保育士の残業の実態を徹底調査!平均時間や残業代なしの現状とは?

疲れた表情を見せる保育士

保育士は残業なしが当たり前なの?

残業している保育士って残業代もらえてるの?

保育士の平均残業時間は、月4時間です。

保育士は残業が多いイメージの職種で、実際にSNSやネットの掲示板を見ると、残業への不満が書かれた投稿ををよく見かけます。この記事を書く保育士歴8年の筆者も、残業が当たり前になっている職場で働いた経験があり、そのつらさは痛いほどわかります。

残業が常態化されている保育園や、残業代が適切に支払われていない保育園は、ホワイトな園とは言えません。無理して働くと心身を壊してしまうため、早めに環境を変える行動を取りましょう。

本記事では、保育士の残業における平均時間や残業代の事情を徹底調査します。定時に帰るための方法も解説しているので、サービス残業や持ち帰り仕事をしたくない方は参考にしてみてください。

この記事を読めば、残業を減らしてプライベートの時間を楽しむ考え方にシフトできるようになります。

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目次

保育士のリアルな残業事情

パソコンを打つ保育士

さっそく、保育士のリアルな残業事情を以下の2つの項目に分けて解説していきます。

  1. 【厚生労働省が発表】保育士の平均残業時間は4時間
  2. 残業に悩む保育士のリアルな声を調査【エピソードあり】

順番に見ていきましょう。

【厚生労働省が発表】保育士の平均残業時間は月4時間

厚生労働省の調査によると、保育士の平均残業時間は月に4時間です。月に20日間出勤した場合を想定して、1日の残業時間を換算すると12分になります。

片野秋子

「保育士の残業時間が4時間のはずがない!」と思った方も多いのではないでしょうか?

わたしも残業が多い職場で働いていた経験があるため違和感を覚えました。

この結果は、残業時間を申告した保育園のみのデータをもとにまとめたものです。

残業を黙認している保育園の無申告データをあわせると、残業時間のデータはグッと増える可能性があります。

残業に悩む保育士のリアルな声を調査【エピソードあり】

ここでは、保育士に実施したアンケートや口コミをもとに、現場のリアルな声を見ていきましょう。

まず、厚生労働省が実施したアンケート調査では、保育士の退職理由として「労働時間が長い」の回答が上位にきていました。

労働時間内の勤務であればこの回答は生まれないため、残業に悩む保育士が多い実態が伺えます。

次に、SNSや口コミ掲示板に寄せられている残業に関する保育士の声をまとめました。

残業に関する保育士の声
  • 遅くまで残業する日々。そして仕事の持ち帰りも多く疲れ切ってしまいました
  • 残業しても残業代がつかない…
  • 1ヶ月の残業時間が多すぎる!保育士が少なくて仕事の負担が大きい
  • ほぼ毎日サービス残業しています
  • 朝早くから夜遅くまで保育園にいます。体調を崩すこともしばしば…
  • 保育園に泊まり込んで仕事をする日もあります
  • 残業・持ち帰り仕事をしても手取りは15万ほど…

※2022〜2025年のデータ

サービス残業が習慣化している保育園で働く保育士は、現在も多いようです。

片野秋子

わたしも、残業に悩んだものの一人です。行事やイベント前は日付けが変わる頃まで職場に残り、仕事をしていたこともあります。

当時は、心身ともに不調で、毎日転職ばかりを考えていました。

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残業代は出ない?サービス残業でタダ働きしている保育士も多い

悩み込む保育士

保育士の残業代は出ないの?みんなタダ働きしているの?

残業代をしっかり支給している保育園もあります。

支払い方法としては、残業した分を全額支払う方法や、固定残業代(※)として支払う方法があります。
※固定残業代(別名:みなし残業代)とは、あらかじめ一定の残業時間を固定して、月の給与に加算して支給する方法

一方で、残業代を支払わない保育園も少なくありません。

残業に対する認識が甘く、職員が何も言わない環境に慣れきってしまった上司が職場にいると、このような現場に陥りやすいです。

片野秋子

わたしも、残業代なしで働いていた経験があります。

やっている業務は保育園や子どもたちのためなのに、対価が発生しないことに常に不満を感じていました。

労働基準法で、休憩時間を除く「1日8時間」「1週40時間」の所定労働時間を超える労働に対しては、残業代の支払いが義務付けられています。

残業代の支払いがない保育園は違法なので、今の現状を変える必要があります。

保育士の残業が多くなる5つの原因

疲れた表情をみせる保育士

保育士の残業が多くなるのは、この職業ならではの原因があります。

主な原因は以下の5つです。

  1. 保育士不足で時間内に仕事が終わらない
  2. 日誌や指導案を書く時間が確保できない
  3. 行事やイベントがある時期は準備に追われる
  4. 残業の常態化して自分だけ帰りづらい
  5. 勤務時間外に会議や研修が開かれる

順番に見ていきましょう。

保育士不足で時間内に仕事が終わらない

人手が足りていない保育園は、一人当たりの仕事量が多いため残業になりやすいです。

自分の代わりがいないと保育室から抜けられないため、書類作成や制作物の準備といった他業務は後回しになります。

そうなると、子どもたちが帰ったあとに業務をするしかありません。

日誌や指導案を書く時間が確保できない

勤務中に日誌や指導案が書けずに、残業して完成させる保育士も多いです。

時間を確保できない主な理由は以下のとおりです。

時間を確保できない主な理由
  • 保育士不足で書く量が多い
  • 日誌や指導案は勤務外に書く風習がある
  • 連絡帳の記載や子どもの対応に追われ書く暇がない

計画的に取り組まなければ、書類はどんどんたまっていきます。たまった書類を片付けるために、連日残業する保育士の姿は、現場でよく見られる光景です。

片野秋子

わたしも、書類作成のために残業した経験が多々あります。

労働時間内に書きたいと思っても、うまく時間が取れず、残業して仕上げていました。

行事やイベントがある時期は準備に追われる

行事やイベントがある時期は、保育士は準備に追われやすいです。

たとえば、発表会では、劇の構成やセリフ決め、子どもたちの衣装・大道具・小道具といった製作に時間がかかります。

運動会は、競技に使うアイテムを作ったり、競技中流す音源を編集したりする作業の確保も必要です。

このほかにも、クリスマスやお正月、ハロウィンなどの季節ごとの行事においても、出し物の準備や飾り付けなどがあり、保育士は休まる暇がありません。

残業の常態化して自分だけ帰りづらい

残業が常態化している保育園は、自然と自分自身も残業体質になります。

先輩保育士が当たり前のように残業していると、後輩は先に帰りづらくなってしまうためです。

今は働き方改革により「いかに働きやすい職場にするか」が問われる時代です。

「残業するのが当たり前」の風習はもう古いので、本来であれば無理に付き合う必要はありません。

勤務時間外に会議や研修が開かれる

勤務時間外に会議や研修が開かれれば、残業せざるを得なくなります

保育園によっては、月に数回と開催頻度が多い園もあります。

また、休日に開かれるケースも珍しくありません。

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保育士が残業を減らすための工夫5選

読みきかせをしている保育士

残業を減らしたい。でも何をしたらいいのか、わからない。

日頃の小さな工夫で、残業は減らせます。ここでは、明日からすぐ現場で実践できる5つの工夫を紹介します。

  1. タスクを可視化して優先順位を明確にする
  2. 制作物は時間を決めて作る
  3. 制作物を準備する手間を減らす
  4. 定時で帰ることへの罪悪感を手放す
  5. 園全体やクラスで話し合う

できることから実践して、少しずつ残業を減らしましょう。

タスクを可視化して優先順位を明確にする

保育士は日々、業務に追われます。

たとえば「お正月の行事が終わったと思ったら、次は節分の準備をしなくてはいけない」「月の中旬を過ぎたから、そろそろ来月の月案を書かなくちゃ」といった具合です。

タスク管理ができていないと、残業が発生しやすくなります。目の前の細かな雑務に時間を取られ、期限の近い仕事や重要な業務が後回しになってしまうためです。

限られた時間の中で仕事を終わらせるには、計画的な取り組みが欠かせません。

手帳やPCのToDoリスト・カレンダー機能を利用してタスクを可視化し、優先度の高いものから着手すると、スムーズに業務が進みます。

制作物は時間を決めて作る

壁面装飾や行事で使う衣装などの制作物は、時間を決めて作ることをおすすめします。

作り物は、こだわればいくらでも時間をかけられるキリのない作業です。時間を決めて取り組めば、折り合いを付けて作業を切り上げられます。

制作物を準備する手間を減らす

制作物はサービス残業してまで、無理に作るものではありません。

労働時間内に作れるように、意識して手間を減らす工夫をしてみてください。 

たとえば、以下のようなアイデアがあります。

手間を減らすアイデア
  • 子どもと一緒に衣装を作る
  • 衣装や小道具は保管し再利用する
  • ミシンや刺繍など細かい作業が必要ない衣装を考える
  • 1から作成せずネットや本で制作物の型をダウンロード・印刷する

手間を省いたからといって、子どもへの想いが薄れるわけではありません。残業が減って心にゆとりが生まれれば、目の前の子どもともっと丁寧に向き合えます

定時で帰ることへの罪悪感を手放す

「自分の仕事は終わったけど、ほかの人が残ってるから帰りづらい…」という理由で毎回残業している方は、自分の意識を変えるのがもっとも効果的です。

気を使って残業しても残業代は出ないうえに、疲労がたまるだけなので自分には何も得がありません

「自分の業務が終わったらすぐ帰る!」と自分でルールを決めましょう。

労働時間内で帰るのは、労働者に与えられた大事な権利です。

もし定時あがりをして不穏な空気が流れる職場であれば、労働環境がよくありません。転職も視野に入れたほうがよいでしょう。

園全体やクラスで話し合う

園全体やクラスでの話し合いをとおして、残業の削減に取り組む方法もあります。

具体的な対策例を以下の表にまとめました。

課題具体的な対策
日誌や指導案が勤務中に書けない・ローテーションして事務作業する時間を設ける
・ICTシステムを導入して手書きの手間をなくす
・書類のフォーマットを簡素化する
制作物を勤務中に作れない・保育を抜けて作業する時間を作る
・行事ごとの制作物の量を減らす
・既製品の使用や過去の作品を再利用する
ダラダラと残業してしまう・全体で残業に対する意識を変える
・「お先に失礼します」と帰りやすい雰囲気を作る

園全体で残業を減らそうとする意識が高まると、自然と働きやすい職場環境へと変わっていきます。

保育士の努力で残業が減らないときの対応策

ひらめきポーズをする保育士

残業を減らす工夫をしてもダメなとき、どうしたらいいの?

個人の努力で残業を減らすのが難しい場合は、外部機関に頼ったり、働き方や働く場所を変えたりする方法があります。

具体的な対応策は以下の3つです。

  1. 労働基準監督署に報告する
  2. 正社員ではなくパートとして働く
  3. 転職を検討する

順番に見ていきましょう。

労働基準監督署に報告する

サービス残業の強制や残業代未払いといった、悪質な実態がある場合は、労働基準監督署に報告して解決を図る方法もあります。

労働基準監督署は、労働基準法が守られているかを監督し、労働者の安全と健康を守るための行政機関です。

労働者から残業トラブルに関して相談を受けた場合、会社に立入調査をして、必要に応じて指導や改善命令をおこないます

報告は匿名でできますが「誰かが訴えた」と噂になり園の雰囲気がピリつく可能性もゼロではありません。

そのため、以降で紹介する働き方・働く場所を変える方法を選択したほうが、無難と言えます。

正社員ではなくパートとして働く

残業を減らすための手段として、正社員からパートに切り替える選択肢もあります。

パートは正社員ほど重い業務を任されず、制作物はできる範囲で任されるケースが多いです。

また、月案や個人記録といった書類作成からも解放されます。書類作成の一部をフォローをしますが、対応するのは労働時間内に書ける連絡帳や日誌に限られます

給料は下がってしまいますが、ゆとりのある働き方をメインに考えたい方は、パートへの切り替えを検討してみてください。

転職を検討する

今の職場で残業が改善される見込みがないなら、転職を検討しましょう。

保育園求人の中には「残業ほぼなし」「残業5時間以内」など、残業の少なさをアピールする求人も多くあります。

職場を変えるだけで、残業だらけの環境から定時上がりの環境に変えられます

転職は大きな決断が必要で、勇気のいる行動です。しかしその一歩が、あなたの理想の働き方を叶えるきっかけになります。

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残業が少ない保育園を選ぶときのポイント

ひらめきの表情を見せる保育士

残業が少ない保育園はどうやって選べばいいの?

残業が少ない保育園には特徴があります。その特徴を知っておくと、残業の少ない保育園かどうかをチェックできます。

主な選び方のポイントは以下の5つです。

  1. 行事が少ない保育園を選ぶ
  2. ICTを導入し業務効率化している保育園を選ぶ
  3. 人手に余裕のある保育園を選ぶ
  4. 勤務時間の管理が徹底されている保育園を選ぶ

園見学や面接での質問などをうまく利用して、情報収集しましょう。

働きやすい保育園の特徴を知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

行事が少ない保育園を選ぶ

行事が少ない保育なら、作り物や練習にかかる手間や時間を最小限にできるため残業が発生しにくいです

行事を開催するとなると、以下のような業務が発生します。

行事を開催すると発生する業務
  • 衣装・小道具作り
  • 本番に向けた練習・リハーサル
  • 計画案や共有資料など必要書類の作成

通常の業務も重なるため、行事間際はとくに残業が増える傾向にあります。

保育士や保護者の負担を考慮して行事を減らしている保育園や、日常の保育に重きを置いて行事をあえて実施しない保育園はたくさんあります。

行事の準備に追われたくない方は、行事の回数や規模をチェックしてみてください。

片野秋子

行事が最小限の保育園で働いたことがあります。子どもの普段の生活を大切にし、大掛かりな行事はありませんでした。

保育方針にも共感できたため、とても働きやすい職場でした。

ICTを導入し業務効率化している保育園を選ぶ

ICTシステムを導入すると、手書きだった書類の作成や記録が電子化され業務が効率化します。

電子入力できる作業
  • 午睡時間の記録
  • 連絡帳・書類作成
  • 登園・降園の管理
  • 給食・おやつの食事量チェック

ICTシステムを導入している保育園は「今より、働きやすい環境にしよう!」という想いがベースにあるので、労働環境も整っている傾向にあります。

人手に余裕のある保育園を選ぶ

保育士の配置基準に+αの職員を雇い、人手に余裕がある保育園も残業が発生しにくいです。理由は以下のとおりです。

人手に余裕がある保育園で残業が発生しにくい理由
  • 一人当たりの作業量が減る
  • 業務に追われて困ったときに助け合える
  • 保育を抜けて事務作業の時間を確保できる

人手に余裕があると業務を分散できるだけでなく、協力しあったり、保育以外の作業時間を確保したりと残業になりにくい体制を作りやすいです。

片野秋子

わたしは、人員に余裕のある保育園で働いていたことがあります。

クラスが落ち着いているタイミングで、保育士がローテーションで保育から離れ、事務作業や制作物の準備を別室で進められました。

勤務時間の管理が徹底されている保育園を選ぶ

残業が少ない保育園は、勤務時間の管理を徹底しています。管理方法は、タイムカードやICTを活用した勤怠管理システムなどがあります。

退勤時間になったら打刻しなくてはならないため、残業する場合は、上司への申告が必要です。

管理が徹底されていると、職員も定時上がりの意識が高まります。その結果、ダラダラと残業しなくなり、メリハリのある働き方ができます。

保育士間の連携がしっかり取れている保育園を選ぶ

保育士間の連携がしっかり取れている保育園も残業になりにくいです。

連携がしっかり取れる組織は、一体感をもって同じベクトルを向いて仕事をするため無駄な動きがありません。そこに「残業をなくそう」という共通認識が加われば、連携力はより高まり定時にあがるための行動を全員が取れるようになります。

みんなで協力して働きやすい環境を作っていきたい方は、園見学の際に報連相(報告・連絡・相談)や、お互いを配慮した声かけが活発な保育園をチェックしてみてください。

片野秋子

「できるだけ残業をしないようにしよう!」と、園全体で共通意識を持った職場で働いたことがあります。

定時上がりできるように、全員で声を掛け合いながら動いていました。
プライベートも充実して、とても働きやすかったです。

残業の少ない保育園に転職したい方は「しんぷる保育」にご相談ください!

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保育士の残業に関するよくある質問

最後に保育士の残業によくある質問と回答をまとめます。

保育士の残業代はいくらですか?

1週40時間、1日8時間」を超える時間外労働に対しては、25%以上の割増賃金を支払うことが法律で義務付けられています。

たとえば、1時間当たりの賃金が2,500円で、10時間残業した場合の計算式は以下のとおりです。

残業代の計算式

2500×(1.25×10)=31,250

残業代:31,250

自身の給料から1時間あたりの賃金・残業時間・割増率の数字がわかれば、計算できます。

残業代には細かいルールが定められています。詳しくは東京労働局から公開されている以下の資料をご確認ください。

参考:しっかりマスター労働基準法ー割増賃金編ー

休憩時間がない場合は残業に該当しますか?

そもそも、休憩時間がない職場は、労働基準法に違反しています。

フルタイムで8時間働く場合は少なくとも1時間の休憩、時短勤務で6時間以上働く場合は45分の休憩をとらなければなりません。

法律の話を抜きで考えると、休憩時間なく働いているのであれば、労働時間に該当するため残業扱いになります。

保育士の残業を減らして心身の負担が少ない環境で働こう!

ガッツポーズをする保育士

残業は体力を消耗し、無理して働き続けると健康面に不調をきたしやすいです。

また、残業代が支払われない労働は大きなストレスとなるため、心身面にも悪影響を及ぼします。

本記事で紹介した、残業を減らす工夫を明日から実践して、あなたが働きやすい環境を整えていきましょう。

色々試してみたけど、変化が期待できない…

という場合は、転職する選択肢もあります。

はじめから残業の少ない保育園に転職すれば、状況を変えるための負担もかかりません。

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