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寝かしつけに悩む保育士さん向け!寝ない原因と寝かしつけのアイデア

保育園でのお昼寝の時間は、園児にとって午前中の活動の疲れをとり、心身を休めるための大事な時間です。同時に、保育士にとっても順番に休憩を取ったり、連絡帳の記入などの仕事をしたりするための貴重な時間です。

それなのに、なかなか寝ない子がいて困っている方や、自分の寝かしつけではなかなか寝ないのに他の保育士さんと変わったとたんにスッと寝るという悔しい思いをしたことがあるという方はいませんか?

この記事では寝かしつけに苦手意識を持つ保育士さん向けに、上手な寝かしつけのコツやアイデアを紹介します。時々ニュースでも取り上げられる乳幼児突然死症候群の対策や全員一斉のお昼寝を廃止した保育園など、保育園のお昼寝に関するトピックも紹介します。

寝かしつけのコツやアイデアはどれも簡単に取り入れられる方法なので、保育の参考にしてみてください。

なかなか寝付かない原因と対処法

お昼寝布団に入るとすぐに1人で寝ることができる子どももいれば、いつまでも寝付けずゴロゴロしている子どももいます。なかなか眠れない原因はどこにあるのでしょうか?ここでは、原因を

  • 環境の要因
  • 子供側の要因

の二つに分けてその対処法も考えてみましょう。

環境の要因

環境が理由で眠れない場合、これらの理由が考えられます。

  • 暑い、または寒い
  • 明るすぎる、または暗すぎる
  • 音が気になる

それぞれ、スムーズな入眠のために子どもたちが快適と感じる環境を解説します。

暑い、または寒い

暑い時期は、エアコンを使って室温を28度前後に設定します。冷気は床に降りていくので、大人が立っていて感じる温度と床に寝ている子どもが感じる温度には差があります。昼寝の時間だけに限らず、部屋の温度は座って子どもたちの高さに合わせて確認するようにしましょう。サーキュレーターの使用もよいでしょう。また、エアコンの風が強く当たる場所では寒さを感じやすくなるので、子どもにも寒くないか確認しましょう。

寒い時期は、部屋の気温をあげるだけでなく、加湿器で適切な湿度も保ちましょう。最近は、感染症対策で寒い時期でも窓を少しだけ開けておくことが多く、隙間風が入って寒さを感じやすくなっているので、室温には注意が必要です。お昼寝の時、床からの冷えが気になる場合は、お昼寝布団を敷く前にゴザやマットなどを一枚敷いてからにすると冷えが和らぎます。寝ている子どもの足を触ってみて冷たいようならお昼寝布団に追加して子供用の毛布などを持ってきてもらうように保護者に頼みましょう。

お昼寝の時、パジャマに着替える場合は、子どもは汗っかきのため薄手のパジャマを選びましょう。クーラーがついている時期はおなかが冷えないように腹巻付きのパジャマズボンもおすすめです。

明るすぎる、または暗すぎる

給食の時間が終わったら段々と部屋を暗くしていき、子どもの意識をお昼寝に向けていきます。寝かしつけの時間には電気を消し、カーテンを閉めて普段の保育室より少し暗めの環境にしましょう。逆に、暗すぎると暗闇を怖がる子もいるし、のちに説明する乳幼児突然死症候群対策で子どもの顔色を確認しにくくなるのでよくありません。

音が気になる

入眠儀式として、オルゴールやヒーリングミュージックをかける園も多いです。子供が寝付いたら一旦オフにし、起きる時間になったら覚醒を促すために再び小さい音でかけるのもよいでしょう。

子供側の要因

子供側の要因としてはこれらの理由が考えられます。

  • 眠くない
  • おなかがすいている
  • 成長の段階的に、昼寝を必要としていない
  • お昼寝の並び順

それぞれ、解説していきます。

眠くない

午前中の保育時間であんまり体を動かして遊べなかったときは体力が残っているので、ねむくならないかもしれません。午前中の活動時間にたくさん体を動かせるように保育士から働きかけてみましょう。

また、前夜の睡眠時間が長い日や、寝坊した日などはお昼寝をしないかもしれません。お昼寝の時間に眠くならない日が続くようなら、保護者に前日の過ごし方を確認してみましょう。

おなかがすいている

給食やミルクなどが足りず、おなかが満たされていない場合も眠気を催さないことがあります。子どもや保護者とも相談し、給食や授乳量を調節しましょう。

発育段階的に昼寝を必要としていない

体が発育すると、お昼寝をしなくても夜まで体力が持つようになるので、クラスでも寝ない子供が増えていきます。

お昼寝の並び順が気になる

成長とともに段々お友達との人間関係が構築されてくるようになると、隣に寝るお友達が誰なのか気になる子どももいます。また、すみっこで寝たい子、周りに仲良しのお友達がいてほしい子と、子どもたちの好みも様々です。

スムーズな寝かしつけのためのアイデア

乳児はまだ1人で入眠できない子も多く、その場合には保育士の抱っこや添い寝など身体的な関わりが必要です。幼児になると1人で眠っていく子も多く、寝かしつけは楽になりますが、成長とともに昼寝を必要としない子どもも増えてきます。ここでは、乳児、幼児別に寝かしつけのアイデアを紹介します。

乳児クラス向け寝かしつけのアイデア

乳児クラスの子どもたちは、まだ朝から夜まで続けて起きていられるほどの体力はついていません。そのため、ほとんどの保育園では幼児クラスよりも早めに給食を取り、着替え、排せつを済ませたあとにお昼寝の時間が設けられています。

乳児組の子どもに必要なポイントは「安心感」と「信頼感」です。大好きな保育士の寝かしつけで、子どもたちは安心して眠りにつくことができます。寝かしつけの例を紹介するので、取り入れてみてください。

入眠儀式

お昼寝布団のうえでねんねの絵本を読む、オルゴールやヒーリングミュージックなど決まった音楽をかけるといったお昼寝前に必ず行う行動を決めておきます。他には、布団に行く前に、保育室のぬいぐるみや先生をめぐり、タッチして「おやすみ」と声掛けする方法もあります。

バウンサーで寝かす

低月齢のうちは、平らな布団に寝るより、バウンサーで少し丸まった姿勢で寝る方が好きな子どももいます。角度は子どもの好みに合わせて調節します。ただしバウンサーからの落下には注意し、ベルトは正しくつけておきましょう。

お気に入りのタオルを敷く

お昼寝布団に入りたがらない子どもや、すぐに抜け出してしまう子どもには、シーツや布団カバーをお気に入りのキャラクターのものに替えてみる方法があります。「お布団で〇〇が待っているよ」といってお布団に連れていきます。

抱っこやおんぶでトントン

抱っこやおんぶは保育士の温かさを感じ、安心しながら眠りに付けるのでとても有効な寝かしつけ方法です。寝始めてもすぐにはおろさず、少し眠りが深くなった段階で布団におろしましょう。

添い寝

園児の横に寝て、呼吸のリズムを合わせ段々呼吸の感覚を伸ばしていく方法も有効です。

幼児クラス向け寝かしつけのアイデア

3歳以上の幼児組になると、お昼寝を必要とする子どももだんだん少なくなってくるため、お昼寝の時間を取らないない保育園も多くなります。年長組になると、来春の小学校入学もみこしてお昼寝はせずに過ごします。

しかし、体が必要とする睡眠時間は人それぞれであり、保育園の時期は同じクラスでも月齢による差も大きいものです。眠くなってしまった子どものために、部屋の一角にはお昼寝スペースを設けておくとよいでしょう。

また、夏の水遊びの時期だけバスタオルを持参し、ゴザの上で雑魚寝のスタイルで軽くお昼寝をする園もあります。

幼児組のお昼寝は、眠れても眠れなくても30分~1時間くらいは体を横にして休ませる時間を設けましょう。その時間を過ぎてもどうしても眠れず昼寝も必要としていない子がいたら、絵本を読んだり静かな遊びをするように声を掛けます。

どうしても寝ない子に対する心がけ

その日の体調や心の状態によって、どうしても寝付けない子どももいます。大人も落ち込んでいる日はなかなか眠れないことがありますよね。

保育士はたくさんの仕事を抱えています。やらなければならない仕事もあるのになかなか寝付かない子どもがいるとつい焦ったり、イライラしたりしてしまうこともあるかもしれません。

子どもは大人の雰囲気を敏感に感じ取り、より一層眠れなくなってしまいます。

「お昼寝は毎日必ずさせなければいけない」と考えていると保育士もプレッシャーを感じてしまいます。子どもが寝ないのは保育士の寝かしつけが下手なせいではありません。寝付けない子は眠くないんだから頑張っても仕方ないと割り切りましょう。子ども自身も、他のお友達は寝ているのに自分だけ眠れないことに不安やプレッシャーを感じているかもしれません。子どもの心に寄り添って対応しましょう。

眠れなかった子どもが何人もいると、つい声を出して騒いでしまうこともあるため、せっかく寝ている子どもたちが起きてしまうこともあります。別室があれば移動すると安心です。

お昼寝中の事故への対策

保育園でのお昼寝で保育士が気を付けなければいけない事は、うつぶせ寝や布団などによる窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)です。保育園における睡眠中の死亡事故は平成25年の16件がピークで、その後徐々に減少していますが、令和2年、令和3年もそれぞれ1件ずつ発生しています。

SIDSは、原因が完全に解明されていない疾病ですが、ストレスやうつぶせ寝、体調不良が関わっているのではないかといわれています。SIDSの予防として、寝かしつけや子どもの睡眠中は以下のことに気を付けながら見守りを行いましょう。

入眠前の体調チェック

SIDSが発生した例の多くで、当日の体調不良が報告されています。お昼寝前には子どもに発熱などの体調不良がないかチェックし、もしそれらの症状が見られた場合には特に注意して睡眠中の様子を確認します。

仰向けで寝させる

うつぶせ寝は、SIDSの危険因子といわれています。子どもを寝かしつけるときは仰向けで寝かせるよう習慣づけましょう。睡眠中に子どもが自分でうつぶせになってしまった場合も、できればそのたびに仰向けに戻してあげることが望ましいです。なおSIDSは窒息とは無関係のため、うつぶせ寝をしていて布団が鼻や口を覆って窒息したという事ではないことに注意しましょう。

睡眠中の定期的な確認

もしもの際に早期発見できるために、子どもの睡眠中はできれば軽く手を子どもの体に触れて異常がないか定期的に確認しましょう。

顔色が確認できるように、室内は暗すぎないようにします。よだれ掛けは首が締まったり鼻や口元を覆ってしまう危険があるので必ず外して寝かしつけるようにします。掛け布団やタオルは睡眠中顔にかからないように気を付けましょう。

昼寝を自由化、廃止する園も

男女共同参画社会の推進や、女性の社会進出で、低年齢からの保育を希望する家庭が増加しています。また、保育園のお昼寝についても「昼寝をしないと帰宅後寝てしまうので長くしてほしい」「夜寝なくなるから短くしてほしい」「廃止ししてほしい」など保護者からの要望も様々です。

これらの意見を受け、お昼寝を全園児一斉の寝かしつけから、園児ごとに園児主体のお昼寝とする園も出てきています。

しかし、昼寝の時間は保育士にとっても貴重な仕事の時間であるため、保育士の人数が十分に確保できるならお昼寝の方法について検討するのもよいかもしれません。

まとめ

保育園のお昼寝時間になかなか寝ない理由を環境要因、子供側の要因から考えてその対処法をご紹介しました。また、寝かしつけのアイデアを、乳児クラス、幼児クラスに分けてご紹介しました。

乳児クラスの子どもたちは抱っこやトントンなどでスキンシップをとり、安心感を感じながら眠りについていくのが理想です。給食からお昼寝までの流れをルーティン化して自らお布団に入っていく習慣を付けていきましょう。

幼児組の子どもたちはお昼寝をすることがあまりないかもしれませんし、そもそもその子どもは昼寝を必要としていないかもしれません。1人1人に合った寝かしつけをするようにしましょう。