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保育園の延長保育はどんなもの?保育内容や担当する際の心構えを解説

共働き世帯が増え、保育園の延長保育は重要なサービスの一つとなっています。しかし、延長保育がどのような内容で行われているのか、保育士としてどのような心構えで子どもたちと接すればよいのか、具体的に知っている方は少ないのではないでしょうか。

延長保育は、通常の保育時間を超えて子どもたちを預かる時間帯を指し、その内容や取り組みは保育園によって異なります。本記事では、延長保育の実際の内容や、保育士として担当する際の心構えについて詳しく解説します。

延長保育とは

延長保育とは、保育認定を受けた子どもを、通常の利用日及び利用時間以外に、引き続き延長して保育を行うことです。延長保育のニーズは高まり、利用する子どもも増えています。とはいえ、延長保育について分からないことも多いのではないでしょうか。ここからは、延長保育について詳しく解説していきます。

延長保育の仕組み

延長保育は通常時間以外に延長して保育をすることです。延長保育へのニーズは年々高まっており、延長保育を実施している施設も増えています。とはいえ、延長保育は誰でもすぐに利用できるわけではありません。

延長保育を利用するには、事前に保育園に申し込みを行う必要があります。多くの保育園では、月初めや前月に延長保育の利用予定を申告するシステムを採用しています。保育士の配置や食事の準備など、必要な対応を計画的に行うためです。急な残業や予期せぬ用事で当日延長保育を利用する場合、可能な限り早めに保育園に連絡を入れることが求められます。

申し込みの際には、延長保育利用の対象かどうかが判断されます。申し込みをしたからといって必ず利用できるわけではありません。申し込みには就労証明書などの提出が求められる場合があります。利用基準に照らし合わせて利用可能かどうか決定されます。

延長保育の時間帯

延長保育が行われる時間帯は、開園前の早朝の時間帯と閉園後の夕方から夜の時間帯です。延長保育の対象となる時間は、保育認定によって変わります。保育認定には、1日の最大利用時間が11時間の「保育標準時間」と8時間の「保育短時間」の保育時間区分があります。それぞれの利用時間を超えた分が延長保育です。

延長保育となる時間帯は、保育園の開園時間や保育時間区分によって異なります。例えば、7:00から20:00が開園時間の保育園について解説します。

  • 保育標準時間認定の場合
    保育標準時間が7:30から18:30と設定されていれば、7:00から20:00まで預けると、7:00~7:30までと、18:30~20:00までが延長保育となります。
  • 保育短時間認定の場合
    保育短時間が8:00から16:00と設定されていれば、7:00から20:00まで預けると、7:00~7:30までと、16:00~20:00までが延長保育となります。

延長保育の料金

延長保育の料金は、保育料無償化の対象外で保護者負担です。料金は明確な規定がなく統一されていません。保育園や地域によっても異なります。月極めのところもあれば、かかった分だけ料金が発生するところもあります。

月額の場合は2,000~4,000円程度、日額の場合は300~600円程度が多いようです。30分100円としている保育園もあり、料金についてはそれぞれですが、月の上限は4,000円程度のようです。また、利用料金の他におやつ代や教材代などがかかる場合もあります。

延長保育の対象者

延長保育は誰でも利用できるわけではありません。延長保育の主な対象者は、共働きをしている家庭や、一人親で働いている家庭です。通常保育時間内での保育では足りない場合は、延長保育を利用できます。また、病気や怪我などで通常の保育時間内に子どもを迎えに行けない場合も、延長保育の対象です。

一方で、単にプライベートの予定や趣味の時間を確保するための延長保育の利用は、原則として認められていません。各保育園や自治体によって、延長保育の対象者や利用基準は異なるため、施設の規定やガイドラインの確認が必要です。

延長保育を利用する理由

引用:厚生労働省 保育を取り巻く状況について

厚生労働省の調査から、延長保育を実施している施設、利用している子どもの数は増えている傾向にあることが分かります。延長保育のニーズの増加には、家族形態の変化や働き方の変化が理由としてあげられるでしょう。

現代では、経済的な理由やキャリア継続の意向から共働き家庭が増えています。また、近くに祖父母が住んでいる家庭は多くはありません。その結果、通常の保育時間内では足りなくなり、延長保育の利用が必要となります。

これらの社会的な背景を踏まえると、延長保育は単なるサービスではなく、現代の家庭生活を支える重要な役割を果たしているといえるでしょう。

延長保育と一時保育の違いは

一時保育という言葉を聞いたことのある人もいるでしょう。延長保育と一時保育はどのような違いがあるのでしょうか。ここからは延長保育と一時保育の違いについて解説していきます。

実施している施設の違い

厚生労働省の令和元年のデータでは、延長保育を実施している施設はおよそ30,000か所、一時保育を実施している施設はおよそ17,000か所です。延長保育は幼稚園や認定保育園などで実施されています。一方で、一時保育は幼稚園や認定保育園以外の地域子育て支援施設などでも実施されています。また、両方を行っている施設もあります。

参考:厚生労働省 保育を取り巻く状況について

対象者の違い

延長保育の対象者は、普段から保育園などを利用している子どもです。保護者が保育時間内で迎えが難しい場合など長時間の保育が必要となる家庭を対象にしています。一方で、一時保育の対象者は、保育園等に入園していない小学校就学前までの子どもです。急な事情で保育が必要になった家庭を対象にしています。

利用条件の違い

延長保育を利用する場合は、保護者の就労や病気、介護等で通常保育時間では子どもの保育が困難なときです。理由によって書類の用意や手続きが異なります。一方で、一時保育の利用には3つの区分があります。

  • 非定型
    保護者が勤務等により週1~3日程度子どもを家庭で保育できないとき
  • 緊急
    保護者の病気や怪我、冠婚葬祭や学校行事などで緊急かつ一時的に家庭で保育できないとき
  • リフレッシュ
    保護者の育児に伴う心理的、肉体的負担を解消するために保育を必要とするとき

一時保育はいずれも一時的な理由で利用できます。

利用方法の違い

延長保育を利用する際には、所属している保育園に必要書類を提出します。利用する前の月に提出するのが一般的です。就労証明書などの書類が必要なので、利用を考えている場合は余裕をもって申し込みましょう。

一方で、一時保育を利用する際には、利用する度に申し込みが必要です。まず使用したい施設に登録します。面談が必要な施設もあり、申込書の他に身分証明書や子どもの保険証などを提出するなど、施設によって申し込み方法は異なります。同じ施設を利用する場合は、一度登録しておけばその後の利用はスムーズにできます。

延長保育の内容とは

通常保育と延長保育では、スケジュールや保育内容に違いがあります。延長保育はどのように行っているのでしょうか。延長保育の例を紹介します。

早朝の延長保育のスケジュール例

早朝に延長保育を利用する場合は、通常の登園時間より前が延長保育時間となります。

  • 7:00~早朝保育
    多くの園では、早朝保育の子どもたちを一つの部屋に集めて保育を行います。異年齢の子ども同士で過ごす時間です。
  • 8:00~登園時間
    早朝保育を利用していない子どもたちが登園すると、通常の教室へ移動し、クラスの子ども同士で過ごす時間になります。

夕方の延長保育のスケジュール例

夕方の延長保育を利用する場合は、通常の降園時間より後が延長保育時間となります。

  • 16:00~延長保育
    延長保育を利用する人数によって、過ごし方は変わります。年少以上と未満児とに分けて保育をしている園が多いようです。
  • 18:00~延長保育(おやつや軽食)
    延長保育を利用する子どもが少なくなると、一つの部屋に集めて保育を行う園が多いです。園によっては18:00になるとおやつや軽食を用意するところもあります。

延長保育の内容

延長保育では、子どもたちの疲れや一日の経過を考慮しながら、適切な保育を行うことが求められます。通常のクラスとは異なり、年齢ごとに合同で活動することが多いです。

延長保育の主な内容としては、自由遊びが中心です。子どもたちが一日の疲れを癒し、リラックスできる時間を提供しましょう。ブロックや絵本、手遊びなど、子どもたちが自分で選んで取り組める遊びが中心となります。中には、英語や体操、ダンスなどの習い事の時間を設けているところもあります。

また、夕方になると、おやつや軽食の提供が行われるところも多いです。延長保育で子どもたちが安心して過ごすには、保育士のサポートが不可欠です。そのため、内容も子どもたちの状態やニーズを第一に考え、柔軟に対応しましょう。

延長保育を実施する保育園の勤務体制

延長保育と通常保育とでは、時間帯も利用する子どもの人数も異なります。保育園によっては12時間以上開園しているので、保育士が交代で勤務する必要があります。

延長保育の保育士配置基準

延長保育に必要な保育士の基準は国から定められています。保育士は常時2名を下回ってはいけないという原則のもと、次のように決められています。

  • 乳幼児3人につき、1名以上
  • 満1歳以上満3歳に満たない幼児6人につき、1名以上
  • 満3歳以上満4歳に満たない幼児20人につき、1名以上
  • 満4歳以上の幼児30人につき、1名以上

この基準は国の最低基準です。各自治体によっては独自の基準を設定しているところもあります。また、保育士基準は緩和されていて、保育士常時2名のうち、一人は子育て支援員を保育士としてカウントできるようになりました。子育て支援員は、子育ての知識や経験のある人が、自治体の研修を終了することで資格を得られます。

引用:厚生労働省 延長保育事業の一部実施について

保育士の勤務体制

延長保育を実施している保育園の場合は、開園時間が12時間になることもあります。そのため、保育士の勤務は「早番」「中番」「遅番」のシフト制を設定している保育園が多いです。土日に開園している保育園もありますが、利用する子どもが少ないので、順番に勤務できるようにシフトを組んでいます。

シフトを組む際には、延長保育を利用する人数によって職員の配置人数も変わるので、事前に延長保育の利用人数の把握が必要です。

時間外保育士の役割

早朝時間や遅い時間などの時間外保育で働くパートの保育士(以下、時間外保育士)もいます。時間外保育士は、保育士資格は必ずしも必要とはされていません。正規の保育士と組んで時間外保育を担当します。

仕事内容は基本的に保育士と変わりません。対象の子どもによって異なりますが、オムツ替えや遊びの見守りなどが主な仕事です。その他にも事務作業や園内の清掃などを担当する場合もあります。時間外保育士がいることで、正規の保育士のシフトに余裕が生まれ、園全体の運営がスムーズとなります。

延長保育を担当する際の心構え

延長保育は通常の保育とは時間も環境も異なります。延長保育を利用する子どもの中には半日を保育園で過ごす子もいるので、同じような対応ではいけません。ここでは、延長保育を担当する際の心構えを紹介します。

落ち着いて過ごせる活動をする

早朝保育の場合は、起きて間もないうちに登園する子どもも多いです。まだはっきりと目が覚めていないような子どももいるので、静かに落ち着いて過ごせる活動をしましょう。読み聞かせやおもちゃでの自由遊び、子どもが落ち着いて過ごせるよう気を配ることが大切です。

降園後の延長保育の場合は、日中の活動で疲れている子どもがいることに配慮しましょう。疲れているときには怪我につながりやすいです。中には機嫌の悪くなる子どももいるでしょう。怪我に十分注意し、落ち着いて過ごせる工夫をしましょう。

異年齢でも安心できる雰囲気をつくる

延長保育では、年齢の異なる子どもと一緒に過ごす時間が多いです。小さい子どもの中には、年齢が上の子どもを怖がる子もいます。小さい子に優しく接することを教えられるチャンスと捉え、大きい子には小さい子への接し方を教えましょう。

また、大きい子が小さい子の泣き声を気にしたり、おもちゃを口に入れてしまうことを嫌がったりする場合もあります。小さい子のことを理解させるのも大切ですが、それがストレスになってしまわないように気を配りましょう。

保育士同士で情報交換をする

延長保育を担当する際、保育士同士の情報交換は非常に重要です。通常の保育時間とは異なる延長保育時間では、子どもたちの状態やその日の出来事、特に注意が必要な点など、多くの情報が必要とされる時間です。日中の保育を担当した保育士から情報提供を受けることで、延長保育時の対応がスムーズに行えるでしょう。

また、延長保育を担当する保育士同士でも、情報の共有や連携を密に行う必要があります。例えば、ある子が少し疲れている様子であれば、静かな遊びを提案するなど、子どもたち一人一人の状態に合わせた対応が可能となります。

保育士同士の情報交換がされていないと、保護者から不信感をもたれる場合もあります。安心と安全な延長保育を提供するために、保育士同士の積極的なコミュニケーションを心がけましょう。

まとめ

ここまで延長保育の内容と、延長保育を担当する際の心構えについてご紹介しました。延長保育のニーズは高まり、利用する子どもも増えています。延長保育の内容を理解し、延長保育を担当する際には、子どもたちが安心して過ごせるように努めましょう。

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