社会福祉法人で働くメリット・デメリットが知りたい
社会福祉法人と株式会社どちらの保育園で働くのがいい?
社会福祉法人の保育園とは、社会福祉法の規定に沿って設立された法人が運営する保育園です。主な運営費は国からの補助金でまかなわれるため、経営に安定性があり、福利厚生や各種手当なども充実している保育園が多い傾向にあります。
しかし、社会福祉法人は歴史ある運営主体なので、昔ながらの保育や仕事観のままの保育園も存在し、保育士が働きづらさを感じる場面もあります。
社会福祉法人の保育園で働くことを考えているなら、メリット・デメリットの両面を知ったうえで決断していきましょう。
本記事では、社会福祉法人の保育園で働くメリット・デメリットを解説します。株式会社の保育園との違いも説明しているので、どちらの保育園で働けばいいのか迷っている方は参考にしてみてください。
社会福祉法人が運営する保育園とは?
そもそも社会福祉法人とは「社会福祉事業をおこなうことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人」と定義されています。ここでいう社会福祉事業には、保育や介護など非営利を前提とした事業が含まれています。
社会福祉法人を設立する場合は、都道府県や指定都市など所轄庁の認可が必要です。つまり、社会福祉法人の保育園は、行政の許可を受けて運営している保育施設を指します。
参考:厚生労働省|社会福祉法人の概要
株式会社との違い
社会福祉法人と株式会社との違いを以下の表にまとめました。
社会福祉法人 | 株式会社 | |
事業目的 | 社会福祉事業を目的とする法人 | 商行為を目的とする社団 |
設立規制 | 都道府県、指定都市、厚生労働大臣を含む所轄庁の許可が必要 | 公証人(法務を専門とする法務大臣が任命した役職)による定款の認証が必要 |
資金調達 | 寄付金・補助金 | 株式・債券発行 |
税金(法人税、都道府県税、市町村税、事業税など) | 原則非課税 | 課税 |
株式会社とは、営利目的で事業を展開する団体のことです。社会福祉法人は原則として非営利目的での運営が義務付けられているため、これらが両者の大きな違いといえるでしょう。
なお、株式会社が運営する保育園の参入がはじまったのは、2000年からです。従来は保育所の設置主体は原則として市町村・社会福祉法人に限られていました。しかし、待機児童の解消を目的に2000年に規制緩和策として、保育所設置に係る主体制限が撤廃されたのです。
厚生労働省の委託でみずほ情報総研が実施した保育所の経営主体の構成比調査によると、社会福祉法人の割合は72.9%、株式会社の割合は8.9%という結果でした。運営数は社会福祉法人が圧倒的に多いです。
参考:厚生労働省|保育所設置に係る多様な主体の認可状況等について
社会福祉法人の保育園で働く3つのメリット
社会福祉法人の保育園で働くメリットってあるの?
社会福祉法人の特性から、社会福祉法人の保育園で働く主なメリットを3つ解説します。
順番に見ていきましょう。
1.歴史が長い保育園は運営の基盤が固まっている
先述のとおり、2000年に主体制限の撤廃がなされるまでは、原則として保育所の設置主体は市町村や社会福祉法人に限られていました。そのため、社会福祉法人は歴史が長く、運営基盤が固まっている保育園も多いです。
運営基盤が固まっている保育園は、保育士にとって以下のようなメリットがあります。
・職場環境が整っていて働きやすい
・ノウハウや経験が蓄積しており多くの学びが得られる
・地域住民との信頼関係が構築されており保育に協力的な環境がある
長く運営してきたからこその安定性と実績により、魅力的な条件が整いやすいです。
2.税金や補助金の優遇により経営が安定している
先ほどの比較表のとおり、社会福祉法人は税金や補助金において優遇措置を受けています。
非課税対象となる項目が多いので、経営的な負担が軽減されます。また、主な収入源は国からの補助金でまかなわれるため、経営が安定しやすい仕組みです。
このような経営の安定性という観点から、福利厚生や各種手当なども充実している保育園も多いです。
長期的に安定した働き方を望む方は、社会福祉法人の保育園への就職・転職を検討してみると良いでしょう。
社会福祉士法人は賞与が多めの保育園が多いです!営利目的ではないため、保育園の予算や資金があまった際に保育士に還元する保育園があるからです。
以下の記事では、保育士の賞与について詳しく解説しています。ボーナスアップの方法も紹介しているので、賞与を多くもらって年収を上げたい方は参考にしてみてください
3.ベテラン保育士が多く在籍している傾向にある
くりかえしですが、社会福祉法人の歴史は長いです。そのため、社会福祉法人の保育園には設立当初から勤務しているベテラン保育士が在籍しているところもあります。
実際に厚生労働省が実施した「幼稚園・保育所等の経営実態調査」で、社会福祉法人と営利法人(株式会社を含む)の施設長、保育士の平均勤続年数に以下のような差が生じているのがわかりました。
社会福祉法人 | 営利法人(株式会社含む) | |
施設長 | 25.3年 | 10.4年 |
保育士 | 10.4年 | 4.1年 |
経験豊富なベテラン保育士がいると、高い質の教育や指導が受けられる可能性が高いです。保育士としてスキルアップを目指したい方に、適している環境といえるでしょう。
私は歴史が長い法人で働いた経験がありますが、ベテラン保育士が多く在籍していました。保育経験が豊富な上司から指導してもらえて、スキルアップにつながりました。
社会福祉法人の保育園で働く2つのデメリット
反対に、社会福祉法人の保育園で働くデメリットってあるの?
ここでは、社会福祉法人の保育園で働く主なデメリットを2つ解説します。
就職や転職に後悔しないためにも、懸念点の部分もしっかり把握しておきましょう。
1.新しい取り組みに挑戦しにくい
長い歴史のなかで形成された保育理念や保育方針は伝統として根強く、新しい取り組みに挑戦しにくい傾向があります。
新たな方法を選べば、失敗や保護者からの反感といった問題が生じるリスクも生まれるため、現状維持を選択する保育園も少なくありません。
社会福祉法人では昔ながらの働き方が根付いていて「サービス残業が多い」「土曜日の振替がない」といった保育園もしばしば見受けられます。
以下の記事では、保育士の残業事情について解説しています。残業を減らす方法や残業の少ない保育園の特徴も紹介しているので、詳細が気になる方はあわせてご覧ください。
2.家族経営の保育園だと公私混同しやすい
地域に根ざし長きに渡って運営されている社会福祉法人の保育園は、家族経営の可能性があります。家族経営は、地域からの信頼や安定性といったメリットがあるものの、働く環境においては以下のような問題が生じる場合があります。
・家族のつながりや雰囲気に気を遣う
・公私混同して身内に対して対応が甘い
・昇進は親族が優先されやすくキャリアアップしにくい
これらの要因は、働くうえでのストレスや疲れにつながるでしょう。
家族経営の保育園で働いた経験がありますが、親族への対応の甘さは見受けられました。親族のミスが許される場面が多くルールが曖昧になりやすかったため、その点にストレスを感じていました。
以下の記事では、保育士の人間関係について詳しく解説しています。良好な人間関係を築くコツも紹介しているので、園長や上司との関係構築に難しさや疲れを感じている方は参考にしてみてください。
株式会社が運営する保育園で働くメリット・デメリット
株式会社が運営する保育園のメリット・デメリットも知りたい
以下で、株式会社が運営する保育園で働くメリット・デメリットを詳しく解説します。
株式会社が運営する保育園で働くメリット
・会社の業績をチェックできる
・キャリアアップを検討しやすい
・オープニング保育園で働ける機会が多い
株式会社は、投資家や債権者に決算内容の開示が義務付けられています。収入面を踏まえて就職・転職先を決めるうえで、会社の業績は大事な判断材料です。各企業の業績は、会社のホームページ内のIRページや決算報告などからチェックできます。
また、社会福祉法人と比べて経験年数の浅い保育士が多い株式会社の保育園は、キャリアアップを目指しやすい傾向にあります。実力が認められ信頼を得れば、20代、30代からでもクラスリーダーや主任に近いポストといった役職を任されるケースもあるでしょう。
さらに、2000年から新規参入が始まった株式会社は、新規立ち上げの保育園が多い傾向にあります。「1から保育の基盤を作りたい」「新しい施設や設備が整った保育園で働いてみたい」という方は、株式会社が募集している新設保育園の求人をチェックしてみると良いでしょう。
株式会社の保育園は会社として勤務管理を徹底する必要があるため、残業代が適正に支払われたり、土曜日の振替がしっかり取得できたりします。そのため、仕事とプライベートのメリハリをつけやすい保育園が多いです。
以下の記事では、新規保育園で働くメリット・デメリットを解説しています。オープニングスタッフとして活躍したいと考えている方は、参考にしてみてください。
株式会社が運営する保育園で働くデメリット
・利益を追求し業務負担が増えやすい
・園長や上司の保育経験が浅い傾向にある
・経営状況が収入に影響する場合もある
株式会社は、利益を出すことが求められます。その結果、配置基準ギリギリの人員を雇って人件費を抑える保育園も存在します。人員にゆとりがない環境は、保育士一人あたりの業務負担が増えたり、丁寧に子どもと向き合えなかったりとマイナスな影響を与えやすいです。
先述のとおり、株式会社が運営する保育園の園長は、社会福祉法人と比較して経験年数が浅い傾向にあります。経験が浅いと全体を指揮するスキルや知識が不足しがちで、指導内容に問題が生じる場合もあります。また保育の知識や実績が不十分であれば、保育園における保育の質が低下するリスクもあるでしょう。
さらに、株式会社の場合、運営母体の経営状況が収入に影響する場合もあります。業績不振の場合、賞与や昇給の減額につながる可能性もあります。
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社会福祉法人の保育園がもつ特徴やメリットを知ったうえで就職や転職を考えよう
社会福祉法人の保育園は歴史があり、収入や保育環境に安定性があるのが魅力です。ベテラン保育士から学べる機会も多く、スキルアップをしたい方にも社会福祉法人はおすすめです。
一方で、新しい取り組みへの柔軟性に欠ける面や家族経営の煩わしさを感じる場面に遭遇しやすいため、就職や転職する際はメリット・デメリットの両面を加味したうえで判断しましょう。
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