の記録をとっていない
  2. 保育士の人数が少ない
  3. 頃に訪問したのに誰も休憩をとっていない
  4. 保育士の過度な言動が目立つ
  5. 質問に対する担当者の返答があいまい

①勤怠の記録をとっていない

勤怠管理がずさんな保育園は、出勤時間・退勤時間があいまいになり残業が習慣化しやすいです。保育園を訪問した際は、勤怠管理がしっかりされているかをチェックしましょう。

以下の手法であれば、リアルタイムで打刻できるため労働時間を正確に記録している可能性が高いです。 

  • タイムカード
  • ICTシステムによる電子管理

記入忘れが発生しやすい手書きの勤怠管理は、上記の方法よりやや記録の正確性が劣るでしょう。

②保育士の人数が少ない

クラスを見学する際は、国が定めた配置基準を満たして保育士を配属しているかをチェックしましょう。

出典:厚生労働省

配置基準はサービスの質や子どもの安全性を守る観点で、定められた基準です。基準をクリアしていない保育園は、保育の質や子どもの安全性に対する意識の低い保育園といえるでしょう。

片野秋子

基準を満たしていても保育士が慌ただしく動いていたら、現場に適した人員が配置できていない可能性があります。配置基準だけに捉われず、広い視野で保育士数を確認するとよいでしょう。

③昼頃に訪問したのに誰も休憩をとっていない

昼頃に訪問した際に、すべての保育士が仕事に取り組んでいる状況であればブラック保育園の可能性が高いです。

保育士の休憩時間は11:30〜14:00の間に設定されているケースが多く、順番に休憩をとるのが一般的です。そのためお昼頃に訪問すれば、誰かは必ず休憩をとっているでしょう。

法律の規定により1日6時間以上働く場合、45分以上の休憩をとらなくてはなりません。休憩なしで長時間労働をさせている職場は労働環境が悪質といえます。

④保育士の過度な言動が目立つ

クラスを見学した際に保育士の言動に気になる点があれば、提供する保育に問題がある保育園の可能性があります。

それらの言動が習慣的になっている場合、指導体制が整っていない証拠です。また、組織が保育に対する意識が低く、注意対象になっていないケースもあるでしょう。

ひとりでも言動が気になる保育士がいれば、保育レベルや教育環境の不足点を疑うきっかけにしてください。

⑤質問に対する担当者の返答があいまい

面接や見学を担当する方に質問した際に、返答があいまいな場合は「ブラック保育園かも…」と小さなアンテナを張りましょう。

堂々と回答できないということは、嘘をついてたり、後ろめたさがあったりする場合があるからです。

保育園の労働条件や職場の環境を知るうえで大事な質問はこちら。

  • 休憩があるかどうか?
  • 月の給与はどれくらいか?
  • 賞与は年に何回支給されるのか?
  • 平均の残業時間はどれくらいか?
  • 保育士の配置はどのようになっているのか?

あまり労働条件の内容ばかりを確認するのは、印象的によくありません。しかし、働く場所を決めるうえで大事な情報となるので、タイミングをみながらうまく質問をして職場の情報を集めていきましょう。

片野秋子

その際に言葉を濁したり、おどおどした態度で回答したりする場合は「情報を誤魔化している可能性がある」という視点をもっておくとよいでしょう。

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まとめ:ブラック保育園の特徴を理解して就職・転職しないように気をつけよう!

ブラック保育園で働き続けるとストレスがかかり、心身的な不調をきたしかねません。これから就職・転職を控えている方は、本記事で紹介したブラック保育園の特徴を理解して、労働環境の悪い職場に入社しないように気をつけましょう。

ブラック保育園を自分で見分けるのが難しいときは、ぜひ弊社「しんぷる保育」にご相談ください。保育士が働きやすい環境の整った保育園の求人を厳選し、ご紹介させていただきます。

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