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【保育園食育指導】10分で分かる!成功する指導案のポイントとは?

保育園の食育指導って何をすればいいか分からないですよね。

食育指導が成功する保育園にはいくつかポイントがあり、それらを押さえれば食育指導を成功させることができます。

この記事はこんな方におすすめ

  • 保育園で食育指導をする先生
  • よりよい食育指導を探している先生
  • 新任の先生に食育指導を教える先生

この記事で保育園での食育指導のポイントを知ることで、子どもたちが楽しめ、より効果的な食育指導を実施することができます。

保育園で実施されている「食育」とは

まず初めに保育園で実施されている「食育」の定義を振り返っておきましょう。

農林水産省は、「食育」を以下のように定めています。

(引用)

食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

引用元:農林水産省

分かりやすく言うと「食育」とは、子どもたちが野菜を育てたり、一緒に料理をしたりすることで「食」に関する知識を学び、食事の大切さやありがたさを理解することで、健康的な食生活を実践できるように育てる取り組みです。

食育は、子どもたちに食べ物の成り立ちや栄養の必要性を教えるだけでなく、食材の大切さや料理を作る人への感謝の気持ちを育むことも目指しています。

保育園での食育指導の狙い

保育園での食育指導の狙いは主に3つあります。

  • 健康的な食習慣の形成
  • 食への好奇心を促進
  • コミュニケーションによる社会性の発達

もちろん、食育指導プログラムごとに狙いはあるので、食育の狙いは多岐に渡りますが、ここでは「食育指導」そのものの狙いを紹介していきます。

健康的な食習慣の形成

子どものときの食習慣は、将来の食生活に大きな影響を与えます。

食育指導を通じて、バランスの良い食事の大切さや食が与える影響を学ぶことで、食事のバランスを気にしながら食べるようになるでしょう。

子どもの頃から健康的な食習慣を形成することで、将来の食習慣を乱しにくくすることができます。

また、保育園の時期は成長と発達が急速に進む時期であるので、バランスの良い栄養が欠かせず、健康に育つためにも食育は必須なのです。

食への好奇心を促進

食育では、「食」をテーマにいろいろな活動を行います。例えば、野菜を栽培し、育てた野菜を使って料理してみたり、郷土料理について学んだりします。

野菜栽培や郷土料理の学習を通じて、食への興味と好奇心を促進しています。

特に幼児期は、新しい食材や料理に対し興味を持ちやすい時期なので、食育を通じて食への関心を広げるのに適している時期と言えます。

具体的には、子どもたちが食材に触れる機会を作ると有効です。視覚的な刺激や食感を通じて食への興味を引き出すことが可能になります。

コミュニケーションによる社会性の発達

保育園では、友達と一緒に食事をすることで集団生活を経験します。食育を通じて食事マナーを身に付け、食事の美味しさを共有する喜びを学びます。

食事時間をコミュニケーションの場とすることで、子どもたちのコミュニケーション能力が向上したり、協調性が生まれたりします。

例えば、一緒に食卓を囲んで、感謝の言葉を伝え合ったり、食べ物を分け合ったりすることで、子どもたちは協力や共有の喜びを体験します。

コミュニケーションスキルや協調性は幼児期に学ぶべきことなので、食を通じて学べるのは良いことです。

保育園の食育で期待できる効果

子どもたちに食育を実施することで期待できる効果は、3つあります。

好き嫌いや食べ残しが減る

感謝して食事するようになる

さまざまな食文化に触れられる

先生が食育の効果を十分に理解することで、より子どもにいい影響を与える食育指導プログラムを組むことができます。

また、食育指導についての子どもたちの疑問にも答えやすくなるので、先生方は食育で期待できる効果を知っておいた方が良いでしょう。

好き嫌いや食べ残しが減る

保育園で食育を実施することで、バランスの良い食事の大切さを理解します。

また、食育活動によって、子どもたちは自分で野菜を栽培したり、食材を調理したりします。

自分が愛情をもって育て、調理した野菜なので、嫌いなものでも食べるようになるでしょう。

好き嫌いや食べ残しが減れば、健康的に成長していくことはもちろん、集中力が上がり、学習能力のアップにも繋がります。

実際に文部科学省の「全国学力・学習状況調査」により、朝食を取ることと学力の間には相関係数があると分かっています。

感謝して食事するようになる

野菜作りや料理を子どもたちが体験することで、普段食べている食材に感謝の気持ちが芽生えます。

言葉で説明するよりも、実際に体験する方が栽培する大変さや調理する大変さを理解しやすいでしょう。

大変な経験から、子どもたちは食事のたびに野菜を作っている人や料理をしてくれる人に対して感謝の気持ちを持つようになります。

さまざまな食文化に触れられる

食育の中には、さまざまな地域の郷土料理を通じて、食文化の違いを伝えることもあげられます。

地元の郷土料理を「食育指導」で扱い、子どもたちに作ってもらうのもいいでしょう。

保育園によっては、他のさまざまな地域の食事を給食で提供することもあるようです。

子どもの頃からさまざまな食文化に触れることで、「食」への関心がより一層増すと考えられています。

保育園の食育指導案を作る際のポイント

次に、保育園の食育指導案を作る際のポイントを4つ紹介します。

  • 目標を明確に設定する
  • 子どもの発達段階に合わせる
  • 子どもたちが積極的に参加できるように工夫する
  • 取り組みを振り返り、より良いものに改善する

この4つのポイントを押さえることで、保育園での食育指導が成功しやすくなるので、じっくり読んでくださいね。

目標を明確に設定する

まず、「食育指導」を行う目標を明確に設定しましょう。

この記事で保育園での食育指導の狙いの大枠は捉えましたが、実施する食育指導のプログラムごとに目標を明確にした方が成功しやすいです。

例えば、野菜作りの食育指導であれば、「食べ物のありがたみを知る」や「野菜を作ることの大変さを知る」などが挙げられます。

どうしても考えにくい方は、子どもたちが食育プログラムを受け終わった後にどういう風になっていてほしいかを考えると上手くいきますよ。

子どもの発達段階に合わせる

2つ目に押さえるべきポイントは、子どもの発達段階に合わせることです。

例えば、3歳の子どもたちに食文化の多様さを教えても、おそらくピンとこないでしょうし、食への興味は高まることがないでしょう。

子どもたちの発達段階を理解し、年齢にふさわしいプログラムを組むのが大切です。

厚生労働省も保育所の食育に関する指針を出していたので、そこから抜粋して紹介します。

年齢食育の狙い
6か月未満児①お腹がすき、乳(母 乳・ミルク)を飲みた い時、飲みたいだけゆったりと飲む。②安定した人間関係の中で、乳を吸い、心地よい生活を送る。
6か月~1歳3か月未満児①お腹がすき、乳を吸い、離乳食を喜んで食べ、心地よい生活を味わう。②いろいろな食べものを見る、触る、味わう経験を通して自分で進んで食べようとする。
1歳3か月~2歳未満児①お腹がすき、食事を喜んで食べ、心地よい生活を味わう。②いろいろな食べものを見る、触る、噛んで味わう経験を通して自分で進んで食べようとする。
2歳児①いろいろな種類の食べ物や料理を味わう。②食生活に必要な基本的な習慣や態度に関心を持つ。③保育士を仲立ちとして、友達とともに食事を進め、一緒に食べる楽しさを味わう。 

3歳以上の子どもは、狙いが多岐に渡っているので、確認したい方は、厚生労働省の公式ホームページをご覧ください。

人数が少ない場合は、年齢が低い子どもと高い子どもを一緒にすることで、助け合うことの大切さも教えられますよ。

子どもたちが積極的に参加できるように工夫する

食育で最も大切なのは、子どもたちが進んでプログラムに参加することです。

食育プログラムは、子どもたちに無理やりやらせると「食」への関心が薄れるという逆の効果をもたらします。

子どもたちが進んで食育活動に取り組みたくなるような仕掛けを作っておくのがポイントです。

例えば、野菜の収穫や調理体験、食事の準備や片付けなど、子どもたちが実際に関与できる活動を取り入れるととても良いです。

じっとするよりも、ある程度動きのある方が子どもたちが楽しめるので、体験学習を中心に実施していくとベストでしょう。

取り組みを振り返り、より良いものに改善する

食育指導は実施するだけではいけません。実施した後に振り返ってこそ、よりよい食育プログラムを送ることができます。

先生方が食育指導を振り返る際に気を付けるべきことは、先生側の目線で物事を考えないことです。

食育の主役は、子どもたちなので「子どもたちが楽しんでいたかどうか」「実施する前に立てた狙い通りの状態に子どもたちがなっているか」を振り返ってください。

振り返りの際に、反省点ばかりをあげる方もいるのですが、良い点もあげるべきです。

良い点をあげることで自信にもなるし、次への活力にも繋がるからです。

保育園の食育指導の実践事例

ここまでの記事を読んでも、保育園の食育指導をどう進めていいかが分からない…。

このような方に向けて、実際の食育指導の事例を3つ紹介します。

他にも多くの実施事例があるので、気になる方は「農林水産省のホームページ」をご覧ください。

野菜を育て、食べ物への感謝の気持ちを育む

1つ目の事例は、入野こども園で実施された食育指導です。

この食育指導の事例の狙いは、「植物に関心を持ち、食べ物への感謝の気持ちを育て、体験や交流により食への関心を高める事で豊かな心を育む」ことのようです。

実施内容は、菜園やプランターに野菜の苗を植え、野菜を育て、収穫して食べることで命をいただいていることを学ぶというものです。また、3歳以上の子どもたちは育てた野菜を使って、料理を行いました。

実施してみて、子どもたちは愛情をもって水やりなどの世話をすることで野菜が生長し、大きく育つことに気づきました。

また、野菜が苦手だった子どもも自分たちが育てた野菜は、頑張って食べたようです。

郷土料理作りを通じて、伝統文化に興味を持つ

2つ目の事例も同様に入野こども園で実施された食育指導です。

食の多様化が進み、家庭で和食を食べる機会が減ってきている傾向にありますが、和食は栄養バランスの取れた健康食です。食育指導を通じて、和食の素晴らしさを理解し、家庭でも和食を多く取り入れてもらおうとの想いから郷土料理の食育プログラムを実施することを決めたそうです。

実施内容は、給食の献立に地元の食材を使った郷土料理を組み込み、子どもたちに食文化を知ってもらおうというものです。子どもたちには給食の配膳前に、地図を使って、郷土料理が作られている地域を伝え、食文化への理解を促します。

実施してみて、年齢の高いクラスの子どもたちは、自分の住んでいる地域以外にも興味を持ち、日本各地の料理に興味を示したようです。

行事を通じて、季節の移ろいを感じる

3つ目の事例は、納場保育園の食育指導です。

実施内容は、季節ごとの行事食を通して、季節の移ろいを感じてもらう内容となっています。

五節句、十五夜、七五三の集い、節分、正月の食事を給食で提供しつつ、それぞれの食事にまつわる知識を教えました。

子どもたちがより積極的に食育活動に参加するために、お米の栽培も行いました。

田植えでは、泥の中の歩きづらさを経験し、稲刈りではかまの扱いに苦労したことで普段から食べているお米の大切さを身をもって感じてもらうことができました。

この経験により、普段の食事でお米を1粒も残さずに食べてもらいたいとの願いがあるようです。

食事への関心を高めるとともに、食事のありがたさが分かるプログラムとなっていますね。

まとめ

この記事では、保育園での食育指導を成功させるために押さえておくべきポイントと実際に保育園で行われた食育指導事例を紹介しました。

記事で紹介されていた事例は、農林水産省のホームページに掲載されていたことから、非常に質のいい食育指導であると考えられます。良い部分を見つけ、あなたの食育指導の参考にしましょう。

再度、押さえるべきポイントを復習しておきますね。

  • 目標を明確に設定する
  • 子どもの発達段階に合わせる
  • 子どもたちが積極的に参加できるように工夫する
  • 取り組みを振り返り、より良いものに改善する

紹介した事例と押さえるべきポイントを参考にし、子どもたちが楽しめるような食育指導プログラムを作成してください!