保育士に福利厚生は重要？種類の一覧や給料アップの仕組みを解説

このような疑問をもつ方もいるのではないでしょうか？

福利厚生は、職場選びの判断基準に欠かせない要素です。

福利厚生は各種手当の支給により、実質的な収入が底上げされる効果があるほか、休暇制度や研修支援制度によって働きやすい環境が整うからです。

本記事では、保育士の福利厚生の種類や内容を詳しく解説します。保育士が福利厚生を重視すべき理由も紹介しているので、就職・転職を考えている方は参考にしてみてください。

【基礎知識】保育士の福利厚生とは？

福利厚生とは、給与や賞与といった労働対価以外に、企業側が従業員に提供する制度やサービスです。

福利厚生は以下の2つに分類されます。

• 法定福利厚生
• 法定外福利厚生

それぞれの特徴を見ていきましょう。

法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律で定められている企業側が提供すべき福利厚生です。

法定福利厚生の種類を以下の表にまとめました。

種類	内容
雇用保険	労働者が失業した際や育児休業中に給付金を受け取れる制度です。 保険料は保育園と労働者で半分ずつ支払う「労使折半」となっており、保育士の負担分は給与から差し引かれます。
健康保険	労働者が病気やけがで治療を受けるときに、治療費の自己負担を軽減する制度です。 健康保険も労使折半の形で、保育士の負担分が給与から差し引かれます。
厚生年金保険	将来、年金を受け取るための制度です。 こちらも労使折半の形で、保育士の負担分が給与から差し引かれます。
労災保険	勤務中や通勤中の事故によるけがや病気の場合、治療費や休業中の賃金が支払われる制度です。 保険料は園が全額負担します。
介護保険	40歳以上の方が加入対象となっており、条件を満たすと介護サービス費用を保障してもらえる制度です。 保険料は労使折半で、保育士の負担分は給料から差し引かれます。

法定福利厚生は、すべての労働者が健康で安心して働ける環境を整えるものといえます。

各種保険料の負担は、保育園側が半分または全額を負担するため、労働者の経済的負担を軽減できます。

法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、企業側が独自に提供する福利厚生です。

法定福利厚生は保険制度の適用が中心でしたが、法定外福利厚生は以下のように幅広い種類があります。

福利厚生の種類や内容は、各園が自由に設定できます。

そのため、福利厚生が充実している保育園を選べば、多くの恩恵を受けられるでしょう。

保育士が知っておくべき福利厚生の種類【一覧】

保育士に関連の深い代表的な福利厚生を8つ紹介します。

1. 手当各種
2. 給食費
3. 休暇各種
4. 研修支援制度
5. 医療費負担
6. 祝い金・見舞金各種
7. 退職金制度
8. 母体会社・提携会社のサービス特別利用

1つずつ内容を見ていきましょう。

手当各種

福利厚生で支給される手当には、さまざまな種類があります。

福利厚生でよく見られる手当を以下の表にまとめました。

手当	内容
住宅手当	家賃の一部を補助する制度です。 社員寮や社宅を提供する場合もあり、低コストで住居を確保できます。 家賃補助制度は、住宅手当のほかに国の保育士借り上げ社宅制度もあります。
資格手当	保育士や幼稚園教諭の資格をもつ方に支給される手当です。 そのほか、リトミック講師や子育て支援員といった保育と関連のある資格に対して手当を支給する保育園もあります。
役職手当	主任や園長など責任ある役職に就いた際に支給される手当です。 保育士のキャリアアップ研修を修了して役職が発令されれば、副主任、専門リーダー、職務分野別リーダーにも手当が支給されます。
通勤手当	通勤にかかる交通費を一部または全額補助する制度です。 ガソリン代や駐車場代が含まれる場合もあり、通勤にかかる経済的な負担が軽減されます。
特殊業務手当	運動会や発表会といった行事・イベントの準備にかかる時間や労力の対価として支給される手当です。
被服手当	エプロンやジャージといった被服の購入費用を補助する制度です。 購入費用を負担する形ではなく、貸し出すケースもあります。

手当は一般的に基本給に上乗せされ、実質的な収入アップにつながります。

とくに住宅手当や通勤手当は支給額が数万円になるケースもあるため、手当の有無で大きな差が生じるでしょう。

以下の記事では、保育士の手当を一覧で紹介しています。対象者や支給額の相場も解説しているので、手当についての理解を深めたい方は参考にしてみてください。

給食費補助

福利厚生における給食費補助は、給食費の一部を園が負担します。

たとえば、本来500円かかる給食費を保育園側が半額負担する場合、保育士は一食あたり250円で給食を食べられます。

コンビニで食事を買ったり、外でランチをしたりするケースと比較すれば非常に経済的です。

なかには、給食費を全額負担する保育園もあります。

食費の節約だけでなく、栄養士と調理師が作った栄養バランスのとれた食事ができる点も魅力です。

休暇各種

保育士のプライベート時間を確保するため、福利厚生で休暇制度を導入している職場も多くあります。

主な休暇制度は以下のとおりです。

休暇の種類	内容
リフレッシュ休暇	心身をリセットする目的で取得できる休暇です。 一定年数勤務した保育士が対象となるケースが多いです。
バースデー休暇	保育士の誕生日に取得できる休暇です。 誕生日当日以外にも前後1週間や誕生日月内で取得できる場合もあります。
夏季休暇	夏の時期に2〜3日取得できます。 土日祝と組み合わせれば、長期の夏休みが取得可能になります。

休暇制度が整っている職場では、プライベートの時間を確保しやすく、ワークライフバランスの実現につながります。

研修支援制度

福利厚生の研修支援制度は、保育士のスキルアップ・キャリアアップに必要な研修をサポートする制度です。

研修費用の全額または一部を補助したり、勤務時間内での研修を受けられる環境を整えたりします。

このような制度により、保育士は経済的負担を軽減しながら、計画的なスキルアップを実現できます。

医療費負担

福利厚生として、以下の医療費の一部または全額を負担する保育園があります。

これにより、保育士の健康管理や感染症の予防を支援します。

祝い金・見舞金各種

福利厚生における祝い金・見舞金とは、ライフイベントや予期せぬ事態が発生した際に支給される金銭的支援です。

以下は、祝い金・見舞金の主な種類です。

人生の節目や困難な状況に応じて、支援金が支給されます。

退職金制度

「退職金はすべての労働者の権利ではないの？」と疑問をもつ方も多いようですが、退職金支給は企業の任意であり、民間企業においては法定外福利厚生の位置付けです。

支給条件も園によって異なります。たとえば以下のような条件があります。

退職金は単なる金銭的補償だけではなく、労働者の尊厳と貢献を尊重する制度としても機能しています。

母体会社・提携会社のサービス特別利用割引

保育園によっては、母体会社や提携企業のサービスを従業員向けに割引価格で提供しています。

以下は、代表的なサービス例です。

特典のサービスを利用すれば、プライベートを充実させられます。

保育士の福利厚生を条件別にチェック

ここでは以下3つの条件別に福利厚生の特徴を解説します。

• 幼稚園の場合
• 公務員の場合
• パートの場合

順番に見ていきましょう。

幼稚園の場合

保育士資格をもちながら幼稚園で働きたい場合や、保育教諭として幼稚園型の認定こども園で働きたい場合は幼稚園の福利厚生が気になるでしょう。

結論、幼稚園の代表的な福利厚生の種類は、保育園とほぼ変わりません。

幼稚園の場合も保育園同様、導入している福利厚生や利用条件が施設ごとに異なります。

公務員の場合

公務員の福利厚生は、民間企業より充実している傾向にあります。

公務員の場合は、以下のように公務員特有の福利厚生も存在します。

福利厚生の種類	内容
共済組合への加入	公的な医療保険制度です。 民間の健康保険と比べ保険料が低額の傾向にあります。
職員宿舎	公務員専用の住宅施設です。 一般の賃貸物件より安価な家賃で利用できます。
退職金制度	国家公務員は「国家公務員退職手当法」、地方公務員は「地方公務員法」に基づき退職金が支給されます。

これらの福利厚生は、公務員の労働環境と生活の質を支援する役割を担っているのです。

参考：全国健康保険協会 鳥取支部｜【協会けんぽ・健保組合・共済組合等の比較】
総務省｜「独立行政法人の職員宿舎の見直しに関する実施計画」の実施状況について
人事院｜退職手当制度の概要
総務省｜地方公務員の退職手当制度について

パートの場合

パート保育士も一定の条件を満たせば福利厚生を利用できます。

ただし、以下のような要件が設定されている福利厚生も少なくありません。

パートは勤務時間が短く、条件を満たせないケースも多いため、福利厚生の適用条件を事前に確認しておきましょう。

保育士が福利厚生を重要視すべき4つの理由｜給与や働きやすさに直結

保育士が職場選びにおいて、福利厚生を重要視すべき理由は主に4つあります。

1. 給与の底上げにつながる
2. 出費をおさえられる
3. 働きやすさが手に入る
4. モチベーションがアップする

福利厚生の利点を知って、職場選びをする際の判断基準に役立ててみてください。

1.給与の底上げにつながる

福利厚生の手当は一般的に基本給に上乗せされるため、給与の底上げにつながります。

たとえば、住宅手当で3万円の補助がある場合は年間36万円、通勤手当で月1万5000円支給される場合は年間18万円分が給与に上乗せされます。

このように、福利厚生は実質的な収入アップに直結しているのです。

保育士の給与を重視する方は、基本給だけでなく福利厚生にも注目しましょう。

2.出費をおさえられる

福利厚生は、日常的な出費をおさえる効果もあります。

たとえば、給食費で1食500円の半額（250円）が免除されると、月20日の利用で5000円分の出費を削減できます。

また、研修支援制度で研修費を負担してもらえれば、お金は出ていきません。

福利厚生は、従業員の経済的負担を軽減し、生活の質を向上させる支援策ともいえるでしょう。

3.働きやすさが手に入る

福利厚生が充実している職場では、働きやすい環境が手に入りやすいです。

たとえば、リフレッシュ休暇や夏季休暇がある職場では、法定の休暇以外にも休みが増えるため、プライベートの時間を確保しやすくなります。

また、研修支援制度があり、勤務時間内に研修を受けさせてもらえる保育園では休日を返上しなくて済みます。

福利厚生は従業員が安心して働ける環境づくりに不可欠な要素でもあるのです。

4.モチベーションがアップする

福利厚生は労働に対するモチベーションアップにつながるケースもあります。

たとえば、福利厚生で健康診断や予防接種の費用を補助している職場では、職員の健康を気遣っている姿勢が伝わり、安心感をもって働けます。

また、母体会社や提携会社のサービスを利用できる制度がある場合、宿泊施設やレジャー施設の割引を受けられるため、休暇を楽しむ機会が増えるでしょう。

こうした制度は、仕事以外の時間を充実させるきっかけとなり、仕事へのやる気にも良い影響を与えます。

また、働くなかで他園の福利厚生と比較する機会もあるでしょう。

自分が働いている保育園の福利厚生が手厚いとわかれば、より一層やりがいを感じられるはずです。

保育士の福利厚生に関する3つの注意点

このような考えをもっている方に向けて、福利厚生に関する注意点を3つ紹介します。

• 書類や面接では福利厚生の話をしすぎない
• 負担になる福利厚生もある事実を知っておく
• 福利厚生以外の良さにも目を向ける

職場選びの質に関わってくる部分でもあるので、覚えておきましょう。

1.書類や面接では福利厚生の話をしすぎない

書類や面接では福利厚生の話をしすぎないのが望ましいです。

福利厚生の話題ばかりだと「働く条件しかみていないのではないか？」「もし途中で条件に不満が出たらすぐ辞めてしまうのではないか？」と懸念されてしまうからです。

面接では職務への熱意や成長への意欲を中心に据え、福利厚生は副次的な話題として扱えばバランスのとれた印象を面接官に与えられます。

2.負担になる福利厚生もある事実を知っておく

福利厚生には、以下のような企業の独自性のある種類もあります。

仕事とプライベートを分けたい方にとって、負担に感じる福利厚生となるでしょう。

強制ではないものの、雰囲気で加入せざるを得ない状況に追い込まれるケースもあります。

3.福利厚生以外の良さにも目を向ける

働きやすさや待遇の良さを決めるのは、福利厚生の充実度だけではありません。

以下のような特徴をもつ職場は、魅力的な環境といえます。

勤務先を検討する際は、福利厚生だけでなく、職場環境の質を総合的に評価するのが望ましいでしょう。

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保育士は福利厚生が充実した職場を探す視点を大切にしよう

福利厚生は収入アップや働きやすさの実現をサポートする制度です。

福利厚生が充実しているかどうかで、働く環境は大きく変わるでしょう。

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