「保育士の仕事が辛すぎる!」
「辛いと感じたらどんな行動をとればいいの?」
このような不安に答える記事です。
人間関係の悩みや給料の低さ、残業や持ち帰り仕事の多さなど、保育士の仕事にはさまざまなストレス要因があります。自分にあわない環境や労働条件で働き続けると、不満や疲労が蓄積し「辛い」という感情が膨らむでしょう。
辛い状態を我慢すべきではありません。無理して働くと保育の質が下がり、子どもたちに悪影響を及ぼしかねないからです。また、我慢を重ねるとストレスがたまり、心の病気につながるリスクも高まります。
そこで本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 保育士が「辛い」「きつい」と感じる10の瞬間
- 保育士が辛くて辞めたいと思ったときの対処法5つ
- 辛い心境の保育士からよく寄せられる質問
この記事を読めば、辛さの根源を突き止めて自分の気持ちを整理できます。辛さを感じたときの対処法も紹介しているので、仕事で悩みを抱えている方は最後までご覧ください。
保育士が「辛い」「きつい」と感じる10の場面
保育士が「辛い」「きつい」と感じる瞬間は人それぞれですが、共通する悩みは多いです。
ここでは、保育士が「辛い」「きつい」と感じがちな代表的な10の場面を取り上げます。自分と重なる心情があれば、内容をチェックして自分の気持ちと向き合うきっかけにしてみてください。
人間関係にストレスを感じる
職場の人間関係にストレスを感じ、辛さを覚える保育士は多いです。
実際に、厚生労働省の調査で、保育士の退職理由のトップに「職場の人間関係」があげられています。
保育園は女性が多い職場であり、女性特有のトラブルが起こりやすい環境です。
- 感情的な対立が生じやすい
- 陰口や噂話が広まりやすい
- 派閥やグループができやすい
思いがけないところでトラブルに巻き込まれ、疲弊してしまう方もいるでしょう。
また、クラス運営をする保育園では保育士のチームワークが不可欠です。しかし、性格や考え方があわない人と同じクラスになれば、連携をとるなかでストレスを感じやすいでしょう。
わたしは、人間関係に悩んで転職をした経験があります。先輩保育士に毎日のように怒られ、気持ちが押しつぶされそうでした。
給料が低くモチベーションがあがらない
給料の低さに、辛い感情が芽生える方もいます。
以下は、政府の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータをもとに作成した、保育士と全職種の平均年収・月収・手取り額を示した表です。
保育士の平均給与は全職種の水準を下回っており、保育士の平均年収は全職種の平均より60万円ほど低いです。
処遇改善が進み保育士の給与は上昇傾向にありますが、仕事量や子どもの命を預かる責任の重さを考えるとまだまだ改善の余地があるでしょう。
「給料と仕事内容が見合っていない…」と感じれば、労働意欲が低下して辛い感情がより引き立ちやすくなります。
仕事量が多い
保育士は、子どもの保育以外にも多くの業務を抱えています。
- 書類作成
- 担当係の仕事
- 行事の準備
- 制作物の仕上げ
- 室内の清掃・整理整頓 など
大半の時間は、子どもの保育にあてられます。その結果、ほかの業務が後回しになり残業をせざるを得ない状態になる保育士も少なくありません。
タスクがたまると「あれもこれもやらなきゃ…」という切羽詰まった状況に陥り、精神的負担がかかりやすくなります。辛い感情もより芽生えやすくなるでしょう。
残業や持ち帰り仕事が常態化している
残業や持ち帰り仕事が常態化し、辛さを感じる保育士もいます。
長時間労働は、肉体的にも精神的にも疲労がどんどん蓄積していきます。疲れが取れないまま働くことになるので、辛さを感じやすくなるでしょう。
また、残業代が支払われずただ働きしている方も少なくありません。自分の大切な時間を削って働いているのに無報酬では、不満やストレスが溜まって当然です。
わたしは以前、残業が多い保育園で働いていました。夜10時頃まで職場で仕事をする日もあり「保育士を辞めたい…」と何度も思いました。
保育観があわない
保育園または職員と保育観があわない状況も、辛さを生む要因の一つです。
まず、保育観の相違は、意見の衝突が起こりやすくなります。意見のすり合わせの過程で、相手との関係性が悪化するケースも珍しくありません。
また、新人や後輩の立場である保育士は、たとえ賛同できない保育観であっても、保育園の考え方や先輩が指示する保育にあわせる場面が多いでしょう。従わざるを得ない状況では、自分の気持ちに反する行動なのでストレスを伴います。
上司や先輩に毎日怒られる
「上司や先輩に毎日のように怒られている…」という状況の方も、辛さを感じやすいでしょう。
指導者のなかには、感情的に怒鳴ったり、威圧的な態度で接したりする方もいます。そのような対応を受けると、気持ちが萎縮し、精神的に辛くなります。
また、必要以上に怒られると、自信も徐々に失っていきます。「自分には保育士が向いていないのかも…」と思い詰め、心が疲弊し辛くなっていくでしょう。
保護者対応に苦労する
保護者対応がうまくいかず思い悩む保育士も少なくありません。
保護者にはさまざまな性格の方がいます。特に以下のようなタイプの方への対応は難しさを感じるでしょう。
- クレームや要望が多い
- 子育てを園任せにする傾向がある
- 園の助言や提案をなかなか受け入れてくれない
一人ひとりの保護者にあわせて対応していくには、大きな労力が必要です。保護者との信頼関係を築くことの難しさから、辛さを感じる保育士も多いでしょう。
保育士が向いていないと感じる
「自分は保育士が向いていないかも…」と感じて、辛い気持ちになる方もいます。
- 子どもの成長や発達を喜べなくなったとき
- 子どもの問題行動に適切に対処できないとき
- 保育の仕事にやりがいを見出せなくなったとき
- 子どもとの信頼関係の構築が難しいと感じたとき
- 職員との良好な関係が築けず孤立感を覚えたとき
- 保護者とのコミュニケーションが苦手だと自覚したとき
- 保育の仕事に必要な体力や気力が持続しないと悟ったとき
保育士が向いていないと感じているときは、他者と比較して自分のできなさを探したり、自分を責めたりしがちです。その結果、ネガティブな考えばかりが浮かぶようになり、気持ちが辛くなっていくでしょう。
わたしは、新人の頃によく「自分は保育士に向いていないかも…」と思っていました。子どもとうまく信頼関係が築けず、接し方に悩む毎日を送っていたからです。
人手不足で業務の負担が大きい
全国的に保育士不足が深刻化しており、必要な人員を揃えられない園が多数存在します。人手が足りない環境では、以下のような問題が生じます。
- 一人当たりの仕事量が増える
- 一人の保育士が受け持つ子どもの数が多くなる
業務の負担が増えると、休憩時間を削って仕事をしたり、残業が日常化したりと、労働環境の悪化を招きます。
肉体的にも精神的にも負荷がかかるので、辛い感情が芽生えやすくなるでしょう。
子どもの命を守る責任の重さに耐えられない
子どもの命を預かる責任の重さに耐えられず、辛さを感じる保育士もいます。
ほんの少しの不注意や油断が、子どもの命に直結するような事故につながります。「万が一、大きな事故を起こしてしまったら…」そんな不安を抱えながら仕事をしている方も多いでしょう。
そのような過度なプレッシャーは、心の体力をすり減らします。
保育士が辛くて辞めたいと思ったときの対処法5つ
では、ここからは保育士が「辛い」と感じたときの対処法を5つ解説していきます。
- ストレス発散を意識的におこなう
- 上司や同僚に悩みを打ち明ける
- 労働環境の改善を提案する
- 自分の長所や強みを再確認する
- メンタルヘルスの専門家に相談する
ストレス発散を意識的におこなう
ストレスを発散するだけでも、辛さが和らぐケースがあります。心の疲労感が処理されて気持ちにゆとりができるからです。
代表的なストレス発散法を以下にまとめました。
ストレス発散法 | 効果 |
---|---|
ランニング・筋トレなどの運動をする | ・気持ちを安定させる ・ストレス耐性を高める ・睡眠の質を高め疲れを取りやすくする |
ヨガ・瞑想などのマインドフルネスを実践する | ・緊張を和らげ身体のストレスを解放する ・ストレスの原因となる雑念から離れられる |
趣味に没頭るす時間を作る | ・楽しさや喜びなどのポジティブな感情体験によってストレスが和らぐ ・日常のストレスから一時的に離れリフレッシュできる |
ストレス発散は、今日からできる対処法の一つです。
日頃のメンタルケアができていない方は、自分にあったストレス発散法をみつけて取り組んでみてください。
上司や同僚に悩みを打ち明ける
辛い気持ちを一人で抱え込んでいる方は、上司や同僚に悩みを打ち明けましょう。
上司は豊富な経験と知識をもっており、的確なアドバイスをくれる頼もしい存在です。一人では解決できなかった悩みも、上司の助言で解消するかもしれません。
親しい同僚なら、悩みに共感し、理解を示してくれるはずです。ただ気持ちを共感してもらえるだけでも、心がグッと軽くなるでしょう。また、同僚からのアドバイスにより、辛い原因となっている問題の改善案が見つかるかもしれません。
辛いときは自分一人で抱え込まず、うまく周囲の人を頼りながらストレスを軽減させましょう。
ただし、相談する相手は、信頼できる人のみにしましょう。相手選びを誤ると、説教をされたり、話を広められたりと逆効果になる恐れがあります。
労働環境の改善を提案する
上司に相談して、辛さのもととなっている労働環境を改善していく方法もあります。
うまく話が進めば、働きやすい職場に変わる可能性があります。
たとえば、人手不足の問題を提示すれば、職員配置の見直しや人員増化に向けて動いてくれるかもしれません。また、残業や持ち帰り仕事の削減を提案すれば、業務改善やシフト調整などの対策に踏み出す場合もあるでしょう。
対応してもらえないケースもありますが、話を切り出すことで辛さの環境を変えるチャンスが生まれるでしょう。
提案する際は、伝え方も大切です。
現場の課題を書面にまとめたり、自分なりの改善案を考えたりしておくと、話を聞き入れてもらいやすいでしょう。
自分の長所や強みを再確認する
自分の長所や強みを再確認することで、辛さが和らぐケースもあります。自分のよさを再認識すれば、自信がついて心にゆとりが生まれるからです。
他者と自分を比べて落ち込んでいる方や、上司や先輩保育士からの厳しい指導により自信を失いかけている方はとくに、この方法が効果的です。
自分の長所や強みを深掘る方法を、以下にまとめました。
長所・強みの深掘り方法 | 具体的なやり方 |
---|---|
自己分析をおこなう | 自分の性格、価値観、スキル、経験などを振り返って、自分のことを深く理解する |
他者からフィードバックをもらう | 家族、友人、同僚など、周囲の人に自分の長所や強みを聞いて自分の強みを客観的に捉える |
心理テストを活用する | 強み診断やパーソナリティテストなどで自分の特性を客観的に把握する |
自分のよさを再認識すれば自己肯定感が高まり、仕事のストレスも軽減されるでしょう。
メンタルヘルスの専門家に相談する
辛さの原因が、心の病気である可能性もあります。たとえば、うつ病や適応障害などです。
ストレスが原因で、強い落ち込みや意欲の低下などの精神的な症状のほか、眠れない、食欲がない、体がだるいなどの身体的な症状がみられる精神疾患
自分の置かれた環境に適応できず、不安感や抑うつ気分、不眠などの症状がみられる精神疾患
心の病気を発症した場合は、メンタルヘルスの専門家に相談するのが先決です。治療が遅れれば、回復に時間がかかったり、ほかの精神疾患を併発したりするリスクも高まるからです。
厚生労働省の公式ホームページにうつ病の特徴やチェックリストが掲載されています。詳細が気になる方はチェックしてみてください。
保育士の辛さがなかなか解決しない場合は転職するのもあり!
辛さを対処する方法のひとつに、転職があります。
今の職場でできる対処法を試す姿勢も大切です。しかし、思うように状況を変えられない可能性もあるでしょう。
そのような状況であれば、自分が働きやすい職場に転職したほうが負担が少ないかもしれません。
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辛い心境の保育士からよく寄せられる質問
最後に、保育士の辛さに関してよく寄せられる質問をいくつか紹介します。気になる質問があれば、ぜひ回答を確認してみてください。
HSP傾向がある人は保育士に向いていませんか?
そもそもHSPは、Highly Sensitive Personの頭文字をとった言葉で「繊細で刺激に敏感な気質をもった人」のことを指します。
そのため、HSP気質のある保育士は、以下のような悩みを抱えやすいです。
- 保護者や職員の言動を気にして落ち込む
- 子どもの怪我や事故に人一倍敏感になり疲弊する
- 子どもの泣き声や叫び声などの大きな音にストレスを感じる
疲れやストレスを強く感じるなら、保育士はあなたにとって刺激が強い職種といえるかもしれません。ただし、自分の特性をよく理解して、刺激を避けたり、ストレス対処法を身につけたりすれば、保育士を無理なく続けられるでしょう。
HSPには、魅力的な特性も多いです。
- 感受性が豊か
- 共感力がある
- 直感力がある
これらの特性を活かせば、子どもの気持ちや世界に寄り添い、丁寧で温かみのある保育ができます。
HSPの弱点をカバーしつつ、HSPならではの強みを発揮できれば、自分らしく働けるでしょう。
保育学生ですが「保育士はなるもんじゃない仕事」って本当ですか?
一部にはそのように発言されている方もいます。保育士の給与の低さや仕事量の多さに不満をもつ方が、保育現場の現状を伝えるために発言しているのでしょう。
反対に、やりがいをもって働いている保育士もたくさんいます。
- 子どもの成長を間近で見られる
- 子どもの笑顔や喜ぶ姿を見れる
- 子どもの個性や可能性を引き出せる
- 子どもの純粋さや無邪気さに心が癒される
- 保護者から子育ての相談を受け支援できる
- 保育士という仕事を通して社会に貢献できる
- 同僚と協力して保育を作りあげる喜びを味わえる
その方々に話を聞くと「保育士って本当に楽しい!」「ずっと保育士を続けたい!」といったポジティブな言葉が返ってくるはずです。
大事なのは、一方向の発言や情報だけを鵜呑みにしない姿勢です。マイナスの声だけを信じると、保育士の魅力を見逃してしまう恐れがあるからです。
正しくジャッチしていくには、両面の情報を幅広く集めていきましょう。
保育士が仕事を辛い・辞めたいと思ったら原因を探ってできる対処から始めよう!
辛い気持ちを我慢し続けると、保育士という仕事そのものが嫌になってしまうほか、心の健康を害してしまう可能性が高まります。
自分の心の健康を守り、子どもたちのためにより良い保育を提供していくためには、辛い気持ちの根源を探り、適切に対処していく姿勢が大切です。
「状況を変える努力を試してみたけど、これ以上無理かも…」と感じた場合は、転職するのも一つの手です。
弊社「しんぷる保育」にご相談いただければ、あなたの希望条件を満たす求人を厳選してご紹介いたします。「転職時期はまだ未定だけど、現職の相談に乗ってほしい…」といった気軽な相談も歓迎です。
サービスはすべて無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。