保育士の悩み

保育士の持ち帰り仕事の実態!違法の境界線や残業を減らす方法を解説

「保育士は持ち帰り仕事が多いって聞いたけど本当?」
「持ち帰りを減らす方法が知りたい!」

このような不安や疑問に答えていきます。

この記事を読めば、保育士の持ち帰り仕事の現状や残業を減らす方法がわかります

持ち帰り仕事は自分にとって何もメリットはありません。毎日、自宅で作業をしていて悩んでいる方は本記事で紹介している改善策をぜひお試しください。

持ち帰り仕事のリスクも紹介しているので、現状を変える必要性も理解できるでしょう。

片野秋子のプロフィール

保育士の持ち帰り仕事は違法の可能性がある

勤務時間外で「この仕事は家でやってきて」と上司に指示を出された業務に対し、残業代が支払われないのであれば法律に反します。

休憩時間を除く「1日8時間」「1週40時間」の所定労働時間を超える労働に対しては、残業代が発生すると労働基準法で決められているためです。

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法 e-Gov法令検索

明確な命令がなくとも、残業をせざるを得ない状況の場合も残業代を支払わなくてはなりません。たとえば、明らかに勤務時間内では終わらない業務量を振り分けたり、提出書類で厳しい納期を設定したりするケースです。

一方で、自分の判断で自宅で作業をしたり、締め切りに余裕がある業務を前倒しで着手したりする行為は「自主的な作業」と見なされて違法に該当しません。

保育士の持ち帰り仕事の現状

残業に該当する可能性が高い持ち帰り仕事の現状をみていきましょう。

厚生労働省の調査によると、保育士の平均残業時間は月に3時間です。月に20日間出勤した場合を想定して計算すると、1日の残業時間は約10分です。

片野秋子

残業時間の少なさに驚かれた方もいるのではないでしょうか。わたしも残業が多かった職場で働いた経験があるので、本当かな…?と違和感を覚えました。

この調査結果は、残業を申告した保育園の情報をもとに作成されたものです。無申告の保育園のデータは含まれていないので、全ての結果を入れると残業は月3時間をゆうに超えるでしょう。

その裏付けとなるのが厚生労働省が元保育士に聞いた退職理由の調査結果です。「労働時間が長い」の項目は全体で3番目に多い結果でした。

勤務時間内の労働であればこの回答は選ばれないはずなので、多くの保育士が残業や持ち帰り仕事に悩んで退職を決断したのが推測できます。

以下の記事では、保育士の残業について詳しく解説しているので、詳細が気になる方はぜひあわせてご覧ください。

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保育士が持ち帰りしている主な業務

保育士が持ち帰りしている主な業務を紹介します。

  1. 書類・計画書などを作成する「事務作業」
  2. 行事や壁面で使用するアイテムを作る「制作作業」
  3. パート保育士も持ち帰り仕事が発生する場合も

書類・計画書などを作成する「事務作業」

持ち帰り仕事で多いのは、書類・計画書などを作成する「事務作業」です。

日中は子どもの保育で手一杯になり、事務作業に時間が避けられない場合もあるでしょう。書類は提出期限が設けられているため、勤務時間内で着手できなければ残業するほかありません。

行事や壁面で使用するアイテムを作る「制作作業」

行事や壁面で使用するアイテムを自宅で作る保育士も多いです。

保育の合間をぬって進められる作業量には限りがあります。子どもの保育とは別に作業時間を意識的に確保しなければ、労働時間内で業務を終わらせるのが難しいでしょう。

片野秋子

経費の削減や手作りの温かみを優先する観点から、アイテム作りは手作業が多いです。保育園は年間を通してたくさんのイベントがあるため、制作物のタスクがたまりやすいでしょう。

パート保育士も持ち帰り仕事が発生する場合も

パート保育士も持ち帰り仕事が発生する場合があります。

たとえば、とある制作物に必要なリボンやハート型にカットした画用紙といったパーツ作りのお手伝いを任されるケース。

また、自宅にミシンがある方は、おままごとに使うスカートやイベントにつく衣装などをミシンで縫う作業をお願いされる場合もあります。

保育士の持ち帰り仕事で起こりうるリスク3つ

保育士の持ち帰り仕事で起こりうるリスクを解説します。

  1. 情報漏洩の危険性がある
  2. 疲れが蓄積し仕事のパフォーマンスが低下する
  3. どんなに頑張っても賃金に反映されない

家に仕事を持ち帰るデメリットを知れば、その後の対策に踏み出しやすくなるでしょう。

情報漏洩の危険性がある

書類には会社の機密情報や子どもの名前・写真などの個人情報が記されてるものもあります。もし失くしたり、途中で落としたりすれば情報漏洩という大問題に発展しかねません。

「この書類なら自宅でやっても大丈夫だろう…」と個人の判断で持ち帰るのは危険です。法に触れる情報を見定めるのは素人には難しいからです。自分を守るためにも、書類は園外に持ち出さず職場で作成するようにしましょう。

片野秋子

書類の持ち出しを禁止している保育園も多いので、リスク管理が徹底されている職場だと安心ですね。

疲れが蓄積し仕事のパフォーマンスが低下する

家に帰ってからも仕事をしていたら、体を休める時間がなく疲れが蓄積していきます。

疲れがたまれば、自身の怪我につながったり、子どもの安全を守れなかったりとあらゆるリスクを招きかねません。また、子どもと向き合う心の余裕もなくなり、自己嫌悪になりやすいでしょう。

仕事のパフォーマンスを下げないためにも、休息をしっかり取るのが大切です。

どんなに頑張っても賃金に反映されない

どんなに自宅で頑張って作業をしても、残業とみなされない限りは残業代は支給されません。

片野秋子

子どもたちや保護者のために奮闘している業務が評価されないのは切ないですよね…。

大切なプライベート時間を消費してまでタダ働きをする必要はありません。勤務時間内で仕事が終わらないぶんは、しっかり残業として対応してもらいましょう。

保育士の持ち帰り仕事を減らす方法5つ

持ち帰り仕事を減らす方法を解説します。

  1. 上司に相談をする
  2. 職員間の連携を強化する
  3. 業務を簡略化する
  4. 家で仕事をする習慣を変える
  5. 持ち帰り仕事のない保育園に転職する

すぐに実践できるものもあるので、試せる方法からぜひ取り組んでみてください。

方法①上司に相談をする

現状をガラリと変えるには、上司に相談して持ち帰り仕事の改善を求めるのが効果的です。

話をする際は要望だけでなく、具体的な現状と自分の提案も一緒に伝えるようにしましょう。

伝え方を工夫すれば真剣さをアピールできるうえ、提案した改善策が良い方向に話を進めるキッカケになります。

方法②職員間の連携を強化する

職員間の連携の強化は、持ち帰り仕事の軽減につながります。

連携がしっかり取れると無駄な行動が減り、仕事がスムーズに進みます。「残業をなるべく少なくしよう」という共通意識が加われば、勤務時間内に業務が片付けられる体制を作れるでしょう。

連携力を高めるには、報連相(報告・連絡・相談)の徹底やお互いを思いやる意識が大切です。先輩・後輩関係なく声を掛け合える関係性を構築できれば、円滑に仕事を回せて残業を減らせるでしょう。

以下の記事では職員間の連携で大切なことについてまとめているので、チーム力を高めたい方はぜひ参考にしてみてください。

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方法③業務を簡略化する

業務を簡略化すれば、そのぶん作業時間が減って残業になりにくくなります。

1から手作りしたり、クオリティを重視したりするのが当たり前となっている保育園は少なくありません。勤務時間内で終わるのであれば問題ないですが、残業や持ち帰り仕事をしてまで作っている状況であれば考え方を変える必要があるでしょう。

「使い回したり、手間を省いたりすることに罪悪感がある…」という思考があれば手放して、残業をせずにできる方法を考えてみてください。

片野秋子

わたしも制作物のクオリティにこだわりすぎて残業する日々を送っていた時期がありました。「手間をかける=愛情ではない」という考え方をもってから、残業の機会が減りました。

方法④家で仕事をする習慣を変える

持ち帰り仕事が習慣になっている方は改善が必要です。習慣化してしまうと、家でやるほどの業務量ではないのに「やらないと不安…」という状態に陥りやすくなります。

現状を変えるもっとも有効な手段は「家では一切仕事をしない」と自分でルールを決めて守り抜くこと。

片野秋子

意識を変えれば「勤務時間内で仕事を片付けるためにはどうすればよいか?」という部分にアンテナが貼るようになります。

その結果、効率的に業務を遂行できるようになり、不必要な持ち帰り仕事がなくなるでしょう。

方法⑤持ち帰り仕事のない保育園に転職する

色々試してみても改善が難しいなら、持ち帰り仕事のない保育園に転職するのもありです。

そもそも、人手不足や業務量といった根本的な問題が関係している場合は、状況を変えるのには限界があります。新たな環境で働くことで、今の不満が解消される可能性はあるでしょう。

持ち帰り仕事をさせない保育園も多く存在します。求人情報をチェックして、ストレスを軽減できそうな職場をぜひ探してみてください。

保育士の持ち帰り仕事が少ない保育園の特徴5つ

持ち帰り仕事の少ない保育園の特徴を解説します。

  1. イベントや行事が少ない
  2. 労働時間の管理が徹底されている
  3. ICTシステムを導入し業務を効率化している
  4. 保育士の人数に余裕がある
  5. 職場の風通しのよい

就職や転職で職場選びをする際のチェック項目としてお役立てください。

特徴①イベントや行事が少ない

イベントや行事が少ない保育園は、制作物の作成・リハーサルといった対応業務が減るぶん持ち帰り仕事が発生しにくいです。

最近は、保育士の負担を考慮して行事の回数を見直す保育園や、家庭的な雰囲気を重視し行事の開催を最小限にしている保育園も少なくありません。

また、以下の保育施設は、施設の性質や預かる子どもの対象年齢の観点から、こじんまりとした行事が多い傾向にあります。

イベントや行事の準備で残業が多くなっている方は、イベントや行事の開催頻度の少ない保育園を探してみるとよいでしょう。

特徴②労働時間の管理が徹底されている

労働時間の管理が徹底されている保育園も、持ち帰り仕事が少ないです。

こうした保育園では組織や上司の管理が行き届いており「残業をなるべくさせない」という考えが浸透している傾向にあります。労働時間がしっかり守られた職場を探せば、持ち帰り仕事のない労働環境に期待がもてるでしょう。

片野秋子

残業が少ない保育園で働いた経験がありますが、園長先生が「残業のない環境を作りましょう」と職員に呼びかけていました。トップの意識によって労働環境は大きく変わるのだと実感しました。

特徴③ICTシステムを導入し業務を効率化している

ICTシステムを導入している保育園も持ち帰り仕事がない傾向にあります。

ICTシステムとは情報通信技術を活用したシステムのことで、技術を駆使すれば保育園での様々な業務を電子化できます。

手作業から電子化によって作業時間の短縮化が実現できれば、持ち帰り仕事の軽減につながるでしょう。

特徴④保育士の人数に余裕がある

保育士の人数に余裕がある保育園も持ち帰り仕事が少ないです。

人手が潤っている保育園とは、保育士の配置基準をクリアするだけでなく、実際の業務状況に合わせて最適な人員を配置している職場を指します。

配置基準ギリギリで人員不足感が強い職場だと、保育士一人当たりの業務量が増えるため、労働時間内でタスクをこなすのが難しくなります。

心にゆとりをもって仕事をしたい方は、配置基準に+αの保育士を雇っている保育園を探してみるとよいでしょう。

特徴⑤職場の風通しのよい

持ち帰り仕事が少ない職場は風通しがよい傾向にあります。

風通しがよい職場は、職員同士のコミュニケーションが活発です。また、役職や年齢に関係なく自分の意見を自由に発言できる雰囲気があるでしょう。

このような環境は、協力体制が定着しやすく作業がスムーズに進みます。必要な情報や意見がシェアされて無駄な業務も減るため、持ち帰り仕事の軽減につながるでしょう。

残業のない環境を全員の力で築きあげていきたい方は、風通しのよい保育園での勤務をぜひ検討してみてください。

持ち帰り仕事がない保育園に転職したい方は弊社「しんぷる保育」にご相談ください

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まとめ:保育士は持ち帰り仕事をしない働き方を目指そう!

持ち帰り仕事を続けても、何一つメリットはありません。報酬として対価を得られないうえ、休む時間が奪われるので心身ともにただ疲弊するだけです。

そのため、残業としてみなされずタダ働きをしている状況なら改善を試みましょう。

持ち帰り仕事がない保育園を探したい方は、ぜひ弊社「しんぷる保育」にご相談ください。保育士が働きやすい環境の整った保育園の求人を厳選し、ご紹介させていただきます。

相談だけでも無料なので、まずはお気軽にお問い合わせください。